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新幹線でとんぼ返り~新大阪

2022年6月16日(木)

火曜日の午後3時頃。

「次男くんですが、いつもの腹痛でちょっと歩けないような状態になりまして」

担任の先生からの電話だった。

なんと!腹痛は完治したと思っていたのに。

修学旅行の前日は引退試合

次男は高校3年生。1ヶ月半ほど前に腸閉塞胃腸炎で緊急搬送され、一週間入院した息子である。

退院後、1~2週間もすると体調は元に戻り、それからここまで腹痛もなく、部活を元気にこなしていた。

いよいよ部活は引退試合となり、日曜日に最後の試合があった。勝ち進めばまだ続くが、負けてしまったので最後となったのである。

翌日から修学旅行だった。延期に延期を重ねてこの時期となって、元々の予定よりも1泊少ない2泊3日広島、京都の旅行。大きい荷物は先に送ってあったが、当日の用意はしていない状態で、次男は試合からなかなか帰ってこなかった。

試合はお昼頃からで、2試合やって、恐らく夕方には終わったのだろう。引退が決まり、夕飯を仲間内で食べに行ったのはまあ、よしとしよう。本当は、彼のような体質の人はそれも辞めた方がよかったが、それでも、普通に8時くらいに帰ってくれば良かったのに、もっともっと遅かったのだ。11時半くらいか。

帰ってきて、翌日の準備をして、寝て、朝はいつもより早い6時に起こしに行ったら、とっくに起きていた。4時45分に目が覚めたとか。彼にしてはそれはとても珍しく、緊張状態だという事が分かる。

それでも、もうずっと腹痛もなかったし、乗り物酔いがちょっと心配なくらいで、元気に出かけていった。その日は広島へ行き、平和記念公園や工事中の厳島神社に行き、広島のホテルに泊まったらしい。夜には学校から、大きく体調を崩した人もおらず、全員無事に宿に到着したという連絡があった。

担任からの電話

さて翌日。修学旅行は二日目。次男は尾道へ登山をしに行ったらしい。

その午後3時頃。私の携帯に知らぬ番号からの着信があった。出てみると、次男の担任の先生だった。そして、冒頭のお知らせが。続いて、

「同行しているナースの見立てでは、病院に行くほどでは無いという事なので、このまま旅行を続行したいと思います」

と言われた。少しホッとする。だが、歩けない程というのも、ちょっと心配だ。とはいえ、このまま続行してもらう方がいいので、それで電話を終えた。

ところが2時間後くらいだろうか。また先生から電話がきた。

「事情が変わりまして。次男くんが新幹線の中で吐いてしまって、明日の日程をこなせそうもないので、明日の朝10時までに迎えに来ていただきたいのですが、迎えに来られますか?」

2泊目は新大阪駅の近くのホテルだった。迎えに来られますか、と聞かれてノーとは言えない。渋々はい、と答える。サービス業だから、多少遅れても大丈夫だと思うが、一応チェックアウトは10時までだからという事だった。他の生徒はもっと早くにホテルを出てしまうのだが。

いやー、これは想定外。数ヶ月前には、コロナがもっと流行っていて、もし同室者にコロナ患者が出たら、迎えに来てもらいたいとは言われていた。その場合、公共交通機関は使えないという事で、広島や大阪までどうやって?と頭を悩ませたところ、夫が

「新幹線で行って、レンタカーで連れて帰ってくればいいよ。他の同室者も一緒に乗せてくれば、レンタカー代をみんなで負担できるでしょ」

と、事も無げに言ったのだった。そうか、レンタカーは向こうで借りてこっちで返せるから。すばらしい!ペーパードライバーの私には全く思いつかないし、思いついても無理な方法なのに。

で、その場合夫が迎えに行くわけだし、その他に迎えに行くなんて事はないと思っていた。

ただ、産婦人科の予約を入れる時に、帰ってくる日に入れると、万が一迎えに行くことになったらまずいかな、と一瞬頭をよぎったのだった。けれども、まさか大阪まで迎えに行くとは思わず、せいぜい駅まで迎えにいくだけだろうと思い、それなら夕方遅くだから、午後2時の予約を入れても大丈夫だなと思ったのだった。

で、まさかの大阪までのお迎え。コロナじゃないので、帰りも新幹線で連れて帰ってこられる。という事は、夫が会社を休んで行く事はなく、私が行くべきだ。

その先生からの電話があった時には、ちょうど夕飯の支度をしていた。この日はコーラスの練習が夜に入っていて、早めに夕飯を食べてから行こうと思っていたのだ。

さて、明日の朝10時までに新大阪へ行く場合、何時頃の新幹線に乗ればいいのか?調べた。おう、早い!早く準備をして寝なきゃ。いや、洗濯もしてからか。夜に出かけている場合じゃないな。

ということで、コーラスの方は欠席連絡。で、アタフタしてもしょうがないので、まずは作った夕飯を食べようと思った。

さあ、食べようとしたところ、また先生から電話が。今度は、ナースが私と話したいという事だった。そう、先ほどの電話の時に、腸閉塞になった時の事を考えると、連れて帰るのが無理な場合があるので、その場合はそちらの病院へ連れて行ってもらう必要があるという話をしたので、それについてだった。

吐いたという事だが、乗り物酔いではないのか?と聞くと、お腹から変な音がしたりして、明らかにお腹がおかしいので、ただの乗り物酔いではない、という事だった。

もちろん、ただの乗り物酔いだとは思わない。が、お腹が痛い事と、吐いた事とは別なのでは?と思ったのだ。つまり、お腹が痛くて吐いたら、それはもう腸閉塞だが、吐いたのは乗り物酔いで、腹痛とは別の事だったら、閉塞まではしていないかもしれないと思ったのだ。だが、電話はぶつぶつ切れるし、もういいやと思った。

何も食べない方がいいという見解を一致させ、明日の朝歩けないようなら大阪の病院へ、歩けるならば東京に連れて帰るという事で同意して、電話を終えた。

職員会議

そして、やれやれと思って夕飯を食べ始めると、次男本人からLINEが来た。

「迎えに来るようにという話があったと思うけど、ちょっと話そうじゃないか」

と。それで、今はそれほど酷くないし、迎えに来なくてもいいと言う。みんなと行動を共に出来ない場合、ギリギリまで(10時まで)ホテルにいて、京都駅でみんなを待って、一緒に帰るという手もあるという。

それはいい!是非そうしてくれ、と思った。だが、その場合次男が先生と話をしなくてはならない。恐らく今は部屋で寝ているのだろうから、話せるのかどうか。

とにかく、私は迎えに行く前提で準備をしておく事にした。

何を着ていったらいいのか、何を持って行ったらいいのか、あれこれ考え、まだ家族が帰ってこないので、自分の服とタオルだけ洗濯をして、そして次男からの連絡を待つ。先生とめっちゃ話をして、職員会議の結果を待っているという事だった。

職員会議にかけられた結果、やはり私は迎えに行く事になった。まあ、京都駅からみんなが帰るのは4時頃だ。それまで居る所がない。何せ具合の悪い子なのだから、寝ている場所と言ったらホテルか病院しかないし。

因みに、その夜の学校からの連絡は、具合の悪い生徒がいるいないの言葉はなく、全員大阪のホテルに入ったとだけ書いてあった。なんか、すまぬ。

で、早く寝たかったけれども、11時過ぎから長男や夫が帰って来て、あれやこれや話をしたら、どうしても早くなんて寝れやしない。夫は、明日は雨だろうから、家から最寄り駅まで車で送ると言う。そんな事いいよと言ったのだが、私が出かけてしまったら、起きられなくて会社を遅刻すると言う。それなら、行く時にちょっと早いけど起こしてあげると言ったら、もっと早く起きちゃったら送っていくと言っていた。

それなのに、夜中の2時頃まで起きていて、がちゃん!とか向こうの方で音を立てるし、私は12時頃寝たのに、1時にも2時にも、とんで4時と5時に目が覚めてしまって、5時55分に起き上がった。6時半過ぎにカーテンを開けて夫を起こした。いつもは7時なのだ。夫は、

「あ!起きられなかったー!」

とか言っていたけれど、起きる気があったとは到底思えない振る舞いだったがの。

切符を買って新幹線に乗る

それにしても、新幹線に一人で乗るのは初めてかもしれない。それに、突然行って券売機で新幹線の切符を買うのもかなり久しぶりだ。旅行だと、予め指定席を予約して、発券まで済ませておく事が多い。

最寄り駅の券売機へ。クレジットカードで往復の切符を買った。うん、買えた。とても分かりやすい。一度も乗ったことがなかったら、ちょっと難しいかも。切符が2枚出てきて、乗車券特急券なのだ。乗車券は都内のJRの駅からで、特急券は品川駅から。そういう事を分かっていないと難しい。

2枚の切符の内、乗車券だけを通して改札を通り、ちょこっと込んでいる電車で品川駅へ。つかまる所も寄りかかる所もなく、慣れていないと、ふくらはぎがキツい。昔は散々満員電車に乗ったものだが、ここのところ、この程度の混み具合でさえ慣れていない。

で、品川駅の新幹線の改札に行き、乗車券と特急券を2枚重ねて改札機に入れる。2枚出てくるから受け取る。電光掲示板を見ると、自由席は1-3号車と書いてあった。良かった。いつも家族と一緒だから、夫が何号車だとか言ってくれるので、よく分かっていなかったから。

ホームに下りて2号車辺りに並ぶ。サラリーマンばかりがいる中で、比較的ラフな格好をした男性二人が並んでいた。すると、前の電光掲示板に「喫煙所近く」と書いてあった。おう、喫煙所は近くない方がいいぞ。

というわけで、隣の入り口付近へ。そこで待っていると、東京駅からやってきた車両が到着した。

中に入ると、2人席と3人席が両方とも、全て窓際が埋まっていた。それで、3人席の通路側はほぼ全て空いていた。その中で適当に座る。

適当と言っても、ちょっと考える。あまり入り口に近いと、やばい人が入ってきた時に真っ先にやられてしまうし、かといって真ん中辺は出口が遠いから、火災とかで逃げ遅れるかもしれない。で、その中間に。考えすぎだけれど。

3人席で真ん中が空いている状態は快適だった。不思議と眠くならず、スマートフォンにダウンロードしていった新聞の朝刊を読みながら新大阪へ向かった。途中お腹が痛くなり、トイレに行ったりしたけれど、その話は割愛しよう。

「すみません」より「ありがとう」

新大阪駅に着いた。地図によるとホテルは北口付近にあるらしい。

新幹線を降りてエスカレーターで上り、出口の方へ向かっていると、男性が一人、カシャリと写真を撮っていた。何を撮ったのかなと思ってそちらを見ると、「551」だった。肉まん焼売のお店。いつも行列が出来ている551だが、流石に平日の朝には女性が2人買っていただけ。そうか、せっかく来たからこれを買って帰るのもありか?

改札機に切符を2枚とも入れて出た。南口だ中央口だと書いてあるけれど、北口はない。方面的にこっちだろうと、御堂筋線の方へ行ってみる。

エスカレーターが出てきて、ふいに気づく。ここが異郷の地である事を。みなさんがぴっちり右側に寄って立っていたからだ。東京は左側に並ぶではないか。そして、東京から新大阪に着いたそのホームから上がるエスカレーターは、まだうっかり左側に立っているのだ。何しろ、さっきまでそうだったからね。だが、御堂筋線だとか他の在来線やらデパートなどのエスカレーターは、大阪の人は右に立つ。片側を空ける事はよくない事なのだが、それでも、こういう地域による違いは面白い。

次男から「今どこ?」などと連絡が入る。ホテルに着いたらLINEしてと。幸い思った所に出られて、ホテルまでは地図を見ながら行った。ホテルに着いてLINEをすると、3階に上がってこいと言う。上がって行くと、副校長先生と次男が座って待っていた。

「遠いところ、本当に申し訳ありません。ありがとうございます」

副校長先生は、深々と頭を下げた。腸閉塞は手遅れになると大変な事になるから、早めに東京へ行ってかかりつけの病院に行った方がいいという事で、迎えに来ていただく方がよいと判断したそうだ。色々話したが、先生は何度も深くお辞儀をした。

「こちらこそ、たくさんお世話になりまして、ありがとうございます。担任の先生にもよろしくお伝えください」

と、私も言ってお辞儀をした。こういう時、つい「ご迷惑をおかけして、申し訳ありません」と言いがちなのだが、それは努めて言わないようにした。最近そういう話をよく耳にする。すみません、と言いがちだが、ありがとうと言おうと。そうしないと、自己肯定感が低くなるらしい。人に迷惑をかける人間だ、と卑屈になる。

もし、悪い事をして補導されたなら、ご迷惑をおかけしてすみません、なのだ。だが、病気になったのは悪い事をしたのとは違う。確かに余計な手間をかけさせたり、心配をかけたりしただろう。けれども、それを全てありがとうの言葉でお返ししたい。

副校長先生は、次男と話をしていたらしく、ご家族に愛されてますねと言っていたが、そこで

社会人になったらそうは行かないよ

と言っていたのがちょっと引っかかった。そんな不安をあおるような事を言うべきなのかどうか。親が助けてあげられない時に、何とか頑張ればいいのであって、助けてあげられるのに助けないで自力で何とかさせるのがいいのかどうか。もちろん過保護はダメだが、病気の時はどうなのか。

私は、一人で何とか出来る人になって欲しいというよりも、困っている人を助けられる人になって欲しい。困っている事に気づいてあげられる人になって欲しい。今のところなっていない。次男は私が寝込んでいても、自分の事をやっていればいいとばかりに何も気遣ってくれないから。まだ子供だとも言えるが、もっと成長してもらわないと困る。だが、突き放すのではなく、気づかせたい

551も富士山も見逃し

先生と別れ、ホテルを出た。次男が、

ちょっと観光する?

とか言う。バカ言ってんじゃないよ。丸一日何も食べてない人を連れて、どこへ行かれるって言うんだか。それに、新大阪駅近辺には観光地もなさそう。反対側は分からないが、北口には何もない。

次男の切符は渡してもらえるのかと思っていたら、なかった。そうか、京都からの乗車だもんな。それに、恐らく団体切符なのだろう。後で払い戻してもらえないかな。

何せ、運賃は高い。次男が、

「6千円くらいでしょ?」

と言ったが、それは乗車券のみの値段。特急券と合わせるとその2倍なのだよ。券売機で次男の切符を買ったら、

「ほんとだ!」

と、次男はびっくりしている。そして、申し訳なさそうにしている。せめて学割料金にしたかったよ。

一応、現金を持って来たものの、もしクレジットカードで切符が買えなかったら足りないところだった。危ない危ない。

で、551の店はどこだか分からなくなってしまったし、次男が割と元気そうなので、私は午後の産婦人科へ直接行こうと決めたので、肉まんは買わない事にした。こんなに交通費がかかって、その上お土産まで買えないし。

いやーでも、大好きな大阪に来たのに、とんぼ返りとは勿体ない。残念。帰りは始発で、各駅停車?だったので、空いていた。2人席に座って、富士山を見ようと思っていたのに、次男は眠っていたし、うっかり本を読んでいたら窓の外を見るのを忘れて小田原に着いてしまった。多分、天気が悪くててっぺんは雲に隠れていたのだろうが。しかし、富士山を近くで見たかった。残念。

次男を品川からは一人で帰し、私は他の電車に乗って産婦人科へ。電車の中で「BTS活動中止」というニュース記事を見てびっくり。今日はTwitterとか見てなかったから、なんとこんなところで知る?が、これはデマというか、誤解だったわけなのだが。

次男はちゃんとした食事は摂れていないものの、腹痛は治まり、入院しなくてよさそうだ。また鼻から管を入れるのが嫌で、大きい病院には行きたくないそうだ。

3時半には私も帰宅して、夕飯も作った。移動距離は長かったものの、自分は座っていただけなので、思ったほどは疲れていないようだ。それにしても、次男のお陰で色々な経験をさせてもらえるものだ。次男は吐き慣れて人様に迷惑をかけずに吐けるようになったと言っているし、私も慣れて心配しなくなってきたかも。

次男は、可愛がられ、保護されているようだが、痛みや苦しみに人一倍耐えているのだ。決して弱くなんかない。あーいや、忙しいのには弱いが。