夫に、
「出雲に行ってみたいな-」
と言ったら、
「行っといで。すぐ行っといで」
と言った。いや、すぐって言われても。夏休みにでも、家族で行こうかと思ったのに。
で、それから数週間後、ANAのキャンペーンを知る。全国どこでも7000円。4~5月、ただしゴールデンウイークを除く。
これは・・・行くしかない。”一人で”行くしか、ない!
というわけで、無事に羽田ー米子空港間の航空券を片道7000円で手に入れ、4月19日から2泊3日で一人旅に出ることになったのである。
羽田空港
出雲空港があるのになぜ米子空港かと言うと、一つにはANAは出雲空港には行かないという事。出雲空港にはJALが行く。逆にJALでは米子空港には行けないのだ。今回初めて知った。
JALにもお得なキャンペーンがあって、そちらは全国どこでも6600円だったかな。ANAのキャンペーンの方が先で、どうしようかと思った。だが、松江城にも行きたいし、安来市にある足立美術館にも行きたい。それを考えると出雲空港よりも米子空港の方が使い勝手が良いと判断した。
因みに、JALの方はサーバーダウンでキャンペーンは中止になり、後日またやるとか。とにかく4月に行くならANAのキャンペーンに乗って正解だったのである。
羽田空港9:15のフライトを取った。昼頃に松江に着ける時間だ。
羽田空港で、一つのミッションがあった。それはスタバで朝ご飯を買う事。
スタバ(スターバックス)のチケットをもらったのだ。ドリンク700円分とフード300円分の。
普段、外出さえあまりしない私が、スタバなんぞに用がある事なんて滅多にない。せっかくもらったから使いたいし、使用期限もある。今、まさに朝ご飯を空港で買おうというこの時に使わずしてなんとする。
このスタバチケット使用に関しては、色々と事前に考えたのだ。帰る日の朝ご飯を、松江駅のスタバで買おうかとか。スーツケース持参でも大丈夫かな、とか。でも、スタバは羽田空港にもあるんじゃね?と思って調べたらあったので、絶対ここだ!と直前になって決めたのである。
さて当日。羽田空港へやってきた。
実は、一人で飛行機に乗るのは初めてである。スーツケースは機内持ち込みOKのサイズだし、いつもなら預けない。だが、私は出発日直前に色々考えた。スーツケースを持ったままスタバで飲み物を買い、飲み終わらなければ機内に持ち込みたいのに、大丈夫か?トイレに行く時にはスーツケースも持って行くしかないのか?それに、機内で上の棚に自分で乗せられるのか?あ、それよりも手荷物は2つまでしか持ち込めないのに、私はポーチとトートバッグを持ち込もうとしているぞ。うーん。
あ、そうか。スーツケースを預ければいいんだ。預けてしまえば、トイレに行くのも楽々じゃないか。
というわけで、預ける事にしたスーツケース。預けるとなると、目印が必要だ。いつもハンカチを巻いたりしていた。それを前日に結んでいたら、帰ってきた次男に
「ちょっとおばさん感が・・・」
と言われてしまった。花柄のハンカチがいけないのかな。ちょっと色あせているけれど、赤い方がいいかな。で、赤い方を結んだが、それも何だか・・・スーツケースを寝かせても下に付かないようにしたいし。
で、次男がちょちょっと結んでくれた。これ、ずっと外さないでおこうっと。


荷物を預け、保安検査所へ向かう。まだ1時間前だけど、いいよね。
ゲートCから入ると、だいぶ並んでいた。
「8時半のフライトのお客様はいらっしゃいますか?」
と、呼びかけが。もう15分前だけど、けっこう手が上がっている。いやあ、早く来てしまって申し訳ない。私はまだ1時間あるのに。
保安検査も無事に終えた。そういえばね、昔は飛行機にスプレー缶は持ち込み出来なくて、保安検査所の前に入れる(捨てる)箱があって、けっこうたくさん入れてあったものだ。今は小さい物なら持ち込めるらしい。違うのか?国内線はいいとか?
さて、スタバはどこだろう。地図を探す。というか、元々見ておいたから左端なのは知っているのだ。今知りたいのは、私がこの後行く搭乗口だ。
うぉー!反対側だ。右端。スタバは左端。やっぱり早めに来て良かった。さて、スタバへ出発。
歩いた。だいぶ歩いた。前回の旅は疲れ過ぎたから、今回はあまり歩き過ぎないように気を付けようと思っているのに、早速ここで歩き過ぎている気がする。
羽田空港は人がたくさんいる。だが、端っこへ行くほど人はいなくなる。本当にこんな人のいない所にスタバがあるのか?といぶかしむ。
あれ、なかったぞ。もう一度地図を探す。どうやら通り過ぎたらしい。ちゃんと見てたはずなのにー。やっぱりダメなチョコナッツ。
あった。さっきは柱でスタバのマークが隠れていたらしい。しかも、さっきは誰も並んでいなかったから分からなかった。今は4~5人並んでいる。
私も列に並んだ。あれ、食べ物がないな。あっちの方にありそうだけど・・・先に選ぶのでは?
スタバになど、1回とか2回とか、そんなくらいしか行った事のない私。注文方法もうろ覚えだ。で、不安になりながら並んでいると、
「お客様、ご注文まだですよね?」
と、女の子の店員さんが私に話しかけに来た。そう、この列は受け取りの列だったのだ。注文のレジの所には誰もいなかったから、うっかり。いやあ、慣れてなくてすみません。
で、私がそちらへ行くと俄に混む。不思議だ。飲み物はドリップコーヒーのホットで「デカフェ」にしてもらうと決めてある。だから食べ物を選ぶ。
何も食べずに来たのに、なぜかお腹が空いている気がしない。ガッツリサンドイッチ系はいらないな。で、あれこれ甘い物で悩んだが、今食べたいと思えるのはチョコのスコーンだったのでそれに決めた。しかも、これはちょうど300円。チケットで買えるのだ。
注文すると、ドリンクが400円くらいなのに700円のチケットを使うと言っている私に、おつりは出ませんが、と店員さんが注意してくれる。大丈夫ですと言った。デカフェは10分くらいかかると言われ、近くのソファに座って待った。
気づけば8時半だ。意外と時間に余裕がないな。本当に10分くらいで、店員さんがコーヒーを私の所まで持って来てくれた。それを持ち、いざ右端の搭乗口へ。
紙を巻いてくれたが、ずっと持っていると熱くなる。持つ手を換えたり、持ち方を変えたりしつつ歩く。そして、とても喉が渇いている。喉が渇いたから一口飲みたい。が、開けてしまうと歩く時にこぼれるだろう。だから我慢だ。
延々歩く。けっこう長い距離なのだ。10分くらい歩いたと思う。ようやく搭乗口の前に来たのが8:45。
あれ?こぼれてる?いやあ、やっぱり蓋の隙間からこぼれたか。ボラバッグ(ポーチ)の蓋が少し濡れてしまった。

空いている椅子に座り、とにかくコーヒーを一口。ああ、意外に熱くない。飲み頃だ。そして、ちゃんとデカフェだと分かるのは、コーヒー専門店のコーヒーにしては苦くない。薄い。ま、仕方ない。私はカフェインが効きすぎるので普通のコーヒーが飲めないのだ。スタバはかつて、カフェインレスは裏メニューにあるとか無いとか言われていたが、今はちゃんとメニューに載っていて、プラス50円と待ち時間10分でカフェインを抜いてくれるのだ。今回調べた。私にとってはビッグニュースなのだ。
「米子空港行き、まもなく搭乗を開始いたします」
って、アナウンスが。ウソでしょ。トイレに行っておかなくちゃ。
というわけで、食べようと思ったスコーンはバッグにしまい、コーヒーを片手にトイレへ。戻ってきて、もう一度空いている椅子を探して、そこへ座った。食べるのは機内に入ってからにしようかなと思っていたが、グループ1から搭乗だとアナウンスがあって、自分の搭乗券を見たらグループ3となっていたので、その前に食べる事にした。
いやー、スコーン美味い。もっとモソモソしているかと思ったら、チョコがふんだんに入っていてそんな事なはい。コーヒーに合うじゃないか。ちょっとポロポロしてしまうのが難点だが、美味しいからよしとしよう。で、グループ3が呼ばれ、あと一口だったので急いで口に入れ、袋を捨ててから搭乗した。コーヒーは持ったまま。おしゃれ?
フライト~米子空港
飛行機は新しい機体で、座席の前に画面があるやつだった。けれども、私はスマホに入れてきた新聞を読む。

東京は晴れている。窓際の席に座って、窓の外の撮影にも忙しい。3人席の隣二つは空席だった。

何度か国内線には乗っているのに、ちゃんと富士山を見た事がない。窓際ではなかったり、曇っていたり、夜で暗かったりして。しかし、今日は見えた!こんなに大きく見えるのか。しかも、最近冷え込んで山の上に雪が降ったから、日本アルプスもしっかり分かる。



だが、西日本は天気が悪く、何も見えない。

そして、米子空港に到着。何か翼から煙りのような、蒸気のような、飛行機雲のような物が出ている。

到着し、スーツケースを回収し、総合案内所でフリーパスを買う。その名も「縁結びパーフェクトチケット」。3日間バスや一畑電車が乗り放題なのだ。米子空港から松江駅までの空港バスも。
空港バスを往復使うなら、絶対にお得なパーフェクトチケット。けれども、帰りは安来に寄るのでJRだ。そうすると、お得ではない。バスだけ、一畑電車だけの一日乗車券もあるから、本当はそれぞれ買った方がお得かもしれない。だが、いちいち買うのが面倒だ。ここで一度買えば、もう切符の類いを何も買わなくていいというのが楽だ。

さあ、水を買って空港バスに乗車。これから松江駅を目指す。

鳥取と島根を分ける中海を見ながら、松江駅へ向かった。
今日はここまで。また明日、1日目の後半をお楽しみに!