先日、小学校で展覧会の見守りボランティアをした。その時のエピソードを。
スクールサポート
近隣小学校で、ママ友がスクールサポートのとりまとめをしている。その、とりまとめ役をお願いされた事もあるのだが、それは申し訳ないがお断りしている。とても、小説やブログを書きながら片手間に出来る気がしない。
なので、お仕事をお願いされた時には、よほどの用事がない限り、引き受けているというわけだ。その、大変なとりまとめ役をやってくれている友人の為にも。
展覧会
小学校での展覧会。ある土曜日に、体育館で午後12時半から4時まで、見守りボランティアをやって欲しいと言われた。
仕事内容の説明はそれだけ。当日行って、前半の人(午前9時から午後12時半まで)と交代した。
体育館の入り口にパイプ椅子が置いてあり、そこに座っていればいい、という事だった。
友人は言った。
「まあ、来るのは保護者だけだから、大きな問題はないでしょう」
と。体育館には学年毎に絵や工作などの作品が展示してあり、その椅子の位置からは死角部分もあるが、そこを見に行ったりはしなくていいそうだ。
写真撮影は
パイプ椅子に座ってみた。今日は、3時間半。ずっと座っていたら絶対に腰が痛くなるから、時々立ってうろうろしなきゃ、と思っている。
座って、目の前の展示を見たら、松ぼっくりに白い絵の具か何かで雪が降ったように色づけして、ペットボトルのキャップの上に置いてあるものが多数。
可愛い!すごい、白く塗っただけでクリスマスツリーに見える!と、感動。後で写真撮っちゃおうかなーと思った。
そして、ぐるりと見渡してみたら、実は体育館を入ってすぐ目につくところに、
「写真撮影はご遠慮ください」
と書いてある紙が貼ってあった。今まで気づかなかった。危ない、撮るところだった。
すると、その時入って来たご夫婦が、
「あ、写真撮影はご遠慮くださいだって」
「パシャパシャ撮らなけりゃいいんだろ」
「自分の子の作品は撮っていいんだよね」
と、話しているのが耳に入った。おっ?保護者も今まで知らなかったのか?
他にも、今初めて知ったという感じの人がけっこういる。これは、聞かれるな。
友人を捕まえようと思ったが、他の人と話していたり、どこかへ行ってしまったりして、捕まらない。すると、
「あ、ありがとうございます」
と、私に挨拶をしてくれた人が。
「先生ですか?」
そう尋ねると、そうだと言う。それで、聞いてみた。
「写真撮影はご遠慮くださいと書いてありますが、自分の子の作品もダメという事ですよね?」
すると先生は、一応頷いた。けれども、重そうに頷いた。首が重そうに。更に、
「もし、自分の子の作品は撮ってもいいのかと聞かれたら、どう答えたらいいですか?」
と聞いてみたら、
「難しい問題ですよねえ。今後、考えないといけないですよね。何か答えにくい質問が来たら、我々教員がいますので、つないでください」
とおっしゃった。つまり、答えは無い。
質問を受ける
実際、聞かれた。
「あの、写真はダメなんですか?」
と聞かれた時には、
「はい」
と答え、
「写真撮ってもいいですか?」
と聞かれれば、
「一応、ダメなんです」
と答えた。
一方、
「自分の子の作品も、撮っちゃダメなんですか?」
と聞かれた時に、
「一応、基本的にはダメなんです」
と答えたら、そのお母さんは、
「ああ、基本的には、はいはい」
いや絶対、ダメじゃないと受け取ったよな。
注意はしない
座っている位置から、見える範囲の作品は限られる。3時間半見ていて飽きないわけがない。
30分に1回、立つことにした。30分座ったら、10分前後立っていると。それで、幸い腰痛にはならずに済んだ。
で、目の前で写真を撮っている人がいても、注意する事はなかった。遠くで撮っている人には注意できないし、死角もしかり。
確かに、他人の作品の写真を勝手に撮り、それを勝手にどこかで閲覧できるようにしたら、ダメな気がする。著作権だか肖像権だか知らないが。だが、昔は撮っても良かったのだ。私も自分の子の作品を写真に収めたし、周りの子の作品もなるべく入るように撮ったものだ。何なら、優れた作品は、今後の子供の参考になると思って、全く知らない子の作品まで写真に収めた事もある。中学校の時なんか特に。
だから、SNSに勝手に上げないとか、そっちの方が本当はいい。けれども、それは監視できないから、やっぱり写真を撮るところを禁止した方が確かだ。けれども、禁止しきれていない。
自分の子の作品だけを写真に収めるのは良いとしても、隣の子の絵まで写真に写り込んでいないかどうか、それを確かめるのは無理だし。やっぱり禁止すべきなのだろうか。
そもそも、ご遠慮ください、は禁止と捉えるかどうか、そこも人による気がする。
長い時間を
写真を撮ってもいいかと聞かれ、ダメだと答えるのに、目の前で撮っているのを黙って見ているのは辛い。
また、小さい子がたくさん来るので、その子達が作品を触ってしまったりしないか、ハラハラする。保護者がちゃんと注意して見ていれば大丈夫なのだが、勝手に走り回る幼児もいるし、それで転んでぶつかる場合もある。
よく、美術館へ行くと、やはり座って見ている人がいる。混んでいるときは気にならないが、見ている人が私しかいないような部屋で、見張りの人と二人きりだったりすると、その人の視線が気になって作品に集中出来ない事もある。
だから、私はなるべく目立たないように、そしてあまり人の顔などを見ないようにしていた。邪魔にならないように。小さい子とは目を合わせたりもしたけれど。ニッコリするとニッコリする子もいれば、難しい顔をしたままの子もいて面白い。いや、やっぱり笑って欲しい。
人がたくさんいる時には、そちらをさりげなく注意しているのだが、ほとんど目の前に誰もいない事もある。そんな時、私には何もしていないように見える、けれどもちゃんと有意義な事が出来る技がある。
それは、小説の内容を考える事。今書いている小説があって、その続きを考えていたのだ。3時間半。おかげさまで3話分くらい頭の中で書けた。いや、考えられた。時間を無駄にしないチョコナッツである。
ボランティア活動は学び
最後に、友人に気づいた事を伝えた。
写真撮影はご遠慮ください、についてだ。予めこの展覧会のお知らせを配布したのだろうから、そこにちゃんと明記し、しかもその理由を書いた方がいい。また、自分の子の作品は、持ち帰ってから撮影してくださいと書くといい。
友人も、なぜ写真がダメなのだろう?と言っていた。SNS時代だからじゃないか、と言ったら納得していた。
ボランティア活動は、やはり気づきや学びに繋がる。人間観察には持って来いだし。私の今後の執筆活動にもきっと役に立ってくれると思う。いや、必ずそうするぜ。