マラソンのボランティアを初めてやったのが、ちょうど一年前。TOKYOレガシーハーフマラソンであった。一年前は「ランナー受付」と「給水」と二日間やったのだが、ランナー受付で腰を痛め、大変疲れたのだ。なので、今年は一つだけにしようと思い、ランナー受付だけ申し込んだ。抽選で当たり、ランナー受付の初日に活動してきた。
集合
2023年10月13日の金曜日。ランナー受付は国立競技場である。
TOKYOレガシーハーフマラソンは、今年が2回目の開催。つまり、去年が初開催だったのである。去年は、マラソン当日のボランティアも、国立競技場へ行って受付をし、ユニフォームなどをもらってきたのだが、今年は受付なしで、ユニフォームは自宅に送付されるようになったそうだ。私はマラソン当日のボランティアはしないので、ユニフォームは送られてきていない。
ランナー受付には、3つの役割がある。「入場確認」「本人確認・アスリートビブス引換え」「計測タグ確認」である。私が去年やったのは「入場確認」だった。そして今年は「本人確認・アスリートビブス引換え」だと、事前に分かっていた。去年と同じでなくてよかった。色々と経験したいではないか。
国立競技場のCゲートに15:15集合だった。
以前は地下鉄の国立競技場駅から行くものだと思っていた国立競技場。急いで帰ろうとした時に、うっかり曲がる所を間違え、JR千駄ヶ谷駅の方へ行ってしまい、慌てて引き返した事があった。だが、後でよく考えたら、千駄ヶ谷から帰った方が電車賃が安かった。という事は、今後は電車の時間さえ合えばJRで行った方が良いという事なのだ。千駄ヶ谷駅の前には東京体育館があり、その東京体育館に隣接して国立競技場が建っている。この一年、何度か東京体育館でもボランティア活動をしたので、もう千駄ヶ谷にも慣れっこである。
東京体育館の横の階段(もしくはスロープ)を上ると、正面に国立競技場が見えた。ここから競技場を眺めたのは初めてだ。一緒に競技場へ向かう人がちらほらいる。ボランティアなのかランナーなのかは分からない。で、少し行ってから後悔した。さっきの場所から競技場の写真を撮れば良かったと。そうすれば、ブログの表紙になったのに。で、戻ろうか、どうしようかと思って立ち止まる。少し早めに着いているので大丈夫。うーん、どうしようか。戻るのもバカバカしく、やっぱり進む。帰りでもいいか。いや、暗いとよく撮れないかも……。あ!

ま、これでいいじゃん。ここからの景色もなかなか。国立競技場が目の前にあるのも、すごくいい。でも、写真にすると大きさが伝わらないので、端っこを撮る事で何となくいい感じに撮れた。
さて、ここから行くとCゲートは右だが、トイレに行ってから。案内板を見ると、トイレは左。
トイレを済ませ、Cゲートの方へ歩いて行くと、たくさん人が集まっていた。ここで待てばいいのかな。
と思って立っていたら、そのたくさんの人たちが去って行った。あれ?何人かベンチに座っている。ちょっとわけが分からなくなって、スマホでマニュアルを出し、集合場所を確認。Cゲート。
ん?あ、ここはDだった(汗)人が固まっていたから勘違いした。
というわけで、もう少し先へ進む。あら、ここからの景色も素敵。東京体育館って、こんな風に流線形だったのか。最初の国立競技場のデザイン案と似てない?

さて、Cゲートに近づくと、さっきなんかよりも、もっとたくさんの人が集まっていた。ここだよ。
名前シールに記入している人も見えたが、シールをもうもらっているのかな?
既にオレンジ色のジャンバーを着ている人もいたが、大勢の人がまだ何もせずに待っている。日向と日陰があって、日焼けしたくないので日陰の方へ入って立った。しかし……寒い。風があり、ちょっと寒い。こんなに晴れているのに、やっぱり日陰は寒いのだ。そんな季節にやっとなったのだな。
とはいえ、上着を出して着る程でもない。そうしてただ立って2~3分を待った。
15:15になった。すると、数人のオレンジ色のジャンバーの人たちが散らばり、1班、2班などと書いてある紙を掲げて立った。そうか、この人達はこの役割のボランティアさんか!と思ったが、本当はリーダーさん達だったのである。今思えば。
私が何班だったのかは、一応伏せる。一番端まで行ってから、戻ってきて、ない!と焦る。が、当然ないわけがない。近づいていってみれば、班名が書かれた紙を下に置いて、出席を取っているリーダーさんがいる。下に置かれた紙に、私の班名が書いてあった。ここだ。
名前を言って、黄色いジャンバーをもらった。これを着て、と言われた。
ちょっとぶっきらぼうなリーダーさん。不安になった。少し怖い。
とにかくジャンバーを着た。相変わらずでっかい。袖を2つくらい折った方がいいくらいだ。今日はウエストポーチとトートバッグを持っていた。ウエストポーチをジャンバーの上から装着した。
すると、他の班のリーダーさんが名前のシールの事を話しているのが聞こえた。シール?入ってたか?
ジャンバーが入っていた袋の中を確認したが、ない。さっき見た台は遠い。で、近くの人に名前シールの事を聞いたら、ここにあると言われた。本当だ、すぐ近くに名前シールとマジックペンがたくさん置いてある台があった。皆さんそこで名前を書いている。
私もそこへ行き、近くにあったオレンジ色のペンを取った。さて、シールに何と書こうか。チョコナッツか、本名か。迷ったが、写真をアップするためにもチョコナッツの方がいいと思い、オレンジ色のペンで「チョコナッツ」と書いた。すると、
「あ、チョコナッツさん!」
と、ちょうど書いた時に隣の人から声を掛けられた。なんと偶然。その人はXで繋がっているお友達。ご一緒出来てうれしい!とお互い言ったが、シールに活動内容・班を書くところがあって、そこに書いたら役割が違う事が判明。これでお別れだった。
で、シールを胸に貼る。

役割説明
リーダーさんの近くに何となく集合していたが、一人足りないようで、リーダーさんがその人の名前を呼んだりしていた。ちょっと怖そうなリーダーさんだな、とまた思っていた。ところが、
「はい、こんにちは!Sです!よろしくお願いします!」
いきなり大きな声で挨拶を始めたリーダーさん。そして、すごくフレンドリーだ。ぶっきらぼうだと思ったのは、他人行儀ではない雰囲気だったのだ。敬語少な目。なんだ、怖い人じゃなくて面白い人だったのか。良かった。
ざっと簡単な自己紹介があった。ニックネームと、今晩帰ったら何が食べたいかを一人ずつ言う、というもの。面白い。おにぎりを持ってきた、と言う人もいるし、カレーライス一択です!と言う人もいた。私は、
「帰ったらワインとチーズです!」
と言った。そう決めてある。するとリーダーさん、
「セレブだね」
と一言。いや、安いワインだから、全然セレブじゃないんだけど。ワインが好きだと言うと、おしゃれだ、とかセレブだと言われる事があるが、偏見だ。
先ほど、説明の紙を配っていたのでもらったが、それが実はくじ引きのようになっていた。もらった紙に番号が振ってあって、表が書いてあり、AとかBとかCなどと書いてある。
Sさんが説明してくれた。我々のやる事は大きく分けて3つあると。
Aは、本人確認をして諸々をランナーに渡す人。
Bは、Aからビブス番号を聞き、後ろの段ボール箱からその番号のビブスを探して持ってくる人。
Cは、誘導。
表は40分毎の時間で区切られていて、それぞれこの時間帯がBとか、次の時間がCなどと書いてある。休憩も一回入っている。それが、人それぞれ違うという訳だ。
一通り説明を受け、早速中へ入る事に。去年は休憩所を確認しに行ったり、他の役割の人の仕事を見に行ったりするツアーがあり、それから前半の人の仕事を見る時間もあった。だが、今年はそういうのは無し。リーダーさんによるのか、今年の方針がそういう事なのかは知らない。
リーダーのSさんにはこだわりがあった。前半の人と交代する時に「お疲れ様」とか「ありがとう」と言って、友好的に交代しようという事。前半の人は、今ノリノリで活動していて、まだ辞めたくなかったりするかもしれない。もしくは、疲れ果てていて不機嫌だったりするかもしれない。それを、仕事を無理に奪う感じになったりすれば軋轢が生まれる。だから、穏便に、後味良く交代しようと。
それから、もう二度と集まる事のない、一度きりのこのメンバーなので、仲良くやろう!と。
そして、表に書いてあった番号順に、Sさんの持つクリップボードにニックネームを書き込む事になった。私がチョコナッツと言ったら、全部書くのが面倒だったようで(そりゃそうだ)チョコだけ書いて、
「チョコさんでいいや」
と言った。ほんと、対面で名乗る事になろうとは思わず、ブログ名をチョコナッツにしてしまったが、ニックネームは短い方がいい。言うのも書くのも楽だ。でも、もう今更変えられない。
活動開始(Bの役割)
作業の説明を受けていて、一番やりやすそうだったのがBだった。私は一番最初がBなので、良かった。
前半の人が作業の説明や、工夫した事、こうするといいよ、というアドバイスなどを話してくれた。そうそう、マニュアルには3つくらい渡す物のパターンが書いてあったが、この窓口には一般ランナーの男性しか来ないから、複雑な事は一切ない、という事だった。男性だけ?それは私にとって良い事なのか、良くない事なのか……分からん。でも、女性のランナーさんの方が話しやすい場合が多いので、全部緊張しそうだな、という気はした。準エリートランナーや障碍者ランナーはそれぞれ渡すものが違うので、それが無いのはいいけれど。去年、女性のランナーさんやご夫婦ランナーさんが子供連れで来ていたりしたのだが、男性だけだと子連れはあまりいないかもしれないな。
この時はとても空いていた。幸いだ。でも、やって見せてもらったり、見てもらいながらやったり、というのができないのは困る。
すると、やっと一人来た。じっくりやり方を見せてもらった。説明をしながらではゆっくりになってしまう。でも前半の人がランナーさんに、
「すみません、引継ぎなので」
と言って、色々説明しながら作業してくれた。ランナーさんは優しく笑って許してくれた。急いでいる人でなくてよかった。空いているから心にも余裕が生まれるよね。
私は最初がBでも、次にAをやるのだから、Aの仕事もよく見せてもらった。言ってみれば、Bの仕事は見なくても分かる。だが、渡すものをセットにしておくといいというアドバイスはもらった。Bは、隙を見てそのセットを作っておく必要があるのだ。
さて、いよいよ交代だ。交代して最初のランナーさんがやってきた。Aの人が電子メモにビブス番号を書き、それを私に渡す。それを持って探しに行く。
マニュアルを読んで想像していたよりも、遥かにたくさんの段ボール箱に分かれていた。何番~何番という札が段ボール箱に貼ってあり、それを見て該当する箱の前へ行き、探している番号のビブスを取り出す。取り出してから確認するのではなく、確認してから取り出す方がいいとリーダーさんに言われた。そうだった。先ほど説明されたのだが、もし間違った番号を引き抜いてしまった場合は、忙しくても他の人を呼んでダブルチェックをしつつ元の場所に戻すという事だった。ちょっと違う所に入ってしまうと、もう探せないからというのだ。考えてみればそうだ。該当するところになかったら、ない!となって大騒ぎになる。
ビブスを持ってAとランナーさんがいるカウンター(というかテーブル)に戻る。ビブスにはカタカナで名前も書いてあるので、それを読み上げて確認。Aの人が当日の手荷物入れの袋の説明をする。これは言われていない事だが、前半の人も言っていたし、経験者(去年当日の手荷物係をやった人)の勧めもあって、ビブスと一緒に入っているシールを当日袋に貼ってきてくださいと言い、それからビブスに安全ピンがついていないから、必要ならばタグチェックのところでもらうようにとも言う。
それを、私と組んでいるAの人は言うが、隣の組はBの人が言っていた。しゃべるのが好きそうなBの人と、好きではなさそうなAの人の組み合わせだったからだろう。私は、もちろんしゃべるのはAの人に任せ、暇さえあればお渡しセットを作る。
ビブスの他に渡すのは、エキスポバッグと言われる手提げ袋と、タオルと、手荷物入れになるビニル袋である。前半の人の一部では、エキスポ袋にタオルとビニル袋を入れてセットしていた。それを勧められたのだが、交代した後、リーダーさんが「入れないで」と言ったので、入れずに積み重ねるようにした。まあ、入れて渡すと、ビニル袋の入れ忘れに気づかない場合がありそうだ。そういう事だろう。
私がエキスポ袋、タオル、ビニル袋と重ねたものをいくつか作り、テーブルに乗せていると、
「あ、これ最高。大正解」
リーダーのSさんが言った。他の組もそうして、と言っていた。
ランナーさんが来ると、電子メモを見ながらビブスを探しに走り、持ってきて渡し、頑張ってください!と声を掛けつつ、せっせとセットを作る。
楽しい!この作業は私に向いている!
あっという間に40分が過ぎた。楽しかった。次はCである。リーダーさんの指示で次の持ち場へ移動した。すぐ目の前に立っている人と交代だ。
Cの役割
まだランナーさんは時々しか来ない。やってくると、どこのカウンターへ行け、という風に支持を出す。最初はやはり分かっていなくて、カウンターの後ろに並ばせてしまった。リーダーさんに言われて、カウンターが空いてから、そちらへ行くように促すようにした。
真ん中で、もう一人と場所を交代。次は、ここへの入り口に立つ。大して重要ではないが、ここでいいの?と聞かれたら、ランナーさんのスマホ画面を見て確認してあげる。
リーダーのSさんが話しかけに来た。
「チョコさんって、けっこうボランティアやってるんですか?」
「はい、けっこうやってます」
なんて、話したり。
「じゃあ、もう何でも出来るんだ」
なんて言われると、それは全然違う。
「いやー、難しい事はできません。しゃべるのとか苦手なんで」
と言うと、
「え、全然そんな感じじゃないけどな」
と。ちょっと嬉しい。しかしSさん、やっぱりフレンドリー。そして飴をくれた。
ランナーさんは、私の前にあるDゲートから入って来るのだが、一度なぜか後ろから来た人がいた。既にビブスをもらったようで、私に、
「エキスポってどこですか?」
と聞く。今、競技場の反対側でエキスポのイベントをやっているようだ。しかし、この時には場所を把握していなかった私。ちょっと困っているとSさんが来てくれて、
「A出口の向こうの方です」
と答えた。そして、そのランナーさんはそっちへ向かったのだが、ちょっと気になった。
「あの人、タグチェック終わったんですかね?」
Sさんに言うと、
「聞いてくる」
と言って、さっきのランナーさんを追いかけた。ランナーは、ビブスを受け取ったらA出口の手前にあるタグチェックに進む事になっているのだが、さっきの人は歩く場所が違う気がした。カウンターの前の通路を通るのが正解なのに、入って来たばかりの人が歩く後ろの通路を通って行ったから。
するとSさんが戻ってきて、
「グッジョブ。タグチェック終わってなかった」
と言って親指を立てた。褒められた?
休憩
17:20になった。次は休憩の時間である。トイレに行き、カウンターの後ろに置いてあったトートバッグを取りに行った。
先ほどのCの時に、Sさんに休憩場所はどこか聞いておいた。Sさんは確認しに行ってくれた。
先に休憩をした人が、SKYの所に行くと記念品がもらえるよ、と言っていた。それはどこかなぁと思いつつ、BとCが続いてずっと立っていたので、すっかり足が疲れてしまった。歩き回る前にまず座りたい。
という事で、休憩場所に行った。けっこう活動場所から離れていた。たくさんある階段は塞がれているのだが、その休憩場所の階段だけは塞がれていなかった。休憩場所は客席なのだ。
休憩中は、ボランティアジャンバーを脱ぐ必要がある。去年はそれですごく寒かったので、今回はちゃんと上着を持ってきた。ジャンバーを脱いで、その上着を着る。まだちょっと早いけれど、お腹が空いたので持ってきた物を食べる事にした。カロリーメイトとドリンクゼリー。帰ってからワインと共にあれこれ食べるので、ここでは軽めに。
フィールドではリハーサル中。リハーサルは撮影禁止だと言われていた。競技場の写真を撮りたかったのだが、紛らわしいので辞めた。これからナイトリレーマラソンが始まるようだ。そこにはお友達も出るらしい。マラソンをするなんて、すごいな。走るなんて考えられないチョコナッツ。情けない。
時間があったらエキスポにも行ってみたかったが、全然なかった。あっという間に5分前だ。ジャンバーを着替え、持ち場に戻った。うん、ここはちょっと、足が寒かったな。
ちなみに、記念品がもらえるのは、エキスポの中のSKYのブースだったようだ。折り畳み傘をもらった人がいた。
Aの役割
いよいよAだ。心の準備が……。だって、言わなきゃいけない事が多いのだもの。
私の代わりに言ってくれる人、いないかな。あのおしゃべりが好きな人が一緒だったらいいのに。いや、そうではない。挑戦せずに終わったら、後味が悪い。やってみるのだ、チョコナッツ!

目の前の道具がこちら。18:00になった。ランナーさんがやってくる。
「スマホをお預かりします」
ランナーさんのスマートフォンを受け取り、画面に出されているランナー情報から、アスリートビブス番号を見て取り、電子メモに数字を書く。慎重に。最近目が悪くなって、本当に慎重に見ないと数字を見間違うから。
書いたら、電子メモをBの人に渡す。Bの人がビブスを探してくる間に、
「身分証明書をお願いします」
ランナーさんから運転免許証などの身分証明書を受け取る。予め渡してくれる人もいるし、言われてから探す人もいる。こちらは急いでないからどちらでも良い。スマホのランナー情報と名前が一致するかを見て、身分証明書は返す。
次に、スマホの画面の「サブチケット」というボタンをタッチペンで押す。タッチペンと電子メモのペンを一度は間違える。みんな、やる。
サブチケットを使用する→サブチケットの券面が現れる。スタンプを押す。これ、めっちゃ楽しい。こういう操作だけは得意というか、好きである。上部の写真の紐が付いた丸い黒いやつ。これがスタンプで、スマホの画面の上にポンと乗せると、画面の色が変わる。変われば反応したという証。その後、サブチケットに赤い字のスタンプが現れる。バツを押して元の画面に戻し、スマホをランナーさんにお返しする。
さあ、ここまでは良い。この頃にはビブスも届いている。これから、言わなくてはならない事がある。
「これは当日の手荷物入れです。こちらの(ビブスの裏を示し)シールを貼って当日お持ちください。ビブスには安全ピンが入っていませんので、必要ならばタグチェックのところに置いてありますので、お取りください。続いてタグチェックにお進みください。頑張ってください!」
まあ、こんな感じ。リーダーさんには言われていないし、マニュアルにも書いていないが、前半の人が、
「タグチェックにビブスが必要ですので、ビブスは手に持ってお進みください」
とも言っていたが、これ以上は無理なので私は割愛。いいじゃないか、しまってあっても、またタグチェックのところで出せば。ここからすごく遠いのだし。
で、先のセリフを大体言ったのだが、安全ピンの辺りから怪しくなって、あちらの方とか、ご入用ならば、とか、その場でちょっと変えたりもした。それはいいが、まあ、息が苦しい。発語困難症なので、ちょっとでも緊張したりするとぐっと言葉に詰まる。それを無理に出すと息が苦しいのだ。のどが痛くなり、口が乾いてくる。努めて笑顔で、フレンドリーに言う。言っているつもり。うわあ、疲れる。
なかなか慣れない。が、あっという間に時間は過ぎた。
2回目のB
そのままBに移行した。私の担当のBだった人がそのままAになった。
もう慣れているし、向いているので(断定)、スパスパと仕事をこなす。だんだん混んで来て、ビブスを探しに行き、渡したらすぐにお渡しする物のセットを作る。作りながら、またビブスを取って来る。
まだAの作業に慣れていないAの人は、サブチケットの事をやり忘れそうになったり、やったかどうか分からなくなったりした。私は経験者なので(一応)サポート。バツを押してから返した方がいいですよ、と教えたり。
ただ、言わなかった事がある。例の安全ピンの事。Aの彼女は、
「安全ピンは出口のところに置いてありますので、お取りください」
と言っていた。「必要ならば」などの言葉がない。全員取るもの、みたいになっている。私がAの時に、安全ピンが入っていませんので、と言うと、
「いっぱいあるから、要らない」
などと言ってくれる人がいた。そうすると、その後の事を言わなくて済むから嬉しいのだが、そういう人もいるわけで、必ず取るもの、という感じで伝えるべきではないと思った。が、言わなかった。何せ、自分がこう言って、と言われてもその通りに出来ないのだ。なぜ人に指図できようか。あと、タグチェックの事を、チップが入っているので~と勝手に作っているのも気になったが、間違いではないのかな?と思って、そのままに。
忙しく働いた。列を為す事があり、立ち止まる事もなく、ビブスを探し、セットを作り、とクルクルと動き回る。楽しい。
2回目のA
さあ、またあっという間に40分が過ぎた。19:20になった。次はまたAだ。でも、リーダーのSさんが交代を告げていると、私に声がかからない。いいよ、私はこのままBでも。
と思っていたら、最後に「ああ、あとここだ」と言って、私がAとしてテーブルに着く事を支持。正しいですよ、リーダー。
ちょっと忙しいのが過ぎたようで、交代する時には誰も来ない状態だった。私の担当のBの人は男性になった。と、そこで後ろのフィールドから音楽が。吹奏楽の演奏だ。
「これ、なんの曲か知らないで吹いてるんだろうな」
とBの人が言う。昔のアニメの……何だったか忘れた。というか、私も知らないアニメだったが、そのテーマソングだそうだ。私が知らないと言うと、
「若いって事だね」
と言うので、
「そう言う事にしておきましょう」
と言った。しかし、その演奏の音量はすごい。しかも、応援団の声も混じる。これ、こちらがランナーさんに話す時に困るんだけど。私の声は大きいし、聞こえないという事もないのだが、大きい声をださなきゃ、と思うと余計に緊張して発語に問題が。
案の定、ドキドキ。ランナーさんが来て、もう慣れたはずの作業をするが、時々言葉がスムーズに行かない。それなのに、また混んできた。Cの役割の人があちらへ、こちらへと案内しているのだが、こっちに振らないで、とちょこっとだけ思ってしまう。
で、このBの男性は、けっこうランナーさんに話し掛けたりする。ランナーさんとBの人が仲良く話していると、その事が私の発語になぜか影響する。それから、Bの人は親切に、私がビブス番号を書いている時に、
「運転免許証など、出してください」
とランナーさんに声を掛けてくれる。そうすると、ランナーさんがBの人に身分証明書を渡そうとする。それだけで、私の発語に影響する。そもそも、男性には人見知りするのだ。フレンドリーな人なら大丈夫なのだが、そうでないと話し掛けるのが苦手になる。そのうちBの人は、
「運転免許証など、ありましたらこちらに置いてください」
と言ってくれるようになった。
気づけば波が引いている。ちょっと空いた。そこへ、顔見知りの人が前を通った。
「あ、Yさんだ!」
Yさん、もしもフェスの時も、都庁前の時も、もっと言えば練馬こぶしマラソンの時も、ご一緒だった。今日は知らなかったのに、まさかの偶然にも前を通るとか。びっくり。すると、彼は仲間がナイトリレーを走るから、観に行くのだと言っていた。Yさんは今、休憩中のようだ。
そのYさん、しばらくしたら戻ってきて、青ユニメンバーがあの辺にいるよ、と教えてくれた。客席の中に、青いフィールドキャストユニを着ている集団が何となく分かる。私はもう休憩はなく、走っている所は見られないけれど、後ろを向きつつ心の中では応援していた。
空いてきているが、時々ランナーさんが来る。なんだか、やっと慣れた気がした。緊張せずに言えている。ああ、そうか。音楽が止んだのだ。ある程度静かになったから、楽に声が出せるようになったのだ。
やっと慣れた頃には終わりである。そういう物だ。そして、スタンプ押すのも楽しかったな、と思う。
それから、このBの男性と東京2020の話をしたら、何と同じところでボランティア活動をしていた事が分かった。明日行くんですか?と聞かれた。例の……。アクレディテーションセンターで活動していた人はかなり多いのだが、けっこうな数の人がLINEグループで繋がっているそうだ。私が入っていないと言ったら、プレスセンターでもやった人が中心になっているから、と言っていた。フォローしてくれた?その男性、アクレディテーションセンター以外にも、プレスセンターとか、色々な所で活動したらしい。パラリンピックも。私は活動を終えるのが早かったから、LINEグループが出来る前に終わってしまったのだろう。知らんけど。
でも、未だにアクレメンバーでバーベキューをやったりしているらしい。ちょっとだけ羨ましい。ちょっとだけ、ね。
活動終了
20:30で、ランナー受付は終了である。終わりの方にはもう誰も来なくて、時間になるのを待っていた。
時間になり、入り口が閉まった。リーダーさんを囲んで、一言ずつ話した。私は、自分がBが向いていると思った事、Aは大変だったけれども頑張った事、付箋が置いてあったが、書くためのペンが置いてなかったのが気になった事を発表した。
因みに、付箋は何のために置いてあるかと言うと、スタンプが押せない人がいたら、その人のビブス番号を書いておく為。それと、電子メモではなく付箋にビブス番号を書いてBの人に渡してもいい。去年は電子メモはなく、細い付箋をたっくさん使ったと、一緒に活動した男性が話してくれた。ゴミがたくさん出てしまうね。電子メモは便利だ。
そして、集合写真を撮った。AirDropなどで送ってくれるのかと思ったら、違う方法だった。AirDropはアイフォンの人しか使えないので、QRコードを読んでもらって、どうのこうの。
QRコードを読むと、クラウド?なのかな。入れ物が出てきて、リーダーのSさんは、家に帰ってからそこに写真をアップロードしておくから、そうしたらダウンロードしてくれと言う。いいね、それ。
QRコードを読めない人がいたので、ヘルプした。最初、LINEのお友達登録かと思ったらしく、そうじゃなくてカメラを出して、と言った。そうしたら、カメラでQRコードの写真をパチリ。あ、違う違う。カメラでQRコードを映すと出てくる文字があるから、それをタップして。と、言うのではなくあれだ、これだ、と分かりづらく支持し、無事出せた。彼女、後で写真ゲットできたかなぁ。
それにしても、すっかりお腹が空いている。夕方にエネルギー摂取したのに。
最近、なぜか食欲があまりなかった。食欲の秋なのに。逆に、涼しくなった途端に太ってしまい、服がキツイ為に空腹を感じないのかな、と思っていた。が、今無性にお腹が空いている。つまり、運動不足だったのだろう。
お腹が空くと、逆に満足感が出る。食べてもいいんだーって思えて嬉しくなる。
さて、帰宅だ。ここからの景色、もっとすごく綺麗なんだけど、写真には上手く写らない。私のスマホが古いからだけど。

後で、がむしゃらに食べた事は、語るまい。去年は立ちっぱなしで腰をやられたが、あの時は骨盤が歪んでいたからだったかも。今回は座っている時間もあったし、どこも痛くはない。
得意な事、苦手な事がよく分かる一日だった。でも、苦手をちょっとでも克服できたなら、それが一番嬉しいかもしれない。そうして、また次回も申し込んでしまうのだろう。
そういえば、番号を見間違える事も、ビブスを間違えて引き出してしまう事もなかった。良かった~。おっちょこちょいが出なくて何より。慎重に、丁寧にやれば、実は大丈夫な私。おっちょこちょい人生は、適当な、おざなりな態度が原因なのである。
では、また次回!