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スカイキャッスル~韓日比較

日本でドラマ「スカイキャッスル」が放映されるという番宣を読み、面白そうだと思った。だが、それは韓国の人気ドラマのリメイク版だという。それならば、確実に人気があったという韓国版の方を観たいではないか。

うちではアマプラ(Amazonプライムビデオ)が観られるので、探してみたらあった。韓国版スカイキャッスル。早速視聴した。が、韓国のドラマというのは長いのだ。36話ある。他のドラマもだいたいそのくらいだ。だから、観るのに時間がかかった。観ている間に日本版の放送は終わってしまった。

韓国版スカイキャッスル

初回を観たら、ちょっと後悔した。これは、やっぱり日本版を観た方がよかったかな、と思った。というのも、このドラマは大学受験の話で、初回は有能なコーディネーターを探すという内容。受験のシステムなどが分からず、コーディネーターなんて知らないし、日本版がどうアレンジしてあるのか気になった。

スカイキャッスルというのは、エリートが集まって住む高級住宅地なのだが、スカイというのが一流大学の事を指すそうなのだ。日本ではGMARCH(ジーマーチ)とか日東駒専(にっとうこません)などという言葉があるが、不思議と一番上のランクの言い方がない。もう東大か早慶か、いや、そもそも「一流大学」とか「超一流大学」などという言葉がそれを指すのかもしれない。

スカイキャッスルには、医者や弁護士の家族が住んでいるようだ。それぞれお城のような一軒家で、家政婦も雇っている。その一方で、図書室や談話室のような共用部分もありそう。この辺も、韓国に実際にあるのかどうなのか、ちょっと分からない。

日本版ではタワマンだというから、ちょっと違うけれどもまあ、上流家庭が住むという点で同じなのかなと思った。

さて、分からないし長いし、もう観るの辞めようかなと思っていた韓国版だが、突然目が覚めた

(ここからはネタバレ満載なので、これからドラマを観ようと思っている人は一度止めて、ドラマを観終わった後に戻ってきて欲しい)

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ドラマでは、大学受験で息子を医大に合格させたスカイキャッスルの住人が、次の年に受験を控えた住人たちに色々と教えるという場面から始まるの。というか、教えてもらう為に取り入ろうとするところから始まると言った方がいいか。それで、優秀なコーディネーターをある住人(主人公)が雇えたところで、合格した住人の母がいきなり自殺してしまうのだ。

驚いた。だって、息子を医大に合格させ、自分は海外旅行を夫からプレゼントされて、嬉しそうに出かけていったはずだったのだ。それが、庭で自殺してしまうのだ。なぜ、彼女は自殺をしてしまったのか。その謎がドラマを面白くさせていった。

スカイキャッスルの住人の中で、同じ高3の子供を持つ4つの家庭が主に描かれる。医者が3人で弁護士が1人。

弁護士の父親は双子の息子の勉強にものすごく干渉し、お前たちはピラミッドの頂点に立てといつも言っている。妻はそれをあまり良く思っておらず、自由にさせたいと思っている。時々意見が食い違い、夫は怒鳴るが、妻は食事を出さないなどの方法で反撃する。出さないというか、子供たちには栄養満点の料理を用意し、夫にはカップ麺を渡すとか。この家庭の夫婦の攻防の時には、決まってボレロが流れ、ちょっとコメディーチックで面白い。

医者は、同じ病院に勤める3人で、1人は妻が自殺してしまい、病院もスカイキャッスルも去る。そして、そこへ後から引っ越してきた医者は良い人で、妻は小説家。その妻は他のスカイキャッスルの住人とは全く違う雰囲気で、学力至上主義なここの住人達に対して物申す存在だ。カッコいい。夫も、出世にばかり興味を抱いている他の医者たちと違って、正義感の強いカッコいい医者だ。

どうやらこの小説家が狂った価値観をぶった切ってくれるのかな?と思って、楽しくなってきた。

何をぶった切るかと言えば、あまりに強い学力至上主義。とにかくスカイと呼ばれる大学に行く事、それさえ叶えば人生勝ったも同然という考え。その為には、いくらでもお金をつぎ込む。受験コーディネーターには物凄い額の報酬を払う。コーディネーターはチームを組み、送迎からメンタルチェック、内申の為の生徒会活動やらボランティア活動やらを差配する。

そういえば、韓国は大学受験の共通テストがものすごく大事で、その日は遅刻しそうになった受験生を白バイが送るとか、日本でもいつもニュースになるものだ。とにかくこの日が大事、このテストが大事。そして、大学受験に失敗すると、とてもソウルには住めないくらいに人生にも失敗するという。韓国は貧富の差が激しいらしい。日本でも、30年か40年前は学歴社会と言われ、良い大学にさえ入れれば、良い就職が出来て、人生安泰と言われたものだ。しかし、日本はバブルの崩壊後、大学を出ても満足に就職できない時代が続いた。それとは別に、良い大学を出ても仕事ができるとは限らない、という事が言われ始めた。そのせいなのか、学歴偏重社会を是正する為か、履歴書に大学名を書かないという採用方を取る会社も増えた。それと、子供が減ってきて大学に入るのが難しくなくなった。まあ、かつての受験戦争の時代と比べれば、という事だが。

韓国の方が出生率が低く、少子化が続いているのに、日本とは同じにならなかった。やはり高度経済成長後にはそんな社会が待っているという事なのか。そのうち是正されそうだが。

そう、このドラマは、その学歴偏重社会を痛烈に批判している。そして、その真っただ中にいて、それを信じ切っていた登場人物たちが、色々あった挙句、考えを改めるのだ。これはすごい事だ。本物の今の韓国社会を否定しているのだから。

もう少し書くと、主人公の娘は超優秀で、更に超優秀なコーディネーターを雇った。しかし、このコーディネーターは危険だという事が分かって来る。なぜ医大に息子を合格させたのにあの母親は自殺したのか。それが分かって来るのだ。実は、両親に暴力まで振るわれて勉強を強いられていた息子は、医大に合格した時に家を出た。以前家政婦をしていた女性と恋に落ちていたのだが、家政婦は追い出されていたので、その子の元へ行ったのだ。そして、親を全否定する日記を残して行った。実はコーディーネーターに言われたのだ。医大に合格し、親が幸せの絶頂の時にどん底へと突き落せばいいと。そうやって復讐する事を胸に秘め、医大に合格したのだ。コーディネーターは大学に合格させるのが仕事。その仕事さえ達成できれば、後はどうなってもいいという事か。

しかし、それだけではない事も分かって来る。コーディネーターには障害を持つ娘がいた。すごく優秀だった娘が事故に遭ったのだ。それを受け入れられず、手元には置いていない。コーディネーターは、優秀な子のいる家庭を壊そうとしているようなのだ。

また、主人公の娘のライバルが現れる。実は、同じ父を持つ腹違いの姉妹だったのだが、その子は母親が死に、主人公の家に転がり込む。主人公の娘はとってもわがままで、よくもまあ、こんなに小憎らしい娘がいたものだと感心するくらいの子で、転がり込んできたライバルとは犬猿の仲。勉強の出来も拮抗し、好きな男の子がライバルを好きになるという始末。

そんな中、なんとそのライバルが転落事故に遭ってしまう。病院に運ばれたが、実際の父に手術をしてもらうはずが、そこへ同時に運ばれてきた政治的に重要な人物の孫を優先し、何とそのライバルは死んでしまうのだ。その時は、自分の娘だと知らなかった主人公の夫だが、のちに事実を知る。ものすごくショックを受け、病院も辞めてしまう。

一方、誰がライバルを突き落としたかという話になる。最初は主人公の娘だと思うが、どうやら違うらしい。すると、主人公の娘が好きだった男の子が警察に疑われ、とうとう逮捕されてしまうのだ。男の子の両親は、あの小説家と正義感のある医者だ。二人は何とか息子の無実を証明しようと、あれこれ調べる。

長い。長いから細かい。何があったのか、後になってもう一度振り返ったりしたくらい。実は、コーディネーターは学校のテスト問題をこっそり手に入れていた。それを元に本物そっくりの予想問題を作ったので、主人公の娘は満点を取れたのだ。ライバルはその事実をこっそり知り、コーディネーターをゆすっていた。その為、コーディネーターに殺されたのだ。

それから、すっ飛ばしてしまったが、主人公は自分の過去を偽っていた。ハーバードを出たとか、両親はアメリカにいるとか、そういうお嬢様を演じていたのだが、実は牛の血を売る父親の娘だったのだ。名前も偽っていた。名前で育ちが分かるような雰囲気に描かれているが、その辺は我々外国人にはよく分からない。

実は同じ学校に通っていたあの小説家が、口論の末にぽろっと口にしてしまった為、主人公の素性がばれた。その事を知って動揺した娘の成績が落ち、ライバルの存在もあってイライラした娘は、母親よりもコーディネーターを信じるようになり、完全に依存するようになっていた。

だが、主人公はライバルがコーディネーターに会いに行った事を知った。そして、テストの横流しの事実を知った事も。コーディネーターに殺害動機がある事が分かったのだ。これを警察に言えば、無実の罪でつかまっている小説家の息子は助かる。しかし、事実が明るみに出れば娘がその予想問題によって取った成績は無効になるだろう。退学になるかもしれない。そうなったら今年、医大に合格する可能性はなくなるそうだ。超優秀で、小さい頃から遊ぶのも我慢して、ずっとずっと頑張って勉強してきた娘。だが、このまま目をつぶれば無実の男の子の未来を奪う。主人公は葛藤する。娘と一緒に悩む。そして、決めるのだ。

警察に知っている事を話した。これには、主人公の夫の母親との話にも関わる。つまり主人公の姑だが、主人公の夫が自分の娘を見殺しにした事にショックを受け、病院を辞めたわけだが、もう少しで病院長になれるのに、ここで辞めるなどとは母親としては我慢できない事だった。だから、口論になった。その時、主人公の夫は言ったのだ。母が決めた人生を歩んだのは間違いだったと。結婚相手も、学校も、就職も、全て母親の言う通りにしてきた。自分の人生を生きていないと言った。

そう、受験受験で必死になる親を批判すると同時に、親の親の世代にも、いや、その世代こそ痛烈に批判している。今の受験生の親が必死になるのは、自分が親にそうされてきたからなのだ。親に、代々我が家は医者になるのだ、と言われている。だから、自分の子供にもそれを強要する。

弁護士の家も大変だった。はじめは双子の息子と母親が結託している状況だったが、実は上に娘がいて、ハーバードに通っていて父の自慢の娘だったのだが、本当はハーバードには受からず、学歴詐称でどうのこうのと訴えられているとか。帰国して、はじめはそのまま嘘をついていたが、とうとうバレてしまう。だが、その娘は自由に生き始めた。母も感化された。1人父だけが変われず、家に取り残され、カップ麺ばかり食べ、そして妻の大切さ、家族の尊さを思い知るのだ。

とうとうコーディネーターは逮捕され、無実だった男の子は解放された。主人公の娘は学校を退学し、来年受験すると決めた。そして、スカイキャッスルの住人たちは、良い大学に行く事だけが人生ではないという価値観に目覚める。元気で生きていてくれるのが一番。真の幸せとは何かに気づけたのだ。

「実力も運のうち」に書いてあった

実は、これを観ている最中に、読んでいる本があった。なかなか読みにくい本だったのだが、後半にきて急に読みやすくなった。それはこの、スカイキャッスルとリンクしたところからだ。

その本は能力主義は正義か?と問いかける内容なのだが、その中に気になる記述があった。親が子供の受験に必死になり、過干渉になるこの現象が最も目立つのはアメリカや韓国などの不平等の大きい社会で、不平等がさほど深刻でないスウェーデンや日本ではあまり高じていない。と、こう書いてあったのだ。アメリカでも、受験コーディネーターが暗躍しているそうなのだ。これはびっくり。書いてある事がそのままスカイキャッスルのドラマそのもの。そうか、アメリカも韓国と同じ状況なのか。

驚いた。日本が受験戦争だなんだと言われた時代には、アメリカは大学に入るのは簡単だが出るのは難しいと言われた。日本はその反対で入るのが難しく、出るのは簡単だと言われていたのだ。いつの間にか、アメリカも学歴偏重社会になっていたのか。

まあ、この本については、もうすぐ読み終わるので、近々読書感想文を書こうと思う。

日本版スカイキャッスル

韓国版は面白かった。途中、辛い状況が長く、面白いというのとも違うが、なんだか目が離せなかった。一方、なんとアマプラでは日本版のスカイキャッスルも観られる事が分かった。地上波での放送は終わってしまったが、今度は日本版をアマプラで観てみる事にした。一体どんな風に、日本風にアレンジしてあるのだろうか。

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まず、始まってびっくりした。同じ俳優が出ているのかと思った。主人公の夫が、同じ髪型、メガネ、ひげだったから。でも、良く知っている俳優さんだった。登場人物は、髪型とか背格好などが似せてあり、良く知っている俳優さんたちなのに韓国版そのものだ、と思った。

だが、まずがっかりしたのがタワマンの事。タワマンと言えば、お台場とか豊洲辺りの湾岸エリアかな、と思っていたのに、タワーがポツンと1つだけが建っていて、それがどうやら共用部分で、後は韓国版と同じように一軒家が並んでいる。首都郊外と言ったところか。家の中は韓国版とそっくり。家政婦さんもいる。

タワマン住人と言えば、高層階に住むほど金持ちだとか、そういう日本独特の富裕層が描かれると思ったのに、一体どういう事か。

そうしたら、韓国版にはない描写が出てきた。それは、スカイキャッスルという絵本。空に浮かぶお城が描いてある。これがスカイキャッスルだと言う。なんか、あれだね。ラピュタだね。

分かった。スカイと言えば韓国では一流大学を意味したわけだが、日本だとその意味がつかない。だから、ラピュタ的な絵を用いて、いつかここに住みたいと思っていた主人公、という事にしたのか。

そして、韓国では牛の血を売っていた主人公の父親だが、日本版では恐らくそういう差別される職業がないので、父親は犯罪者という事になっていた。孤児院に住んでいたという事に。小説家はその孤児院の経営者の子供という設定になっていた。

それから、双子の兄弟は1人に。それと、主人公の下の娘と同じ歳の設定だった隣人の息子が、上の子と同じ年に。いやいや、それよりもっと驚いたのが、子供たちの年齢が高3ではなく中3になっていた事だ。

なぜ大学受験ではなく高校受験にしたのか。それなのに、家政婦と駆け落ちしたあの息子は、なんと妊娠までさせていたぞ。

いや、もう一つ驚くのは、あの36話を9話に縮めていたことだ。

あそこまで見た目をそっくりにしたのに、設定を中学生にして、こんなに縮めるなんて。驚きだ。医大の付属高校に入るための受験という事になっていて、やはり受験コーディネーターを探すところから始まる。

日本で受験がフィーバーし始めているのは、高校受験よりも中学受験なのに。いっそ中学受験に設定してしまった方が良かったのでは。でも、それだとあれもこれも変えないといけないか。ライバルが1人で行動するにも、小学生では無理か。

それから、弁護士役の父親も医者になっていた。違うのはそのくらいだろうか。まあ、違いはあっていいと思う。だが、それが日本の社会に合わせたものなのか、縮める為の策なのか、その辺が気になる。なぜこんなに縮める必要があったのだろう。もし忠実に面白さを再現したいなら、同じように36話くらいやればよかったのに。日本版に思い切って舵を切るなら、受験コーディネーターなんてものは辞めて、有名塾にしておいてもよかったのでは。

更に、コーディネーターの娘はいなくなり、代わりに施設で窓に数式を書いている(韓国版では障害を持つ娘がそうしていた)のは、認知症の母親という事になっていた。コーディネーターのこれまでの悪事の動機は、母親から同じように教育虐待され、母親が自殺未遂した事を、再現しているというものだった。

そうそう、主人公の姑が出て来ない代わりに、上の世代への風刺が、ここでぎゅっとまとめて出てきた。これは上手い、と思ってしまった。これは確実に縮める為だと思うが。

まとめ

韓国版は、受験競争の激しい韓国に一石を投じたドラマだった。社会のシステムに果敢に挑んだ作品だろう。だからこそ、人気ドラマになった。アメリカも同じような状況だからこそ、アメリカでも人気を博したのかもしれない。

一方、日本版はどうだろう。視聴率などは知らないが、あまり話題になったとは言えないのではないか。確かに話は面白いが、やはり元々あった話を4分の1にしてしまったために、ひずみが生じたのではないか。私は全部を知っているから分かるけれど、日本版だけを観たのでは腑に落ちない点もあったのかもしれない。

とはいえ、日本でもまだまだ、親の期待を子に押し付けてしまう「教育虐待」という問題はある。新聞でも少し前に読んだばかりだ。ということは、このドラマはその、教育虐待をしてしまうような親たちに訴えかけたかったのかもしれない。社会現象とまでは言えないまでも、一部の親の間ではまだ根強く残る学歴偏重主義を、そして親の過干渉を、失くしていくべく、作られた日本版なのかもしれない。

日本版のライバルを演じた子は、かなり印象に残った。9話しかないからこそ、かもしれない。韓国版では、ライバルが死んでからも長いので、最後にはちょっと忘れかけてしまうが、日本版だと死んでしまってすぐ終わりだったから。あと、韓国版ではちょっと暗い印象のライバルだったが、日本版では健気さを感じてしまった。お国の違いなのか、ドラマの仕立て違いなのか、俳優の違いなのか分からないが。

他にも、アマプラで観た還流ドラマでハマったものがある。それもブログに書こうかと思ったが、タイムリーではないものは辞めておいた。今、ちょっと遅れたけれども日本版が放送されたところなので、書いてみた。しかし、還流ドラマは長い。長ければ面白くも作れるだろうよ。面白いのはいいが、観るのに時間がかかってしまう。悩ましい。

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