6月7日、8日とTokyoPrideフェスティバルが代々木公園で行われた。両日ともボランティア活動をする人もいるが、私は日曜日のみ。もう2日連続でやる体力がないゆえ。万博のボランティアは泊まりだからできたと言える。
ボランティアはいくつかのセクションに分かれて募集された。私が第一志望として出したのは別のセクションだったが、実際にやる事になったのは「団体紹介」セクションだった。
主催者ブースにて、主催者である「東京レインボープライド(略してTRP)」の活動内容の紹介などをするセクションである。
ここで1日、色々な事があった。それを振り返っていこう。
集合
原宿駅から歩いて代々木公園へ。9時半には着きたかったのに、電車を1つ逃して原宿駅に9時20分に着いた。イベント広場が意外に遠い。だが、急いで歩いたらちょうど9時半ごろに着いた。

信号待ちの間に写真を撮ってみた。我々は集合が10時だが、9時集合のセクションもあり、既に準備は始まっている。
ボランティアの受付(チェックイン)をした。記念品や名札、Tシャツなどを受け取る。その辺のベンチに荷物を置き、Tシャツを着た。名札にペンで名前などを書き込み、持ち歩かない荷物はクロークに預けた。

記念品と名札はこれ↑。後でこの記念品をバッグに付けて活動している人がいて、私も今付ければ良かったと後悔した。よく見ないでクロークに預けてしまったのだ。
名札には「チョコナッツ」と書いたが、別に他の名前でも良かったかもしれない。だが、若い女の子に可愛い名前だと褒めてもらえたから、まあいいか。
私のセクションの集合場所を探した。まだ集合時間の10時までには時間があるものの、見つけられなくて焦る。思ったよりも会場にはたくさんのブースがあって驚いた。こんなに企業の出店があるとは。
見つけたのだが、テントは閉じられていた。周りに誰もいない。まだ10分くらい時間はあるが、誰もいないという事があるだろうか。キョロキョロしていたら、1人がテントを開けて入って行った。中がチラリと見えた。もう人が中にいるではないか。入れるとは思わなかった。
私もテントの中に入った。「おはようございます」と言って入ったのだが、誰も何も言ってくれない。ちゃんと普通に大きい声を出したつもりだったが。
テントの中にはパイプ椅子がいくつか並んでおり、扇風機が2台か3台か、回っていた。
端っこの椅子に座った。すると、また誰かが入って来たみたいで、
「おはようございます」
って、セクションリーダーさんの方から言って、既に座っていたボランティアさん(主にボランティアリーダーさん)も「おはようございます」と挨拶。私も言ったけど……え、なんで私の時は言ってくれなかったの?
ボランティアリーダーさんとセクションリーダーさんがしゃべっている最中だったのかもしれないし、何かタイミングが悪かったのだろうが、私はとっても悲しくなった。自分だけ歓迎されていない気がした。挨拶って大事だね。
それから続々と皆さん入って来た。おはようございますのオンパレードだ。そして時間になったところで、AチームとBチームに分かれた。昨日も活動を行った人たちがいて、いやむしろ昨日から連日の人の方が多かった。昨日は日が出ていて暑かったし、連日は大変だろう。私は去年、いやおととしだっけ、この同じ代々木公園でもしもフェス渋谷のボランティアを土日連続でやって、暑いしとても疲れて凝りてしまった。土日連続のボランティアはやらない。少なくとも屋外のはやらない。
私はAチームになった。若い子が多い中、ボランティアリーダーさんと私は恐らく同世代だろう。むしろ話しやすい。やっぱり若い男の子なんかには話し掛けにくい。申し訳なく感じるから。でも話しかけるけど。
シフトがざっくりと組まれ、私は最初にマイクを付けて呼び込みをする人になった。マイクか。あまりやった事ないが、出来るだろうか?
一応イベントは11時からという事だが、10時半頃から準備を始めた。私は11時前にトイレに行っておく事にした。
そのかつてのもしもフェスの時には、トイレは混んだりしなかったと思うのだが、行ったら並んでいた。だが仕方ないので並んで入った。ここの水道場は石鹸がないな。
マイクで呼び込み
マイクを装着した。記念に自撮りした。滅多にこういうのを付けるチャンスはなかろう。

いざマイクを入れてみたら、なんと言えばいいのか分からない。一度マイクを切って、考える。東京レインボープライドです、活動の紹介をしています、とか何とか。
主催者ブースはこんな感じ。準備中に写真を撮っておいた。




この素敵な壁の前での写真撮影が人気だった。ヘラルボニー(知的障害のある作家さんたちによるアートであり、正規の美術教育を受けていない人のアートを基にしたブランド)協力のもと、アーティスト竹内聖太郎さんの作品「まる」が描かれている。ここにいつも行列が出来ていた。とっても盛り上げ上手なボランティアさんたちがいて、「ハッピープライド!」などと声を掛けて写真を撮ってあげていた。
さて、マイクで呼び込みなどをしていたが、なかなか面白い。声を張り上げなくていいので楽だった。だが、逆に言えばサボれない。ずっと声を出していないとマイク係の意味がないから。それで、喉が渇いてしまった。
水を飲むにはマイクを外さないといけない。このマイク、耳に掛ける感じだが、マイクだけをくいっと曲げたりは出来ないみたいだった。それで、水を飲む為に外したのだが、近くにいた女の子に渡して、代わってもらってもいい?と聞いてみた。するとはい!と言ってすぐに装着。やりたそうだな、と感じたから渡したのだ。
その後、マイクは次々と渡り歩いていた。もう、誰が装着しているのか分からない。みんな、一度はやってみたらいいんじゃないかな。いい経験だよね。
マイクを外してからは、TRPのパンフレットを持ってブースの周りに立っていた。そして、こちらに少し興味を示した人を見つけると、パンフレットを渡した。
団体紹介だから、詳しく紹介してあげられたらいい。実際にバッチリ説明をしているボランティアさんもいた。が、一応ホームページを見たりしてきたものの、書いてある事以上の話はあまりできない。だからパンフレットを配り、ゆっくり見ていってくださいと言うのが精いっぱい。
本当は、寄付をしてくれる人、サポーターになってくれる人を増やすという目的もある。できれば勧誘したい。だが、下手にお金くれ~って感じにアピールすると逃げられてしまうと思って。寄付してくれたら尚良いが、団体の活動を知ってもらうのも大事だ。まず知ってもらって、その上で寄付などは考えてもらえば。
立っていると、
「GAPのお店ってどこですか?」
と聞かれた。地図を出して探した。だが、あまりにたくさんあって探せない。その聞いてきた人も一緒になって探したが、見つからなかった。なんか、買い物を頼まれたそうだ。回ってみると言っていた。しかし、実際にはあったのだ。後でゆっくり探したらあった。やっぱり慌てていると見つけられない。お互いに。

こんなにたくさんあるのだ↑それと、スポンサー企業もこんなに。

それから、パンフレットを渡したら、
「すばらしい団体だと思うんだけど、入りにくいのよね」
と言って来た人がいた。鼻毛が印象的な男性だった。新宿にあるのがいけない、東京駅辺りにあればいいのに、などと言っていた。それからも色々と話す。マスクをしていて聞き取れない時もあったが、うん、うんと聞いていた。すると、
「なんかいつも話さないのに、いっぱいしゃべっちゃった。あなた聞き上手ね」
と言われた。いつもは若い子の話を聞くのだとか。
「おばちゃん応援しちゃうわー、とか思ってね」
と言っていた。おばちゃん!性自認はおばちゃんだったか。私と同じじゃないか。なるほど、話しやすいわけだ。徐々に世の中変わってきているけれど、遅いと言っていて、政治が遅い!などと意気投合してしまった。
20分くらい話し込んでしまった。でもいい。こうやって来場者のお話を聞くのも活動のうちだと思うし、普段なかなか話す機会のない性的マイノリティーの人の話を聞けることが、私がボランティアを申し込んだ理由だから。
お昼休憩
12時半から1時間、Aチームはお昼休憩になった。私はまたトイレに行った。それほど行きたいわけではなかったが、一応行っておく。途中で行くのはなかなか面倒だし。手も洗いたい。あ、石鹸ないんだっけ。
トイレは更に混んでいた。仕方なく列に並ぶ。今度はボランティアさんが「最後尾」のパネルを持って立っていた。そして、
「仮設トイレもございます。全て様式トイレです。そちらの方が比較的空いています」
などと呼びかけていた。でも、何となくそのまま並んでいた。個室の数は多いので、割と列は動いた。私が最前列になった時、次に開いたのが広い個室。さっき、誰も入っていなくて汚れているのかな、と思って覗いてみる事もしなかった個室だった。今出た人がいるのだから、使えるようになったのだと思って入ったら、そこは和式トイレだった。なるほど、だから人気がないのか。
汚れてはいないのだが、便器の周りがびしょ濡れ。この間新聞の投書欄に、比較的新しい公衆トイレでも和式トイレだったりするが、なぜ様式にしないのか、という意見が載っていた。和式は歳を取るとしゃがむのが大変だし、床はびしょ濡れになるし良い事がないと。だから全て様式にしてくれと書いてあった。
昔は和式が一般的だったから、むしろ公衆トイレの様式の方が、肌が直接便器に触れるので敬遠したものだった。学校のトイレなどは床がびしょ濡れという事もなかったような気がする。ここがびしょ濡れなのは、水の勢いが良すぎるからだろう。ズボンの裾を引っ張り上げて床に着かないようにしたが、やっぱりびしょ濡れは都合が悪い。私が出た後、次の人は見向きもしていなかった。ここが和式だと知っているのだろう。
トイレだけで15分くらい使ってしまった。さて、お弁当をもらいに行こう。
休憩所の前辺りで、友達が物販セクションで活動していた。声を掛けに行った。もう1人も奥にいると言われたが、お客さんが並んでいて、人の向こうにいる友達は姿を確認する事が出来ず。少し見ていたが諦めた。食べる時間がなくなってしまう。
休憩所でお弁当をもらい、テントの下のテーブルの所へ行った。お弁当は何種類かあって選べた。2つもらってもいいと言われたが、もちろん食べ切れないので1つにした。

蒸し暑いからか、あまり油を欲していなかったので和風の鰆(さわら)弁当にした。野菜が色々入っていて嬉しい。ご飯の量もちょうどいい。ガッツリ食べる人だったら、確かに1つでは足りないかもしれない。
油を欲していなかったのに、特に美味しかったのがタマネギの串カツだったりする。本当はこってりしたものを食べた方が良かったのかもしれない。
食べ終わり、一度クロークから荷物を出してもらって持参したガムを噛んだりした。クロークには常にボランティアさんが常駐していて、番号札を見せるとその番号の荷物を取って来てくれるのだ。
日焼け止めスプレーをちょっとだけ手の甲に掛けたが、本当は顔にも掛けたかった。そしてちょっと化粧直しもしたいのだが、する場所がない。トイレはまた並ぶの嫌だし。もう諦めた。
まだ30分くらい時間があるので、向こうのパレード口の物販で活動している友達に会いに行ってみようと思った。
ケヤキ通りであってるかな?舗装された道路があって、道の両脇にはたくさんのお店が並んでいた。キッチンカーがあったりして、テーブルが並んでいる所もあった。
ドラァグクイーンと記念撮影ができるポイントがあり、結婚相談所かな、なんかやっぱり記念撮影ができるスポットがあったり、ヤマハとか日テレとか知っているところのブースがあり、音楽が掛かっていたり、賑やかだった。しかも、人が多い。
そういえば、公園内は若い人が多いし子供もいて、我々世代はいてもあまりご老人は見かけなかったが、この通りにはやけにご老人を見かける。男女共に。70~80代の人が多いのは何故だろう。
NHKのブースがあってレインボーどーもくんの看板があった。可愛い。ああ、でも時間が。これどこまで続くんだ?全然終わりが見えない。人が多くて急げないし、これ以上向こうへ行くと時間内に戻れない気がしたので、友達に会いに行くのは断念した。そして戻って来る途中で、写真を撮れば良かったと思った。あのどーもくんとか。
NHKまで戻ろうかどうしようかと迷ったが、やっぱり時間がなさそうなので辞めた。あちこちに、とても派手な格好をした人がたくさんいる。人種も様々。タイのブースでもかなり派手な衣装を見かけた。
ピッチトーク
13時半頃に主催者ブースに戻ってくると、テントの中にたくさんの人がいた。ピッチトークが行われていて、その後質疑応答などが行われていた。
裏の壁では写真撮影が続いている。私も手伝おうかなと思って見に行くと、いつも「ここは無理だ」と思って戻ってしまう。テンションが続かなそう。私、マイクを装着していた時に「竹内聖太郎さんの素敵な作品と共に写真撮影はいかがですか?」などと言っていたのに、ヘラルボニ―の事を全然知らなくて、ブログを書く際に調べて知ったのだった。活動中に知っていれば、もっと違った呼びかけが出来たかもしれないのに。
今まで曇っていたのだが、昼過ぎに雲が途切れ、日が出てきた。そうしたら暑い。気づけばみんな帽子を被っているのに、私は持って来てもいなかった。日焼け止めもまたクロークに置いて来てしまった。晴れるって聞いてないんだけど。
でも、ラッキーな事に私は午後からテントの中で受付だ。だから帽子も必要ないもんねー、と思っていたら、どうやら勘違いだった模様。他に自分が受付だという人がいて、ボランティアリーダーさんにシフト表を見せてもらったら、私は14時半から受付けだった。朝言われた時に、この辺がよく分からなくなってしまっていたので。
残念ながら、日差しの下に立っていなければならなくなった。ボランティアリーダーさんは日陰にいて、などと言ってくれたが、そうもいかない。幸い日差しは時々雲に遮られたが、時々顔を出した。なるべく太陽の方を向かないように立っていよう。
ピッチトークは大盛況だった。次はBチームが休憩に入るのだが、呼び込みを頑張った、次の呼び込みも頑張ってなどと言われた。大丈夫かな。
直前まで全然人がいなかったのだが、次の時間14:10になったら人が集まって来て、話が始まるとどんどん人がテントの中に入って行った。
もちろん、私も呼び込んだ。興味を示した人には中でお話を聞いて行って、と促した。あまり大声で話すとトークの邪魔になると思って、ピッチトーク中は大声は出さなかったが。
色々な人が通る。西洋人風の男性かな、と思われる2人が、フリフリの白っぽいミニドレスを着て、すっごく底の厚い靴を履き、金髪に猫耳のような物を付け、私に話し掛けてきた。
「お水はどこで買えますか?」
鼻の穴が詰まってないかな?さっきの鼻毛のおばちゃんと言い……いや、まあいいか。それで、私は自分のうろ覚えの記憶で自販機のある方向を教えた。買えたかな。そういうのも、事前に確認しておけばよかった。
それから、手話で話し掛けられた。手を何かして、腕時計のある場所を指す(実際には時計はしていなかったけど)。最初の手話が分からない。何時なのかと聞いているのは分かるのだが。それで、ピッチトークの事かなと思って、書いてある場所に連れて行ったら、他のボランティアさんが手話が出来るボランティアさんを連れてきてくれた。そして、話は付いたようだった。
私たちは、その手話の腕章を付けたボランティアさんにお礼を言い、
「私も手話を勉強してるんですけど、最初のこれが分からなくて」
と、最初の手話をやったら、
「ああ、これはパレードです」
と教えてくれた。ああ!そうだった。ボランティアの全体集会の時、全体の説明の時に手話通訳さんがいた。説明を聞きながらその手話通訳さんを見ていた私は、「パレード」の時に両手をヒラヒラさせる様子を見て、なるほど、たくさんの人が並んで歩いているように見える!だからパレードか!と思ったのだった。
それなのに、ああそれなのに、すっかり忘れていた。ダメだな。
しかも、パレードが何時からなのかよく分かっていなかったし、スタートの場所すらも分かっていなかった。一人じゃ何も解決できないのだった。まあ、皆でやればいいんだけどね。
受付
14時半になり、私ともう1人、男の子が受付をやる事になった。受付は、サポーターになってくれる人の為の受付けだ。だからさほど人は来ない。
ホワイトボードにピッチトークの時間などを書き直したりして、それを持って座っている感じ。サポーターよろしくという文字が書いてあるボードも持とうか。
15:15から次のピッチトークが始まった。この登壇者さんのお話を聞いた事がある。多分オンラインセミナーだろう。やっぱり直前になってたくさん人が集まって来た。こんなにLGBTQ+の事に関心のある人がたくさんいるのだな、と改めて知った。
LGBTQ+の老後を考える、というテーマだった。健康に関する話で、
「ゲイはポッチャリがもてる傾向にありますが……」
なんて話が耳に入る。それって単なるイメージとか噂話の類かと思っていたが、本当だったんだな。勉強になる。それだけでなく、為になる話はたくさんあった。人から話し掛けられる事もあるから全部聞いていたわけではないが。
男性同士2人で歩いている人をたくさん見かけるが、友達同士なのかカップルなのか、全然分からない。今日はこういうイベントだからペアルックを着てきた2人もけっこういる。だからカップルかなと思うが、歩いている感じは友達同士なのかそれ以上なのか分からないものだ。
だが、片方が西洋人風の男性カップルは、手をつないでいる事が多い。こうして座って前を通る人を見ていると、色々観察できる。そして、2人とも西洋人風だと時々チュッとやっている。さっき音が聞こえたと思ったが、しばらくすると多分同じカップルだと思うのだが、完全にキスをしていた。
キスをされた方の男性と、うっかり目が合ってしまった。そうしたら急に、止めろよもーって感じに彼氏を押しやっていた。可愛い(笑)
つまり、男性同士だろうが男女だろうが、なかなか人前でチューなどしないのが日本人なのである。でも別にびっくりはしない。男性同士のチューなど、ドラマやフェイク動画なんかでしょっちゅう見てるから。
そうそう、片方外国人という男性2人組が我々の所にやってきて、
「今年はJALのブースってないんですか?」
と言った。受付の男の子が、
「あ、あそこです」
と言ったのは、JTBのブース。すぐ横だった。
「JTBじゃなくて、JALです。日本航空の。去年はあったんですけど」
とお客さん。男の子は地図を広げて探し始めた。でもね、なかなか慌てていると探せないもので。でも男の子が、
「あ、ありました。これです!」
と言って示したのは、やっぱりJTB(笑)きっとJALに馴染みがないんだね。一方、外国人の彼が何か小さい声で言って、日本人の男性がまた、
「韓国はないんですか?去年はあったんですよね。今年はタイが来てますよね。韓国はないのかな」
と言う。私は去年の事を知らないし、なんとも答えられない。男の子は懸命に地図とにらめっこしているが、さっきのGAPじゃないけれど、あったとしてもなかなか見つけられないものだ。そこで、
「よかったら地図をどうぞ。焦ると探せないので、すみません」
と言って地図を示した。英語版もありますよーと。彼らは日本語版と英語版を1つずつ持って行った。自分でじっくり探してね。
それにしても、よく長ーいフライドポテトを持って通る人が多い。たこ焼きが乗っていそうな細長い船型の容器からはみ出している。普通のジャガイモの長さの3倍はあるだろう。という事は形成ポテトなのか?それにしては細いな。あれどこで売っているのだろう。欲しい。
しばらくすると、友達が会いに来てくれた。あの遠い所で活動している友達だ。今お昼を食べたところだと言っていた。もう15時半だぞ~
ミニ休憩
16時になった。ここからAチームは30分の休憩である。
やっぱりまずはトイレかな。
と思ったら、すっごい並んでいる。今度は30分しかないのに、これはどうしよう。
という事で、仮設トイレの方へ行ってみた。
なるほど、さほど並んでいない。男女の区別もない。まあ、元々のトイレは仕方ないけれど、このイベントの趣旨からすれば男女2つに分けるなどあり得ないだろう。
割とすぐ順番が回ってきた。確かに様式だったが、仮設トイレはどうしても匂いがねえ。
男性の次に入ったので、便座が上がっていた。それは何となく嫌だった。別に便座を下ろすべきだとは言わない。次の人も上げるかもしれないのだから。でも、理屈ではなく嫌だ。そしてトイレットペーパーの蓋まで上がっていたのは解せない。
すごい衣装を着ている人が出てきて、
「苦行だった」
と言ったら周りの人が笑っていた。男性で、しっぽのような羽のような突起の着いたキラキラな衣装を着ていて、狭い個室内では身動きできなかったのではないか。それこそ仮設トイレは辞めた方がよかったかも。でも、男女どっちのトイレに並ぶか迷うのなら、こっちの方がいいよね。
私が男性だと書くのは、読者がイメージしやすいようにと思っての事。あの人の性自認がどちらなのかは分からないが、イメージするなら男性だと思う。周りで笑ったのも男性たちの声だった。
さて、今まで受付で座っていたので、休憩中に座っていなくても大丈夫だ。やっぱりNHKのブースで写真を撮って来よう。
相変わらず人が多く、混雑していた。NHKを目指していたら、手前に着ぐるみを着た赤いやつがいた。

私はりんごかと思っていたが、友達がトマトだと言った。ヤマハのキャラクターだ。
そしてNHKにやってきた。中で何をやっているのか分からないが、とにかく写真を。

お、可愛い物を発見!写真を撮ろうとしたらさっと手に取って記念撮影する人がいて、待った。

私は一緒に撮らなくていい。でもなんか、後ろの箱が写ってしまってあれだったか。
さて、思い残す事もないので、休憩所に戻って少し座っていた。顔があまりにもベタベタなので、またクロークから荷物を出してもらって(毎度すまぬ)鼻の頭にだけ粉をはたいた。それから、水筒を空にしてそれを置いていく事にした。新たにペットボトルの麦茶をもらい、バッグに入れた。
またクロークに荷物を預け、再び持ち場へ。
過激な質問
16時半になり、「LGBTQ+の地域格差」というお題のピッチトークが始まった。やはり人がたくさん聞きに来ていた。最初に秋田県の女性がトークをした。秋田でレインボーマーチを始めた方で、秋田でやってどれだけ人が集まるのかと思ったら~という話に興味津々。外に立っているものの、耳は完全に中に向いていた。
そこへ、1人の男性が話しかけてきた。
「これは何をしているのですか?」
と。それで、こんな題でトークイベントをしていると説明し、興味深いですよね!と熱く語る。是非聞いて行ってという感じの所へ、男性はスマホを私に見せた。
「LGBTは生産性がない」
と書いてあって、思わず「わぉ」と言ったら、「冗談です!」と言ってその人は笑った。どうやら日本人ではないらしい。日本語は堪能だが、何か質問があるとスマホで打って日本語に翻訳して、私に見せる。
冗談と笑ったが、冗談ではなかったようだ。次々に繰り出される質問から察するに、彼はアンチ性的マイノリティーで、アンチユダヤ人で、特にアンチトランスジェンダーだった。
だが、当たりは至って柔らかい。後から考えると、ネット右翼の言っている事を並べて、リベラル派がどう答えるのかを知りたかったように思える(この場でボランティアしている人はリベラル派だと思ったのだろう)。だって、この場にユダヤ人は関係ないし。彼は私の話をじっくり、否定せずに聞いてくれた。私はこれまで話を聞いていたが、この人にはあれこれ話す羽目に。というか、この人聞き上手か?
これは私の考えで、この団体の意見ではない。私個人はそう思います、とはっきり言ったが、彼は何を得たのだろうか。とても気になる。
秋田の話をあまり聞けなかった。残念。次に九州、とくに福岡で活動している男性の話になった。福岡は都会だからな、などと思っていたが……
ある質問に、その福岡で活動する男性が答えているのを聞いた時、思わず泣きそうになってしまった。
カミングアウトをしたのは何歳の時かという質問だった。男性は30歳の時だと答えた。このままカミングアウトせずにいて具合が悪くなり、社会復帰できないまま実家に戻るのと、カミングアウトして幸せになるが親に勘当されるのと、どちらがいいか天秤に掛けた時、親は子供の幸せを願うものだから、きっと幸せになってから親に会いに行った方が……って、もうこれ以上聞いていたら泣いてしまうので、ちょっと離れてしまった。
良いお話をありがとう。
片づけ
18時にイベントは終了だった。最後まで写真撮影の方は盛況だったようだ。もう人もまばらになってくると、懸命にサポーターを募ってみたりしても効果なし。周りのテントも片づけモードだし。
そして、18時になり本格的にテントの片づけに入る。もう、だいぶ片づけられていたが。
テント内にはたくさんの電気コードが這っていたが、そのうちの緑色のコードを外すと言われ、みんなで頑張った。すごく長いコードで、グルグル巻いた。手が真っ黒になった。
1人の女の子がウエットティッシュを配りにきた。
「ありがとう!」
と、他の若い女の子たちがもらおうとした時、思わず私が、
「まだ他のコードも外すかもよ?」
と言ったが、考えてみたら余計な事を言った。ウエットティッシュをどうぞと出した人が引っ込めるわけにもいかず、何となく水を差しただけでその流れは止まらず。そして、私もやっぱり手を拭こうと思ったが、私にはウエットティッシュを当然くれなかった。私は自分のウエットティッシュを出して手を拭いた。だが、テーピングした指はこれではダメだ。こりゃ、このあと外で食事はしない方がいい。家に帰ってテーピングを取り、お風呂に入ってからでないと食事はできないと思った。
というわけで、この後新宿2丁目へ行ってプライドナイトとやらに参加するかどうしようか迷っていたのが、行かない事に決まった。ちょっと行ってみたい気もするが、疲れているしどうしようか、と迷っていたのだ。プライドナイトというパーティーがあって、ボランティアは入場料なしで入れるという事だったのだが。
片づけも大体終わり、後は業者にお任せとなった。最後に写真撮影をする事になっていたのだが、1人いないという事でしばらく待った。
いなかったのは、私に何度かパンフレットを渡しに来てくれた若い男の子だった。チェックアウトはしていないそうだが、連絡がつかないとか。黙って帰ってしまったのだろうか。もしも、事件や事故に巻き込まれていたり、どこかで具合が悪くなっていたりしたら、と少し心配だが、可能性としては黙って帰ってしまった方が高そう。
セクションリーダーさんが、皆で活動したのに1人いない時に写真撮影しちゃうのは嫌だからと言って、だいぶ待っていたのだが。それでも、活動終了予定の19時よりは前に撮影をして解散になった。その時の写真はSNSに載せてOKなのだが……よくよく考えると、ここに載せたら消去法で私の顔がバレると思った。なので、全員が載せてOKと言っているにも関わらず、人物を切るという事になってちょっと残念である。でも、壁の様子は少し分かるでしょ?

解散
休憩所に戻ると、入り口が濡れていた。
「水をあまり踏まないように」と言われた。血液がどうとか。何やらけが人が出たとか。あら大変。そんなに流血が?怖い。
先にチェックアウトをし、クロークから荷物を出してもらってTシャツから私服のベストに着替え、トイレに行ってきた。そこで一緒に活動した女の子と会った。雨が降りそうだったのに、すごく綺麗な夕焼け空。

写真に撮るとどうも色が違うんだよなー。写真では少し黄色っぽいが、もっと真っ赤だったんだ。
女の子と別れ、一度会いに行ったのに会えなかった友達に声を掛けに行った。物販で活動した友達は、昨日も活動していて疲れているだろう。それなのに、物販は終わるのが遅いらしい。まだ片づけが終わっていなかった。みんなはご飯を食べて帰るだろう。昨日もそうだったようだし。でも、何しろ私は手が汚れていて一刻も早くお風呂に入りたいので、先に帰らせてもらった。
駅へ向かって歩いていたら、一緒に活動したお仲間と遭遇。男性と女性、多分私と同世代の2人と一緒に駅へ向かった。
女性は看護師さん、男性は小学校の先生だそうだ。小学校の先生は1年生の担任をしていて、しかも名古屋にお住まいだとか。金曜の夜から東京に来てホテルに泊まり、土日ともボランティア活動をして、今日帰って明日からまた仕事だとか。
すごい。体力がすごい。そして、今度は大阪でレインボープライドのボランティアをするとか。学校の先生は大変だと聞くが、いや、見ていても大変そうだが、こういう人もいるのか!
でも、私が大阪へ万博のボランティアをしに行った話をしたら、すごいと言う。いやいや、私なんてすごくないし。ただ、
「でも楽しいですよねー!ホテルに泊まってねー!」
と言ったら、一緒になってねー!と言ってくれた。意気投合。そうなのだ、確かに大変でもあるのだが、遠くへ出かけて1人で泊ったりして、ボランティアしてくるのは楽しいのだ。彼も息抜きだと言っていたし。
初めてのレインボープライドのイベント参加であった。しかし、パレードの様子が全く見られなかったのが心残り。次回はパレード担当のボランティアを希望してみようか、と思ったりした。だが、そうなるとだいぶ歩く事になるだろう。友達と物販を希望するのも楽しいかもしれない。だが、あれもけっこう大変そう。
だんだん体力がなくなりつつある昨今、ボランティアも厳選せざるを得ない。でもこのイベントだけは、ここに来ないと分からないもの、見られない現実がある気がして。また何かしらの形でここに、この東京プライドイベントに来ようと思う。