どうしてボランティアなんかするのか、そう問われても端的に答えられないでいた。
だが、ふとした瞬間にその答えが見つかった。
マラソンを走る人
先日実家に行った折に、10月に行われた東京レガシーハーフマラソンのボランティアをした話をした。
そこには妹の夫もいた。彼はマラソンをやっていて、東京マラソンにも出場した事がある人だ。
私は給水ボランティアをした事を、こんな風に話した。
「選手が目の前を走って行くのは格好良かったよー。
トップ選手は水なんか取らずにぴゅーん（首を左右に振り）って行っちゃうのね。
その次くらいに来る大学生とかはね、取ろうとするんだけど取れないの。ばしゃっ（手を手前に弧を描くように動かしながら）てなって。次の場所では取れるといいなーと思ったんだ。
一般ランナーになると水を取っていく人が増えてきて、最後の方は歩いてきて（コップを二つ持つ仕草をしながら）ありがとねーなんて言って持って行くんだよ」
そうしたら、その最後の方の所で義理の弟はそうそう！と言う感じで頷いていた。
妹は夫の出場した東京マラソンを見学したし、マラソンをテレビで観るのが昔から大好きな父もその場にいたが、給水の場面をじーっと見ている事はないし、その給水あるあるは、マラソンの大会に出場した事のある人しか分からない話だ。
そう、でもその話を、マラソンなんて走れない私がしているのだ。
私はスポーツを観るのが大好き。だが、自分では出来ない。大人になってもスポーツをしている人をリスペクトしている。
そんな、スポーツをする人達と共通の経験が出来るのが、スポーツボランティアなのだ。
自分では出来ないが、スポーツを一緒に経験する事が出来る。それが、私がスポーツボランティアをやりたい理由だと思った。
お金のかからない趣味
よく、お金もらえないのによくやるよね、と言う人がいる。
だが、それは「働く」と考えるから出る言葉だ。やりたくもない仕事をしたのに、報酬がもらえないという雰囲気。
だが、スポーツボランティアをする場合、そうやってスポーツを一緒に楽しむという趣味を行っていながら、お金がかからないのだ。交通費やお弁当が出たり、スタッフジャンバーをもらえたりする事もあるのだから、なんとお得だろうか。
それで、更に人のお役に立てるのだから。
最近、マラソンの大会に参加するのに参加費が高額になっているという話を聞く。参加する人がたくさんお金を出して、ボランティアは同じように楽しんでいるのに参加費無しなんて、むしろ申し訳ないくらいだ。
参加するのにお金がかかると言えば、音楽が趣味の場合もそう。
ライブをやりたい。本当ならお客さんからお金をもらって演奏したいが、そんなプロの演奏家になれる人なんてほんの一握り。でも、こちらが参加費を払ってでも、ステージで演奏したいではないか。それで、お金を払ってステージで演奏をする。
スポーツをする人も、それでお客さんからお金がもらえればいいが、プロのスポーツ選手になれるのはほんの一握り。それでも、大会に出てみたいではないか。そういうわけで参加費を払って参加する。趣味にはお金がかかってしまう。
それなのに、大会に参加するのにお金がかからないのがボランティアだ。お金を払わずに参加させてもらっているから、いろいろご奉仕もする。
まあ、考え方次第だとは思うが、私がスポーツボランティアをやりたい理由は、そんなとこ。
自分ではできないスポーツの祭典に、お金をかけずに参加する事が出来るから。尊敬するスポーツマン達と経験を共有したいから。