割子そば
出雲大社の参拝を終え、地ビールを飲み、お土産を買い、そろそろお昼ご飯を食べることにした。
お昼は割子そばを食べると決めてある。出雲そばの代表的な食べ方は、釜揚げそばと割子そばだそうで、昨日釜揚げそばを食べたので、今日は割子そばだ。
出雲大社の近くには、たくさんのおそば屋さんがあるはずだった。だから、特にここで食べようという計画もない。とにかく入れそうな店に入ろうと思った。
だが、案外そば屋が見当たらない。あると思ったら閉まっていたりする。ガイドブックを見た方がいいかなぁと思い始めたところ、幟旗を発見。ここを奥へ入った所にそば屋があるらしい。いいや、ここに決めよう。
入り口は、そば屋というよりも喫茶店。レトロな喫茶店だ。いや、スナックか？入るとけっこうお客がいて、テーブル席は埋まっている。奥の座敷には誰もいない。店員のおばちゃんが、
「奥へどうぞ」
と言ったので、座敷の手前で靴を脱ぐと、テーブル席に一人で座っていた男性が、
「今出ますから、ここへどうぞ」
と言って立った。でも、もう靴を脱いでしまったし。店員さんが奥へと言ったのだからと、せっかくの申し出はスルーし、座敷のテーブルの所に座った。そして、割子そばを注文した。わりと他のお客さんは天ぷらセットを頼んでいる様子だった。
割子そばとはこういう感じ。3段のおそばの上に薬味が乗って出てくる。この3段のおそばを模したポーチが売っていて笑ったな。
一番上に薬味を乗せ、つゆを適量かけ、食べる。残ったつゆを次の段にジャッとかけ、薬味やつゆを足して食べ、また残ったつゆを三段目にジャッとかけ、薬味を全て乗せ、つゆを適量かけて食べる。
うん、足りない。そして、昨日の釜揚げそばに比べて感動がない。すごく美味しいと言えるのか？これはもしや、ガイドブックに載っているか載っていないかの違いなのか？それとも、私の好みの問題？
そうなると、別の店でも割子そばを食べてみたくなる・・・が、もう無理だな。
店を出ようと、たくさんのお土産とボラバッグを持ち、立ち上がったもののトイレに行っておきたい。だが、座敷に全て置いたままトイレに行くのはちょっと気が引けた。まあ、座敷に誰も上がっていないのだから安全なのだが、それでも何となく。それで、全て持ってトイレに行こうか、出来れば店員さんの近くに置いて行きたいが、と考えた。
店員のおばちゃんは店の出口の近くにいた。
「ちょっと、トイレに行って来ていいですか？」
と私は言った。この後の展開次第では、荷物をここに置いて行っていいかと聞くつもりだった。が、
「は？」
おばちゃんはそう言った。は？ってなんだ。は？って。ダメだ。もう、何も言えなかった。大荷物を持ったまま、トイレに行き、全然広くないトイレの、ドアノブに重たいバッグを掛けて用を済ませたよ。そして、お金を払って外に出た。
おふくやき
おそばだけでは物足りないので、デザートを食べようと思った。出雲大社の周辺には、ぜんざいやソフトクリーム、おふくやきなどの店が並ぶ。で、今日はとにかく暑いのだ。アイスが欲しいのだ。で、頭に浮かぶのはさっき看板を目にしたおふくやきアイスだ。
おっと、普通のおふくやき（恐らくたい焼きのように、あんこが入っている）は150円なのに、アイスになると500円とな。びっくりして、思わず後ずさる。ソフトクリームの方がいいか？でも、どうも違うのだ。今食べたいものはソフトクリームではない。そして、ソフトクリームも結局450円とかするので、あまり変わらない。そうか、最近アイスが高いのか。
ちょっとウロウロしたものの、おふくやきアイスに決めた。
そうか、たいやきと同じものかと思ったが、アイスの場合は皮が最中だ。出来たてはサックサクで、少量のあんこも良いアクセント。日に当たるが、店の前のベンチに腰かけてパリパリと食べた。
さて、甘い物を食べたらコーヒーだ。そう、さっき見たスタバだ。デカフェに出来ると知って、急にお気に入りになるスタバ。ちょっと並んでいたが、アイスコーヒーを買って、飲みながら電車に乗るのもいいではないか。
スタバに並びつつ電車の時間を調べた。1時間に1本しかない。ちょうど今、スタバに並ばずに駅へ向かえば乗れる電車があった。が、スタバに並ぶと1時間後。何という間の悪さ。もっと早く時間を調べておくんだった。でも、とにかくコーヒーを買おう。
そうだった、デカフェにすると10分待つ事になるのだ。注文した時に、
「2階でお待ちになりますか？」
と聞かれた。時間もたっぷりあるし、そうすると答えた。すると店員さんは、待つ間に何もないのは良くないという事なのだろう、試飲用の飲み物をくれると言う。だが、
「カフェイン有りになってしまうのですが、試飲用のコーヒーをお持ちになりますか？」
と言う。いやいや、何の為に10分待ってデカフェにすると思う？カフェインはダメなのだと伝えると、それならハーブティーをくれると言う。
「ちょっと酸味があるお茶です。2階にあるシロップを入れても美味しいですよ」
と言って、くれたのがこれ。
酸味が強いのはいいのだが、匂いがどうも気に入らない。穀物っぽい匂いが。シロップを入れても匂いは消えまい。ちょっと飲んだが、止めた。せっかくコーヒーが来るのに、こんなの飲んだら喉の渇きが癒えてしまうではないか。
で、10分待っていたのだが、ここは冷房が効いているのかとても涼しい。ああ、ここで飲むならホットにすればよかった。
しかも、デカフェなのに氷が入ると余計に薄い。これは反省だ。というか、2階で待つと言わずに、テイクアウトにすると言えば良かった。確かに座って待つ方がよかったのだが・・・いや、2階で待つけれども、グラスではなくテイクアウトでと言えば良かったのか。私はスタバも、マックのように全て紙のカップで来るものと思っていた。違うのだな。
一度宿に帰る
トイレに行ってから、一畑電車に乗った。流石に1時間に1本だから、満席を越えて混んでいる。そして、隣に座ったご夫婦が、懸命に何かを写真に収めようと外を気にしている。そして、撮った。鳥居がたくさん並んでいる所だった。ガイドブックで見たな。粟津稲荷神社（あわづいなりじんじゃ）だ。そうか、うっかりしていた。
約1時間なので、だんだんトイレに行きたくなってきた。そうなのだよ、アイスコーヒーは余計だった。いや、汗をかくような状況ならば必要だったけれど、あの場所が涼しかったから。
次は島根県立美術館に行くつもりだが、お土産が大荷物なので、一度ホテルに帰る事にした。そして、ずっと朝から考えている事があった。今夜の夕食の事だ。
ホテルにはビュッフェレストランがあって、夕食付きならばフレンチビュッフェを食べられる。素泊まりにしたのだが、ここのレストランは評判が良いらしいし、今日は他に行きたい店もない。宿泊客ならば4000円で食べ放題だし、奥出雲ワインも飲めるようだし、良さそう。それで、昨日チェックインする時に一応聞いてみたのだ。もし急にレストランで食事をしたいと言ったら、出来ますかと。そうしたら、席が空いていればと言う事で、まだ空きがあるから予約できると言われたのだ。
昨日の段階では決めなかったのだが、いつでも言ってくれれば予約をお取りしますと言ってくれたていた。それで、この後一度ホテルに帰った時に、レストランの予約をしようと思った。
松江しんじ湖温泉駅に戻ってきた。トイレに行きたいので急いでホテルに帰ろうとしているのに、道を間違えるチョコナッツ。けっこう慌てて自室に帰った。
部屋にお土産を置き、要冷蔵の物は冷蔵庫に入れ、ホテルの受付へ。そして、レストランの予約をしたいと言った。昨日の人とは別の若い男性で、何時にしますかと聞かれ、
「今から県立美術館に行こうと思ってるんですけど、2時間もあれば行って帰って来られますかね？」
と言ったら、
「2時間あれば帰って来れます」
と言った。適当だなと思ったが、そうなんだろう。今、だいたい4時。県立美術館は宍道湖の東端にあり、そこから湖に沈む夕日が見られるので、日没の6時半頃を美術館で過ごし、その後帰ってくる方がいいかとも思ったのだが、ここのレストランは高層階にあり、そこからも見えるんじゃないかと思った。だから、むしろゆっくり食事しながら日没を見た方が・・・と考え、6時に予約をした。実は部屋でけっこう迷ったのだが。
そうして美術館へ向かったのだが、ここで一波乱あったので長くなる。よって、続きはまた明日（笑）