小雨の降り続く金曜日。チョコナッツのおっちょこちょいが2つも重なるとは。
スーパーの特売
小雨が降る中、近所のスーパーに行った。徒歩10分くらいの距離である。
そのスーパーは、金曜日が「野菜の日」。野菜を買い込む為にやってきた。野菜も安いが、肉も安い。欲しい肉を全て買うと賞味期限内に使い切れず、一つは断念した。いや、賞味期限に関係なく、重たくてこれ以上は無理だった。
そんな中、安い!と思って予定外に購入したものが2点。それは、ウインナーとクリームチーズだった。
うちは男が3人いるので、ウインナーを買う時には大袋である。600グラム以上入っているものだ。今、その大袋に半分以上残っている状態だが、ここに500グラム入りの安いウインナーが売っていた。賞味期限は11月1日。ちょっと短いけれど、まだ10日あるし、大丈夫だろう。私の脳内はパパパッとそう計算結果を叩き出した。
クリームチーズは、塊(ブロック)を買った方が安いのだが、タッパなどに入れて使っていると、そのうちピンク色のカビが生えてきてしまうので、もう塊で買うのは辞めたのだ。個包装になっているキリを買っている。
だが、ここに小さめのクリームチーズの塊が売っていた。すっごく安い。なぜ?と思ったら、賞味期限が10月26日。つまり4日後だった。普通チーズと言えば何ヶ月ももつ物。そりゃあ、安くもなるわな。
しかし、私はぴーんと来た。常々作ろうと思っている物があったのだ。先日「いぶりがっこの素」という粉を買った。一度それで大根を漬けてみたところだが、パッケージにはクリームチーズと混ぜても良いと書いてあったのだ。是非やってみたい。それにはキリをいくつ分にすればいいのか、粉の方も個包装だから、あの粉の量だとけっこう使うよなあと思っていたところだったのだ。

それで、今ここに売っている安いクリームチーズの塊が、ちょうどいいように思えた。あの、いぶりがっこの素の一袋のサイズに。というわけで、迷わず購入した。

生協の注文履歴
重たい荷物を二つに分け、右肩と左肘にひっかけて傘を差して帰って来た。小雨なので、傘を差している人は通行人の半分くらい。ちょうど中学生の下校時刻に当たっていて、中学生を見ても半々と言ったところだった。
家に帰ってきて傘を閉じたら、思いの外びっしょり濡れていた。そして、傘を差していなかった方々を思い、けっこう髪の毛とか洋服が濡れちゃっただろうな、などと心配したのだった。後で次男が傘を差さずに制服で帰って来て、髪のアイロンが取れてだいぶウエーブかかって現れる、なんて事はこの時には思いもしなかった。傘を持って出かけたから安心だと思い込んでいたから。
帰宅後、パソコンを立ち上げて生協の注文をした。そして、来週の火曜日には何が届くんだっけ?と注文履歴をチェックした。
「はぅ!そうだった、ウインナーを注文したんだった・・・」
やっちまった。普段は頼まないのに、珍しく普段買うウインナーよりも少し安かったので、600グラムのウインナーを注文していたのだ。がーん、これでは、うちのウインナーが過剰ではないか。
賞味期限内に使い切れるのか?とりあえず週に2回お弁当に入れて、週末に夫が作ってくれるパスタに一回使ってもらって、私も酒のつまみに食べるようにして・・・
またもや脳内では計算が始まる。が、「数字」が苦手なチョコナッツの脳内では、本数やグラム数、日数などの数字が出てこない。よって、何となくの分量でしか測れないのであった。
家族が帰って来た時に、この話をした。一人ずつ、3回した。話したというか、懺悔した。そうしたら次男が言った。
「じゃあ、毎朝食べるよ」
と。彼は時々朝、ウインナーを3本食べる事がある。
「でも、お弁当に週2で入れようかと」
「朝も昼もウインナーでいいよ」
まあ、それならお弁当には入れないけれど。毎朝3本ずつ食べてくれれば、きっと大丈夫だろう。私の罪は贖われた。
クリームチーズに粉を混ぜる
夕飯は次男と二人だった。食べ終わり、いぶりがっこチーズを今作っておこうと考えた。今夜のワインのお供にしようと考え、少しは次男にも食べさせてやろうという気持からであった。
真空パックのようになっているクリームチーズを袋から出し、深い器に入れた。もちろん、チーズを触らないようにして、である。
そして、ステンレスの大きいスプーンでぷすぷすと刺して、ほぐそうとした。あまりほぐれない。そのうち常温になってくれば柔らかくなるだろう。そう思って、粉を少しかける。またぷすぷすやる。チーズを裏返してまたぷすぷすやって、粉を少しかける。
またチーズをひっくり返す。次男が器を押さえていてくれるので、粉を全部かけ、力を入れて混ぜる。が、なかなか混ざらない。
なーんか、サクサク言うのが腑に落ちない、とは思っていた。クリームチーズってサクサクしていないし。
だが、もう一度ひっくり返した時に、何かがめくれた。
「あ!」
言葉がそれ以上出なかった。そのクリームチーズは、ビニール製のもので包まれていたのだ。つまり、粉は全部ビニールにかけてしまったって事?!
次男と私は顔を見合わせた。
「どーしよー!」
と言いつつも、とにかくビニールを取るしかない。ああ、粉を全部かけるんじゃなかった。
しかし、ビニールを取ってみたら、粉は全部ビニールにかかったわけではなかった。ぷすぷすとスプーンを差したので、ビニールが破けていたのだ。サクサクという音は、ビニールが破ける音だったのだ。
ということは・・・もっとまずいかもしれない。ビニールが細かくちぎれ、チーズに練り込まれてしまったのだ。
なんということだ・・・
「気づかなかったの?」
と、当然次男には言われたが、だって手で触ってないし。見ていた次男だって気づかなかったんだからさ。でも、スプーンで触れば分かるだろ、と思われるのも分かる。私だってそう思う。けれども、分からなかったのだ。
ビニールの小さい破片を、目の良い次男が見つけて取ってくれた。私はもう、どんどんかき混ぜた。
「まあ、口に入ったら出せばいいし」
私がそう言うと、
「いや、ダメでしょう」
無計画だな、と笑いながら次男がきらっと光るビニールを懸命に探す。
酔っ払い、ではない
それで、大体取り除いてもらえたと思う。しかし、けっこうな量のクリームチーズだ。それでも、味は絶品。甘塩っぱい味は和洋を問わず酒に合いそう。今週は白ワインだからカマンベールチーズを食べる予定だったが、こっちを先に食べるしかない。

白ワインにカマンベールチーズが合う、というのは私個人の意見である。いや、私の意見としては、赤ワインはカビ系チーズに合わないものがあるが、白ワインはだいたい大丈夫だ、という事だ。で、カマンベールチーズはまだまだ賞味期限も先だし、それは次の機会で。
とか言って、明日にはカマンベールチーズも開けて食べているかもしれないが・・・酔うと何をしでかすか分からないチョコナッツ。だいたい酔っ払って、
「いいのいいの」
「あーあ、まあいいや。あはははは」
と、いい加減になる母を息子達はよく目にしているのだが、今日のクリームチーズの一件で、酔っていなくても同じだという事を次男に知らしめたのであった。