最も売れた小説、なんて言われたら誰だって気になるだろう。
だが、よく本を読んでいる人以外によく売れたのだとしたら？
「変な家２」の宣伝を見て、読んでみたくなった私は、本屋へ行った。そこで「変な家２」の単行本と、その横に積んであったこの「変な家」の文庫本を目にする。
最も売れたというのは、2023年の年間ベストセラーランキング単行本部門1位だったそうだ。日販調べにて。
これ、手に取った時にはガチガチにビニールで包まれていた。漫画のようだ。だから、中がどんなだか全然分からない。私はちょっと迷っていた。これ、推理小説なの？それとも、推理クイズなの？と。
家の間取りがテーマらしい。おかしな間取りの謎を解けとか何とか。うーん、小説？クイズ？
そこで、変な家２の方をちらりとめくってみた。こちらは普通の本らしく、ビニールに包まれてはいない。
おかしな空間がある家？ふむふむ。うん、小説だ。これは面白そうだ。買いだな。と、2行か3行目にしただけで、即決。でも２はまだ買わない。「変な家」を購入した。
ビニールを開封してみると、中からこんな栞が出てきた。
素晴らしい！これが落ちないようにビニールで包まれていたのか。でも、この栞の人物何？雨穴さんを表しているの？
さて、それでは中身である。あらすじから行ってみよう。
主人公である「筆者」は、知人からある家を購入するべきかどうか相談を受ける。中古だが、まだ建てられてから1年しか経っていないのに売りに出されたものだった。開放的で明るくてよい家なのだが、一つ、不可思議な空間があるという。
筆者は知り合いの建築家に相談してみた。すると、建築家はその謎の空間以外にも、いくつかの違和感があると言う。そして、可能性として殺人の為に建てられた家なのではないかと言う。その後、その話に合致した遺体が発見されたというニュースが舞い込む。
気になった筆者は、家の場所は明かさずに情報提供を呼び掛ける。すると一人の女性がメールをよこした。夫がそこで殺されたかもしれないと。この女性の家族にまつわる深い話が続くのだが、そこはネタバレになってしまう恐れがあるのでここまでにしておこう。
間取りに謎があるというのは、なかなか惹きつけられる。文章は会話がほとんどで、入り込みやすい。誰かと会話をしているか、人の話を聞いているかのようで、読書慣れしていない人でも内容が入りやすいだろう。
だが、突飛な発想がいきなり出るし、実際に突拍子もない事実だった。謎解き部分は長いが、退屈はしない。最後までひねりが聞いているし、面白かった。
また、作中に出てくる建築家による「あとがき」が付いている。これはどうやら文庫本だけのようだが、これが面白い。これがあるからこそ、最後まで面白かったと言えよう。だが、これを読むとどうもこの話が実話であるようにしか思えない。筆者が当事者に配慮して本文には書かなかったのだろう、などと記されていては、騙されてしまう。思わず検索してしまったが、フィクションだという意見しかなかった。そりゃそうか。こんな変な殺人事件があってはたまらない。いやまあ、事実は小説より奇なりとも言うが。
最後になって、ブックカバーが二重になっている事に気づいた。私は外へ持ち運ぶ為に、二重のカバーの上に更にレザーカバーを掛けていた。損した気分だ。
中はこう。こっちの方が断然いい。これならレザーカバーが要らなかったな。でもまあ、映画化を宣伝したかったんだよね。最近本屋に行くと、映像化したという本ばかりが目立つ所に並んでいる。つまり、本屋で目にするのは俳優の顔ばかりだ。それが悪いとは言わないが、私は先に映像で見てしまうのも、また先に原作を読んでしまうのもあまり好きではない。つまり、ネタバレは好きではない。どうせならどっちかにしてもらいたいものだ。勿体ない。
さて、この雨穴さん、ユーチューバーでもあるそうだ。そしてホラー作家さん。ウエブライターでもあるらしい。YouTubeで「変な家」の事もやっていて、その完全版がこの本だったというわけだ。なるほど、それが大きな宣伝になったのだな。
私も実は考えた事がある。YouTubeで自分の小説を解説したり、朗読したりして、宣伝したいなーと。だが、実際に小説を考えて書く事と、新たにユーチューバーになるために色々と学ぶことと、両立させるのが難しい。もし映像で解説や朗読をするにしても、自分の顔や声を出さないで済む方法を考えなければならない。なぜって、子供から顔出しは辞めてよ、ときつく言われているので。機械に（今ならＡＩに）しゃべらせる事は可能だが、ただ自分がしゃべって録画するよりは難しそうだ。
で、続編、と言っていいのかどうか分からないが、「変な家2」を買うかって？どうしようかな。文庫化したら買おうかな。でも、この本の中に「変な絵」の宣伝も入っていた。う、こっちの方が面白そう。やっぱりそっちを先に買うかな。
変な家 文庫 →https://amzn.to/3OHh7px
コミック版もあるらしい↓
変な家(1) (comic HOWL) コミック →https://amzn.to/49xlICD