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【読書感想文】西條奈加「善人長屋」

善人長屋 (新潮文庫) 文庫 – 西條 奈加 (著)→https://amzn.to/4hC8mdv

以前、この小説がドラマ化された時、新聞のテレビ欄に初回のあらすじが載ったのを読んだ。

その時、一瞬ものすごいインスピレーションを感じた。すごく設定が面白そうだと思ったのだ。役者さんたちの様子が目に浮かぶようで、私もそういう感じの設定で小説を書こう!書ける!と思ったのだ。

が、インスピレーションは一瞬で消え、結局まだその時書けると思った小説は書いていない。で、本屋でこの原作本を見つけたので、即買いしてきた。

舞台は徳川幕府時代の江戸。町人たちが住む長屋である。住人達はそれぞれ仕事を持っているが、実は全員裏稼業も持っているのだ。そこへ手違いで悪人ではないまっとうな人間、加助が住み着いてしまう。

他の住人たちは裏稼業がバレないように気を付けているのだが、加助が次々と困った人を連れてきて、長屋の住人たちはそれぞれの得意技を駆使して人助けをしてしまうのだ。

一人の困った人が出てくる度に一つの物語、という感じの短編集かと思いきや、加助の事情が徐々に明らかになっていくという点で物語は進展していく。最後は加助という人の事がよく分かるようになっているのだ。

また、悪人たちがもっと悪いやつらを懲らしめる話なわけで、本当の悪とは何なのか、そんな事も考えさせられる社会派小説であり、人情物でもある。

私はドラマでは時代劇がけっこう好きなのだが、あまり時代小説を読んでいないせいか最初は文章がとっつきにくいと感じた。

今は使わない言葉もあるし、漢字も難しい。あの時ワクワクした設定も、全然目に浮かんでこない。

と、思ったのだがとんでもない。途中からは慣れたのか、ぐいぐい引き込まれた。お話は事件を解決するといういわばサスペンス。いやミステリーか?とにかく先が気になってくる。そして、情景もまざまざと目に浮かんで来て、すっかり頭の中は江戸時代、いや時代劇だ。

面白かった。だが、私が最初のあらすじを読んだ時に想像したのとはけっこう違った。ちなみに、ドラマは見なかったので、ドラマとの違いなどは分からない。

ドラマを観てしまったら、本を読もうとは思わなかっただろう。本を読んだ方がいいと思う。これは絶対に面白い!