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太極拳大会のボランティア

夏。様々なスポーツの大会が行われている。その運営ボランティアも多々募集がなされ、あれこれ申し込むも、ことごとく抽選から漏れる。

が、当たった!太極拳大会のボランティア。

正式には、第40回全日本武術太極拳選手権大会。その、閉会式における10年に一度の集団演武出演者の、誘導係である。

この選手権大会は7月14,15,16日に行われる。16日の夕方5時ごろから集団演武がある。前日にはリハーサル。私たちボラセンで集められたボランティアは、15日、16日の午後に活動があった。場所は東京体育館である。

一日目~集合

土曜日。良く考えてみたら三連休の初日だった。天気は曇り。雨が降りそうで、風の強い日である。

JR千駄ヶ谷駅前、改札口を出てすぐ目の前にあるのが東京体育館だ。ボッチャの大会のボランティアで少し前に訪れた事がある。今日は正面玄関から入ればいいので迷いはしなかった(前回は裏から入るとのことで、初っ端から迷った)。

体育館の入り口では、チケットのチェックがなされていた。ボランティアです、と告げると、右側の受付へと言われた。

受付で名前を言うと、プリントの挟まった大きな冊子をもらった。他の人は、その冊子と何かをもらっている。今日はTシャツを渡されるはずだった。私には冊子だけ?ちょっと不安になった。受付の若い女性は、

「2時半になりましたら、ロビーに集合してください」

と言った。私は、

「Tシャツはその時にもらえるんですか?」

と、何となく聞いてみた。すると、受付の女性がまだ首を横にも縦にも振らず、もちろん分からないとも何とも言わない内に、

「引き受けます」

だったかな、そんな感じの言葉を言って来た若い女性がいた。ちょっとだけ受付の人よりもベテラン感があり、インカムを付けている。運営委員とかってやつ?その人が私に向き直った。いや、そんな大層な事を尋ねたつもりはない。分かりませんと言われたらそれで構わないくらいだった。何となく、厄介な人扱いを受けた気がした。クレーマーとか、無理難題を言って来る客みたいな?何も分からないボランティアとかバイトの人を守る為に、責任者がさっと出てきて厄介な客を連れて行く、みたいな?

「あー、2時半にロビーに集合してくださいと言われたので、その時にTシャツをもらえるんですかって……」

と私がインカム女性に言うと、

「はい、その予定です」

と言われた。まあ、そうだろうね。でも、実際は違ったんだけどね。

私も年を取ったな。余計な事を躊躇なく口に出しているかもしれない。若い人だったら、まだここで「Tシャツは?」なんて言わないものだ。最後の最後になって、みんな持ってるのに自分だけもらってないぞ、となってから初めて聞いてみるものだ。それなのに……。反省もするが、でもやっぱり、別に威圧的に聞いたわけでもないのに、ちょっとあの扱いはなぁ。ショック。

ちょっと早く着いたので、トイレに行き、もらった冊子や挟まっているプリントを見たりしていた。足元の写真を撮って、ツイッターに上げたりもした。それにしても、ロビーと言われた椅子の並ぶその辺りには、たくさんのおばあさんがいた。おじいさんもいる。椅子の周りには多少若い人も立っているが、なんだかいつもよりも年齢層が高めだなと思った。

今日は知り合いはいないと思われる。ただ、最近一人ツイッターで声を掛けてくれた人がいた。このボラに当たったと。その人と相互フォローになったので、会えたらいいなと思った。それで、DMを送ってみた。私の服装や持ち物の特徴を知らせた。

そうしたら、その相互さん(Yさん)がすぐに私を見つけてくれた!私がさっき、この人じゃないかなーと思った、まさにその人だった!嬉しい!初対面だけれども、とてもそうは思えないくらい、仲良くお話をさせてもらった。こんな事言ったらおこがましいかもしれないけれど、気が合うってやつかなぁ。他に話しかけた人もいるけれど、あまり会話が続かなかった。Yさんとは会話が途切れないからなぁ。これからもお友達でいてくれるといいなぁ。

役割

時間になり、集合がかかった。そうしたら、年齢層高めな、椅子に座っていた人たちはボランティアではなかった。ボランティアが集まってみたら、いつも通りの年齢層だった。60代以上の男性が多く、中年以上の女性も多少いて、若い子も数名いる。女性は人によって見た目年齢がバラバラなので、若い子と中年の間くらいの人は、皆目年齢が分からないのだが。

ボラセンの人と、日本武術太極拳連盟の人など、スタッフさんが4~5人いて、特に太極拳連盟の一人が中心になって我々を導いてくれた。その中心的な人をKさんとしておこう。

まずKさんは出席を取った。ボラは32人。一人ひとり名前を呼び、点呼を取った。すると、Yさんが呼ばれた次に私が呼ばれた。私は最後だった。

点呼を取った後、Kさんに連れられて、体育館の中へ入って行った。客席とは違う側から競技会場を見下ろし、太極拳大会についての話をKさんから聞いた。

これは、ボラ活とは直接関係がない話だった。太極拳の事を知ってもらおうと言う趣旨のお話だった。

お話を聞いてよくわかったのだけれど、メモを取ったわけではないので、ここに記す程には完璧に記憶しておらず。でもね、太極拳には大きく分けて二つあって、競技人口の多い方は今日、都道府県大会を勝ち抜いてきた人達による全国大会が行われていて、競技人口の少ない、若い男の子たちがやっているようなやつは、そうではないという話は覚えている。若い男子たち、剣や棒を持ったりして、高くジャンプして回ったり、カッコいい。うちの次男にもやらせたいくらいだ。

競技人口の多い方は、演武と言ったかな。二人一組でやるやつ。フィギュアスケートなどのような採点方式だとか。10点満点で。

その説明をしてくれているKさんは、昨日運営の合間に大会に出場したそうで、8.6点で3位だったとか。カテゴリーとか色々あるのだろうが、すごいのだけは分かった。なかなか9点台は出ないという話だった。

それにしても、チャイナ服がとても綺麗だ。色鮮やかで、絹のなめらかな質感。てろんてろんなズボンがいい。

一通り太極拳の解説が終わると、ボランティアの控室へ移動した。そこの椅子に座って、今日の段取りの説明を受けた。

10年に一度、集団演武が行われるそうだ。今回は40回目の大会なので、行われると。

参加者は600名ほど。800名以上の申し込みがあったので、年齢の高い順に参加できたそうだ。まあね…次が10年後だから、年齢の高い人には、次は無いかもしれないからね。そう聞いたら、私も10年後にボランティアができるのかどうか、怪しいものだと思った。暑い中移動したり、ずっと立ちっぱなしだったり、重たいものを運んだり。男性は60代以上の方が多いけれど、女性にはあまりいないのは、体力的な問題があるからだと思われる。50代の後半になった時、どんな感じだろうか。ボラ活に慣れて、今よりも余裕だったりするかもしれないけれど。

まあ、だから出演者は年齢層が高めだったわけだ。その出演者600名ほどを32列に分けるそうで、その1列ごとに我々ボラが誘導をするという事だった。だからボラの数が32人なのだ。

我々の役割はざっとこんな感じだ。

サブアリーナで列ごとに点呼を取り、時間になったら3列ごとにメインアリーナへ誘導する。紐に番号の書いたテープが貼ってあるので、自分の列の番号のところに並ぶ。そして音楽が始まったら足踏みを始め、指揮者の合図で前進。本部席前の紐の所まで歩く。曲が終わったら左側にはける。その際、紐を回収するので手伝う。演武が終わったら、列の一番後ろに着く。そして誘導してバックする。

32列目の人は、移動が大変かもしれないから、小走りだとか何とかいう話も。32列目かぁ。ちょっと嫌な予感がするよな。さっきの点呼の順番だとすると、私が最後だったからね……。

そして、Kさんの

「列を決めちゃいましょう」

というお言葉の後、

「1列目は○○さん、2列目は○○さん」

と始まった。これは、さっきの名簿順だ。予感的中。私は32列目の担当だった。やっぱりね。でも、Yさんと隣だから嬉しい。それと、32列目は半端な数で、他の列が19人ずついるところ、うちは11人しかいないから楽である。でも、移動が忙しいな。

そして、ここでようやくTシャツが配られた。私はてっきりサイズは一律かと思い、でっかいサイズが来るものと思っていた。そうしたら、SS、S、M、L、LLとサイズがあるらしい。ただし、SSは2枚しかなく、おそらくLLもかな。私などはSサイズにしておいた方がよさそう。Mの方がいいか迷ったが、Sをもらった。

着ているTシャツの上から着た。ちょっと似合っていないけれど、サイズ的にはちょうど良かった。ただ、下に着ているTシャツがほんの少し袖と裾から出てしまう。でもまあ、今日はリハーサルだというからいいだろう。明日はユーチューブ生配信されるらしいし、本部席に向かって歩くから、ちゃんとしなきゃな。

皆さん、更衣室やトイレへ着替えに行った。私とYさんはその場でかぶってしまった。あと、この部屋で着替えている人が二人くらいいたかな。私はトイレで着替えるのが嫌いで、よくゴスペルのライブに出演する時にも、衣装を中に着て行ったものだ。ロングドレスでさえ。

時間があるのでトイレに行ったのだが、後でもう一度トイレ休憩があった際、さっきは行かずに今行けばよかったと後悔したのであった。

体験会

ボランティアの体験会がある、と予め言われていた。二日間とも黒い長ズボンという服装指定があったのだが、一日目は体験会があるので、動きやすい伸びのよいズボンを履いてきていた。

てっきり、サブアリーナなどの広い場所に行ってから体験をするのかと思ったら、打ち合わせの最後に控室で行われた。

当然狭いので、腕を前後に動かすだけのもの。えっと、ズボンの動きやすさ関係なかった……。Yさんも同じように思って動きやすいズボンで来たという事だった。二人で笑った。

Kさんが教えてくれて、時間の関係でほんの少しの体験だったのだが、つまり太極拳とは、力を抜く事だった!脱力し、リラックスをする事。それが太極拳の演武の目的だった。両腕を前に上げて、下げる。膝を少し曲げて、伸ばす。あまりちゃんとはできなかったと思うが、極意は分かった気がした。

あと、の仕方を教えてもらった。右手でこぶしを握り、左手は指をそろえて伸ばし、親指を曲げる。そして「礼!」で右手のこぶしと左手の手のひらを胸の前で合わせる。少し手のひらを前に向ける角度で。そろえてやると、カッコいい。それを、演武の時に出演者の皆さんと一緒にボラもやる事になった。

リハーサル

サブアリーナに移動した。プラカード(というか、A4用紙に番号が書いてあるものをラミネート加工してあるやつ)と名簿を渡され、シャープペンをお借りして、番号順に並んで行った。

サブアリーナでは、若い子たちが練習をしていた。パン!とすごい音がする。あれは、足を挙げた時に、その足を手で叩いているように見える。チャイナ服男子、新鮮だ。競技人口が少ないという事だが、カンフー映画とかに出られそうだな。

同じ服を着ているおばさま方が、次々とやってきた。ご自分のカードを持っていて、列と番号が書かれている。32列の人達が、自分は何番です、と言って来る。名簿にチェックを入れて行った。

600名の方々は、背の順で並ばされているそうだ。すっごい揃っている。1列目は170cmくらいある人達で、32列は140cm代の方達なのである。私の周りには、小さめのおばさま方がいるわけだが、皆さん明るくて元気だ。やっぱり趣味を持って体を動かしている人達だからかな。

で、私はすっごく馴染みがある。夫の祖母と妹が民謡踊りの先生をしていて、少し前までは家族総出で発表会を開いていた。私も音響のお手伝いをしていて、リハーサルにも出た。おばさま方はお元気で、私よりもむしろ、立っているのが平気なくらいだった。懐かしいな。今、夫の祖母も亡くなり、生徒さんの減少もあって発表会を自前では開かなくなってしまったのだ。まあ、あれはすっごく大変だったので、無くなって非常に楽になったのだが。

ボラセンの人、この人すっごく見た事あるんだよな、という男性がいて、私がいつも端っこにいるからか、よく雑談をしに来てくれた。さっきの、背の順なんだって、とか、お元気ですよね~とか、そういう話もこの人としたのだ。

さて、けっこう立たされて待たされたが、いよいよメインアリーナへ移動だ。

私は案外、見守ったり、気を配ったりするのが好きなようだ。全員がちゃんとついて来られるかどうかに気を配ったり、具合の悪い人、怪我をしている人がいないか等を気にしながら見守ったり、すごく楽しかった。

メインアリーナに行き、紐の番号のところに立った。すると、運営の人が、

「ボランティアさん、こちらにはけてください」

と言った。え?今?と皆戸惑ったけれど、言われた通りにはけた。右側に

元々は、先頭に立って行進するという話だったが、行進する前にはけた事により、行進はしなくなった。なるほど、先頭で行進なんてしたら目立つ。我々は目立たない運命なのだ

そして、左側にはけるという話だったが、右側にはけた事により、移動が大変なのが32列目ではなく、1列目という事になった。あらあら。そして、紐は回収されないままになった。

後ろで固まって演武のリハーサルを見ていた。写真を撮りたかったが、フィールドでは撮影禁止だったような気がして辞めた。何人か写真などを撮っていたようだが。まあ、いずれユーチューブで観られるだろう。

演武は5~6分なのだが、リハーサルなので2回やった。そして、600人が後ろに下がる時に、またプラカードを持って持ち場に立った。

リハーサルが終わって、私など2~3人のボラが誘導を頼まれた。でも、1列ずつメインアリーナを出るという話だったはずだが、結局ドバーッと出てきて、声かけをする必要性もなく、ただ事故がないかどうか見守っているだけになった。この後、荷物預り所で大渋滞ができたそうだ。それは翌日知る事となったのだが。

ちなみに、私は薄々気づいていた。礼をするという話、プラカードと名簿を持っていてはできないのでは、と。案の定、礼、と号令がかかった時、みんなを見たら誰もやってなかった。あの礼は、小脇に何かを抱えていてはできないのだ。

一日目終了

控室に戻って来た。打ち合わせと違って、我々が行進しなかったのは、Kさんの手違いだという事だった。でも、明日の本番もこれで行くそうだ。その方がいい。ボラは目立たない方がいい。

色々質問が出た。我々の活動は5時半までと言われていたのだが、リハーサルが終わった時点で既に5:45になっており、今はもう6時を過ぎてしまった。

すると、質問する人を遮って、5時半までという事だったのに、もう時間がないから失礼すると言った人がいた。そして、その人を含め数人が立って出て行った。運営の人たちは、その人達に「ありがとうございました」とたくさん頭を下げていた。

その後質問が一つ二つ出たが、それで終了だった。

まあ、予定時刻をけっこう過ぎているのに、それを気にしていないかのように続いていると、次に予定のある人は気を揉んで、イライラもするだろう。でも、活動は時間を過ぎてしまう事も当然ある。早く終わる事だってある。もし自分に予定があるならば、

「予定があるので、すみません」

と言って出てくればいいだけの事。もし帰ってはダメと言われたら、予定時刻をこんなに過ぎているんだからと言い返してもいいと思うけど。

悪意のある人には怒ってもいいけれど、段取りが悪いとか、うまくできない人に対しては怒るべきではないと思う。もしかしたら、質問を続ける人に対して怒ったのかもしれないが。割り込む形で言ったから。

お弁当交通費をもらった。上履きなどをこの部屋に置いて行ってもいいという事だったが、万が一自分が具合悪くなって明日来られなくなったら回収できないと思うと、置いて来られなかった。まあ、ピッタリ32人だから、休むのは相当気が引けるのだが。

帰る時間が意外に遅くなり、もう夕飯は作れない事が確定した。で、家にいるのが次男だけだったので、

「おにぎり2個もらったから、1個あげる

と連絡をしておいた。で、夕飯の時間までに家に着けない事が分かり、電話をかけた。まあ、その時に余計なことを言ったかもしれないのだが……

家に帰って、まだ私が座らない内に、次男がお弁当を開けてしまい、気づいたらウインナーを口に入れている!写真を撮る暇もなく、何故だかおかずを全て次男に奪われた。おにぎりは半分ちぎってもらったのだが。あれ…?まあ、明日ももらえるからいっか。明日は違うお弁当かな。サンドイッチかも?(おにぎりやサンドイッチを頂けると書いてあったので)

二日目~集合

翌日の日曜日。すごく暑い日だった。この日の集合は3時半だった。前日と同じ場所だ。

行ってから着替えるのは面倒なので、ユニフォームのTシャツは着て行く事にした。家にいる時にはタンクトップだけを着ていたが、出かける時にはその上にTシャツを着て、上に薄い半そでの羽織りものを着た。

東京体育館にやってきた。20分くらい時間があるので、客席に行ってみた。端っこに座った。

目の前で練習している人たちがいる。右の方では、もちろん大会が行われていた。

そして、そろそろ時間になったので集合場所へ。今日もKさんが点呼を取った。昨日いた、よく話しかけてくれたボラセンの人はいなかった。

控室に移動して、昨日の帰りに質問が出た事などを踏まえ、変更点などの説明があった。今日はボールペンを持ってきたので、メモをしながら聞いた。何しろ、こちらが出演者から聞かれるかもしれない。その時に正確に答えられるように、メモは必要だと思った。

今日、我々が点呼を取る時に、お声かけをすることが二つあった。トイレ休憩がこの後にはない事と、閉会式の最後までいられるかどうかを聞くという事。もし飛行機や新幹線の時間があって早く出たい人がいたら、このタイミングで出るという話を聞いた。全体に対してその話をしてしまうと、皆が早く帰りたいと思ってしまうかもしれないから、個人個人に聞くという事になった。

ちょっと気が重い。私は決まった事を話すのが苦手だから。でも、他の人と比べて人数の少ない列だから、本当にラッキーだったな。

いくつかの変更点や確認点を聞いて、じゃあ移動と。早い!昨日はトイレに行くのが早すぎたと思ったが、今日は行くタイミングがなさそう。慌てて移動の前に済ませた。まあ、今日は外が暑いからなのか、昨日はちょっと冷房が寒いと思ったが、今日は全然寒くなかったので、トイレの心配もあまりなかったのだが。

本番

サブアリーナに移動して、まずはボランティアで記念撮影をした。「礼」をして。せっかく習ったからね。

そして、おばさま方が今日もまた、元気にやってきた。今日は本番だから緊張しちゃってるかなと思ったら、そんな事はなかった。昨日と変わりなく、皆さん明るく元気だった。ただ、点呼を取る時、流石に昨日ちょっと会っただけで名前と顔が一致しているわけはないのに、こちらに来ないでさらっと列に皆さん並ぶものだから、一人ひとりに声を掛けに行った。誰に声を掛けたのか、掛けていないのかも一瞬にして忘れるくらい、皆さん背格好も服装も同じで

苦手な声かけも、頑張った。やっぱり、うちの列はあっという間に終わった。他のボラさんたちはもっと時間をかけて一人一人に聞き込みに行っていた。

スタッフの数も少ないし、昨日リハーサルしたから大丈夫だよねという感じで、私たちは自分で考えて行動する事も多かった。やはり、見守り、励まし、気を配るのは楽しい。ただ、私の列の人ではないが、段差に躓いて転んでしまった人がいて、ヒヤッとした。今怪我をしたら大変だ。それを見た事もあり、階段を誘導する時には、前が少し空いてしまっても焦らず、ゆっくりと進んだ。

今日の変更点の一つが、足元の紐を回収するという事だった。演武の際に踏んでしまって危ないという声があったそうで、我々がはける時に持って行くのだ。最初は全員で持つという話だったが、やはり1番、5番、10番~と5の倍数の番号の列の人が持つようにしようと決まった。

さて、いざ皆さんを番号の列のところに誘導し、我々がはける段になった。と、その時に紐が、我々がはけるのと反対方面に引っ張られた。

え?紐はそっちにはける事になったの?

と一瞬思ったが、そうではなかった。前の方の人達が手に持ったものだから、そっちへ引っ張られただけなのだ。で、30番の人が持てばいいのだが、端っこには余った紐が大きく結んであった。これを放置したらまずい。私は端っこ。とっさにその結び目を持って運んだ。紐はすぐに結び目がほどけるタイプで、持った途端ほどけた。持っていなかったらダランと長くなって引きずっただろう。

アリーナの端っこに固まって、我々ボラは待機した。すぐにまた並ぶのだと思っていたが、600名の皆さんが演武を披露する場所に並んだ状態で、来賓の挨拶が入り、それがとても長く、おばさま方はずっと気を付けの姿勢で立ったままで、大丈夫だろうかと心配になってしまった。で、こちらも狭い所に固まって立っていて、ちょっとだけ気分が悪かった。私は匂いに敏感だから、人の息の匂いとかで気持ち悪くなる事がある。一瞬ならば大丈夫なのだが、こうやって長く立っているとなると。けっこう暑いし。後ろへ退いて広い所へ行くという手もあったが、演武も見守りたいし、狭い所に立っていた。

そして、無事に演武が始まった。Kさんの合図でまた列の後ろに並ぶのだが、なかなか合図が来ない。やっと来た時には、もう演武が終わる5秒前くらいだった。私はすぐそこだからゆっくり歩いて間に合ったが、10列目より向こうは、間に合っていなかったようだ。ここは反省点だけれど、まあ、集団演武があるのはまた10年後だそうだから、今日のノウハウを生かせるかというと、ちょっと分からない。全く違うやり方になっているかもしれないし。とはいえ、結局今回の資料を基に、次回の資料も作る事はほぼ間違いないので、ちゃんと正すべきところは正しておくべきだろう。

終了

演武が終わり、出演者が我々のプラカードを目印に下がってきた。そして座る。そのタイミングで、先に帰る人は帰る。うちの列は3人だったのだが、他の列の人なんかも、けっこう帰る人が多くてびっくり。するとうちの列の人が、

「帰っていいの?」

と聞いてきた。

「先に伺った人だけです」

とか何とか言ったけれど、大勢が抜けるのを見たら、わけも分からず出てしまう人もいそうだなと思った。

で、なんとこのタイミングで我々ボラも抜けるのだった。出演者で抜ける人が抜けた後、閉会式が続くので、皆さんが前を向いて座っている所で、ボラは抜けたのだった。なんだか、挨拶もなしに抜けてしまうのが忍びなかった。もう会う事もない。だが、短い時間ではあったけれども、昨日今日と二日間関わったわけだし、一言挨拶をしてから別れたかった気がする。皆さんはきっと、終わって振り返ったら私たちがいて、出る時にも誘導してくれると思っているだろう。なんて。

控室に戻り、Kさんからのお言葉があった。

Kさんは言った。今回初めてボラセンを使ってみたが、ボランティアの人って、どういう人たちなんだろうと不安に思っていたそうだ。でも、実際皆さん良い人だったと言っていた。本当かな?けっこう圧が強い人も多かったのでは?ついつい、年齢を重ねて、色々な意味でベテランになるとねえ。でも、基本的にはボランティアは良い人集団だ。それは間違いない。

今日はお弁当は無かった。搬出がどうのこうのと言っていた気がする。Kさんはこの後片づけなどがあると言ってすぐに出てしまったし、我々もその後、一本締めをして解散になった。

今日、飴をくれた方もいた。あまり時間がなくて全員と交流する事はなかったけれど、一期一会の楽しい交流が少し味わえた。

5時半過ぎ、帰途に就いた。電車の時間を見て、ホームへ急いだ。最初に乗った電車が、やたらと徐行運転をしていて、新宿到着が遅れた。なので、乗り換えにちょっと小走りした。だが……

待てども待てども電車が来ない。反対方面の電車が一時止まっていて、アナウンスもずっと続いていた。でも、運転を再開したみたいで、私が待っている間に2本くらい到着して発車した。反対方面は。ちょっと、こっちはどうしたのよ。そりゃね、反対が止まれば、こちらもおかしくなるだろう。でもアナウンスが何もない。もう15分くらい過ぎているのに。

暑い。外のホームなのですごく暑い。しかも混雑していて人がいっぱいだ。でも、皆じーっと待っている。誰もおかしい、という風にキョロキョロしていない。しているのは私だけだ。本当にもわっと暑い。みんな、クーラーなしではいられないとか言う癖に(私は冷房嫌いで、昼間はつけない)よくこの暑さを我慢しているよな。恐るべし、新宿の民

電車が止まっているのなら、他の方法で家に帰るのだが、アナウンスがないから動けずにいた。結局25分くらい待っていたら、お目当ての電車が来た。急いではいないからいいのだけれどね。暑かった。

以上、二日間にわたる太極拳ボラであった。Kさんの落ち着いたしゃべり方には感服する。仕事はすごく大変そうだったけれども、しゃべり方は乱れない。これも太極拳のお陰だったりして?リラックスか。私もやった方がいいのかも。