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チョコナッツの長い一日~大阪・関西万博ボランティア面談

面談初日

私が万博(万国博覧会)大好きで、ちょっと詳しいという話をどこかでしただろうか。

実は、大学の卒論のテーマが万国博とジャポニズムについてで、もう忘れてしまった事も多いが、普通の人よりは万博について詳しいと思う。研究したのは1970年大阪万博までで、それ以後の万博にはあまり詳しくない。ただ、つくば科学万博横浜海洋博愛・地球博には実際に足を運んだ。万博は大好き。だから、ボランティアに応募した。

ボランティアは予想以上の応募があり、抽選になった。幸い抽選に当たり、会場ボランティアをやらせてもらえる事になった。そして、6月27日から面談が始まる事になった。大阪のボランティアセンターに行かなければならない。

面談の日を予約するにあたり、とにかくブログに書く為に早い方がいいと思った。どうせなら初日でということで、6月27日(金)に予約する事にした。時間は、午前中の家事を終えてから出かける事にして、15:30~16:50の回にした。

予約をしたのが1週間前。日帰りなのでそれほど準備も必要ない。大阪へとんぼ返りは経験済みだし(参照→新幹線でとんぼ返り~新大阪 – たかんなお年頃 (takan.site))、終わってから観光でもしようかと、古いガイドブックをちょっと見たくらい。行った事のない鶴橋へ行ってみる事にした。

ただ、後から新幹線は高いという事に気づいた。1か月先の日を予約すれば飛行機の方が安かったし、長距離バスという手もあった。だが、もう予約してしまったし、やはり早めの日程という線は譲れない。長距離バスは時間がかかる。私は特に長時間椅子に座っているのが苦手なので、辞めておいた。もういい、新幹線にしよう。

出発日は雨

梅雨だから雨なのは致し方ない。だが、前日よりも気温が低いという予報で、ちょっと不安だった。30度くらいだった最高気温が、その日はいきなり東京24度大阪26度だというのだ。タンクトップの上に薄い七分袖を着て、ズボンは薄くないがさらっとした感じの物にした。短い靴下だとふくらはぎが出てしまうので、結局膝下までのストッキングを履いた。これなら雨で濡れてもすぐ乾くだろう。

新幹線の中は寒いかもしれないので、長袖のパーカーを持って行く事にした。これで安心だ。飲み物も、常温のお茶を用意した。

品川を12:07に発車する東海道新幹線に乗ろうと思っていた。これだと、最寄り駅に30分前くらいに着く。多分余裕だろう。しかし、品川駅で駅弁を選ぶのに15分あればいいと思っていたが、やっぱりもうちょっと早く着くように行こうかなと思っていた。

当日の朝、夫に言われた。

「あの電車(うちの最寄り駅から乗る電車)、最近遅れるよ

そして、私がこの間映画館に行った時に電車が3分遅れて焦ったという話をしたら、

「そのギリギリ主義、辞めた方がいいよ」

とも。確かに。電車は遅れるものと思った方がいい。なるべく早めに家を出ようと思った。

しかし、思ったよりは10分ほど遅くなってしまった。駅の券売機で新幹線の切符を買い、電車に乗って品川駅まで行った。そこで、駅弁を買う事に。

駅弁屋があったが、見てもあまり惹かれない。お昼に近いのだから空腹だと思うのに、なんだか食欲がわかない。私って、食べ物を買おうとすると何故か食欲がなくなるのだ。まあ、空腹には波があるし、実際食べ始めれば美味しく食べられるのだが。

駅弁屋にはあまり種類がないので、エキュートの方へ行ってみた。予め調べたものの、実際に見てみないと決められなかったし、エキュートのどこにどの店があるのかが調べられずにいたのだ。

おにぎり屋さんがあったり、焼売や稲荷ずしのお店があって、それからお弁当のお店があった。こっちの方が温かいお弁当が売っていて断然おいしそうだった。

見て歩いていると、鮭の西京漬けと卵焼きが入ったお弁当が目につき、瞬間的に美味しそうだと思った。そうか、やっぱり美味しそうに見える物もあるのだ。で、それにしようかと思いつつも周りの店も見てみたら、ハンバーグ弁当のお店もあった。目玉焼きが乗っているハンバーグが美味しそうだが、これにご飯を別につける事になるので、ちょっと量が多い気がした。目玉焼きはないが、ハンバーグとご飯とが一緒に入っているお弁当も売っている。これなら量はちょうど良さそうだ。

魚か、ハンバーグかで迷ったが、結局ハンバーグのお弁当にした。支払ってみたら1300円以上して、あれ、目玉焼き付きのハンバーグとご飯と別々に買った方が安かったかな、などと思った。でも、消費税入れると大体同じになるのかも。

買い物が済んだので、新幹線への乗り換え口へと急いだ。こうなったらなるべく早い新幹線に乗った方がいい。12:46発の「のぞみ」に乗れそうだ。自由席は1~3号車。エスカレーターを降りてホームへ。両側の線路にそれぞれ新幹線が停車していた。えーと、どっちに乗るのだ?

電光掲示板を見ると、40分発のひかりと、46分発ののぞみだと分かった。停車駅の数が違う。なるほど、のぞみの方が速いのだな。ということで、新大阪行きののぞみに乗り込んだ。

まさかの運転見合わせ

けっこう混んでいた。1号車に乗ったが、2人席の窓際は全て埋まっていた。一番後ろとその1つ前には、半袖短パンの男性がそれぞれ窓際に座っていて、2人ともスマホしか持っていない。どう見てもお連れ様のよう。私がそのどちらかの隣に座るのなら、この人たちが隣同士に座ってくれた方がいいのに。と思ったが、仕方ない。一番後ろの通路側の席に座った。

もう1つ、正午直前の時間なのに、窓際の男性はテーブルも出さず、食べ物も飲み物も持っておらず、ただひたすらにスマホをいじっている。隣に座ると圧迫感が。私はテーブルを出し、その上に弁当を置いた。座るのも、お尻をめい一杯通路側に詰めて座る。こんな状態でお弁当を食べるのか?

水筒を出したりして、それから大きいバッグは上の棚に置いた。貴重品の入ったショルダーバッグは前の座席の網の中に入れた。無理矢理つっこんで。

まだビニール袋に入ったままの弁当を置き、スマホも置いた。そうだ、お昼のニュースをNHKプラスで見よう。まずは新幹線の無料Wi-Fiに繋げてと。

そこへ、車内アナウンスが流れた。

「ただいま、静岡県内の大雨の影響により、運転を見合わせております。お急ぎのところ大変申し訳ありません」

ん?運転見合わせ?なんだと?そういえば、もうとっくに40分を過ぎているのに隣のひかりも発車していない。そういえば、品川は始発ではないのに、この状況はおかしいではないか。

イヤホンをして、NHKを付けたら、天気予報が始まった。静岡県内で線状降水帯が発生していると言っている。マジか……。

確かに、最寄り駅に行く道すがら、かなり雨が降っていた。その前は止んでいたから、もう少し早く出ていればと悔やんだものだ。ホームで電車を待つ時には、風が強くてかなり吹き込んでいた。確かに、今日はただの雨ではないらしい。大雨なのだ。

「しばらく運転を見合わせます」

などとアナウンスは続く。正午のニュースが始まったが、東海道新幹線が止まったと言っている。うわーん、どうしよう!

だが、まだ大丈夫だ。だいぶ早く出てきたのだ。大丈夫。30分くらいならば遅れても大丈夫だ。落ち着こう。とにかくお昼を食べよう。

イヤホンをすると、不思議と隣との圧迫感を感じない。周りからの圧を遮断してくれる。お弁当は美味しかった。だが、ずっとドキドキしている。多分鼓動が速い。

食べ終わると、電車の時間を調べた。何分までに発車すれば間に合うか。私は、新大阪から御堂筋線本町駅へ行き、中央線に乗り換えて1駅乗って堺筋本町駅へ行くつもりでいた。けれども、1駅1分の乗車をせずとも、御堂筋線の本町駅から歩いた方が速いような気がしていた。もし、品川を12:37分に発車したら、本町駅に15:25に着く。いや、新大阪駅での乗り換えが13分になっているが、9分で乗り換えられれば15:21に着ける。9分あれば歩けるのではないか。

ということで、12:37が最終ラインと判断した。とはいえ、途中で止まったりもするかもしれない。いよいよダメだと思ったらどうするのか。調べた。面談に当日遅刻する場合はコールセンターに連絡をすると書いてあった。もし、遅れたら別日と言われたらどうしよう。この時、切符を買う時に往復買うか片道か迷ったが、片道にしておいて良かったと思った。

NHKで虎に翼を見ていたが、時々アナウンスが入るので止めてイヤホンを外す。しばらくは、運転開始のめどが立たないという話だったが、そのうち

「雨は小康状態になりました。安全を確認した後、発車いたします」

という話になってきた。うう、間に合うのか、どうなのか。それにしてもWi-Fiは時々止まる。止まったと思ったら切れている。繋げ直す。そんなわけで、15分のドラマを観るのにだいぶ時間がかかった。

すぐ後ろにスーツケースを持った女性が立った。いよいよ座席の空きがなくなったようだ。アナウンスでも、指定席は満席だと言っている。そりゃ、止まっているからどんどん混むよな。

発車

隣のひかりが発車した。ひかりが発車したらすぐにこちらも発車するとアナウンスがあった。よかった、どうやらギリギリ間に合いそうだ。

しかし、運転開始予定は12:37だとアナウンスがあったし、隣のひかりも発車したのに、なかなか発車しない。信号が変わったら発車すると言う。ああ、ソワソワする。お腹痛い。

そして、とうとう発車した。37分ではないな、39分くらいかな。新大阪の到着予定は15:02だと言う。また計算し直す。やはり15:09の御堂筋線に頑張って乗るしかない。予め、新大阪駅で御堂筋線に乗り換える道順をネットで調べておいた。

新横浜に着く前にも、名古屋に着く前にも、前に列車がいるからと言って少し止まる。ハラハラ。やっぱりちょっと間に合わないだろうか。

自分にはもうどうする事もできないのに、ずっとドキドキソワソワしていて気が休まらない。まだ2時間も先の事なのに、着いたらどうするという事ばかり考えてしまう。そしてそのうち、予めトイレに行っておかなければとか、色々と。それでも、持参した本を読んでいた。進みはいつも以上に悪いけれど。

京都駅で、隣の男性が降りた。やっぱり前の窓際の男性と連れだった。そして、私の後ろにスーツケースを置いていたようだ。それを取り出す時に、

「すみません」

と言われて、慌ててリクライニングを戻した。そうか、倒していると取れないのか。知らなかった。

それよりも前にトイレには行っておいた。貴重品の入ったバッグだけ持って行った。そして、京都などで降りる為の列が出来ていたのを見ていたので、私は一目散に駆けだす為に、まだまだ新大阪に着かない内から扉の所へ行って立った。なんか気分が悪くなってきた。緊張しているのか。何も食べたくないけれど、甘い飴でも舐めた方がいいだろうかと思い、口に入れた。

新大阪に到着

新幹線は、15:00ちょうどに新大阪駅のホームに滑り込んだ。扉が開いたのは15:01だったかもしれないが。とにかくもう、その時には切符を片手に臨戦態勢だった。間に合う。この時間なら。

扉が開き、1号車に乗った事を後悔しつつ、乗り換えの為に小走りした。スーツケースを引く人たちの間を縫うようにして、階段へ急ぐ。やっと階段が出てきて、降りて、改札を出た。予め見ておいたお陰で、改札を出てすぐ右の方へと小走りし、地下鉄への階段を降りた。そこからがけっこう長く、走れないのに必死に小走りし続けた。迷わずにメトロの改札口に着き、御堂筋線のホームへと駆け上がった。

そして、間に合った。15:09の御堂筋線に乗れた。1~2分余裕があったので、ここで夫に新大阪に着いたと知らせた。発車する前に止まった!というメッセージを送ったきりだったから。

たまたま女性専用車両に乗った。だが、時々おじさんやおじいさんが乗って来る。朝の時間だけかな、などと思っていたが、停まったホームに「平日は終日女性専用です」などと書いてあった。

ある駅で、目の下を白く塗った中年女性が乗って来た。いや、中年よりちょっと若いかな。するとその人はそこに乗っていた男性に即刻声を掛けた。

「ここ女性専用車両ですよ」

すごい。男性は、

「失礼しました」

と言って、ホームへ降りて別の車両へと移った。さっきのおじいさんはどうしたかな、と思ってちょっと振り返ったら、ちょうど若い男性が別の車両から歩いて入って来たところで、この男の子は流石に向こうの車両に抜けるのだろうなと思った。

本町駅であれ?あれれ?

Xでのやり取りもしていて、本町駅から東へまっすぐ行けば目的地「船場センタービル2号館」へ行かれると聞いていた。

本町駅に12:21に着いた。近くの階段を上がり、改札を出た。が……

思ってたのと違う。船場センタービルは地下鉄の駅に直結していると書いてあったし、改札を出たらすぐにわかると思っていた。ところが、その改札口の外には何もない。外へ出る階段があるだけ。あと、セブンイレブンがあるのみ。地図さえない。あっち?いや、どっち?予想外に全然分からない。

これは、聞いた方が早いと思った。セブンイレブンの店員さんに聞こうかと思ったが、客が列を作っていて、忙しそうだった。他に人はあまりいないというのに、なぜか並んでいる客。迷っていたら、店の入り口付近のコーヒーメーカーのところにサラリーマン風の男性がやってきて、カップを置いてボタンを押したので、この人は今暇だ!と思い、声を掛けた。

「すみません、船場センタービルにはどうやって行けばいいのでしょうか?」

すると、

「あっち……」

と、右の方を指さしつつ、

「あ、よく分からない」

と言われた。へらへら笑っている。他の人に聞こうにも、人の姿はまばら。もうその「あっち」の方へ行ってみるしかない。男性が指さした方の階段を上って地上に出てみた。

GPSを使って、現在地から船場センタービルへ行こうと思った。大きな道路を渡った。しかし、どうやら船場センタービルは地下にあるようで、上から見たのでは全然分からない。ちょっと右往左往してみたものの、ダメだと思った。これはやっぱり1駅電車に乗ろうと思った。

まだ27分にはなっていない。27分の電車に乗れば28分に堺筋本町駅に着き、そこから急げば間に合うのではないか。さっき上って来たのとは別の階段を降りた。スマホで検索したら1番線と出た。1番線へと急ぐ。よかった、間に合った。

ところが、電車が入って来る時にふと思った。これ、何線だ?

キョロキョロした。そうだよ、これは御堂筋線だよ。さっき乗って来た電車の反対方面に乗ろうとしていたのだ。冗談じゃない。中央線に乗らなきゃ。

階段を駆け上り、中央線の表示を頼りに歩いた。最初、Suicaで御堂筋線の改札を通ってしまったけれども大丈夫かなと思った。だが、全て大阪メトロだからそれは大丈夫だった。しかし、中央線は案外遠く、もちろん27分は乗り逃したわけだし、もう絶対に遅刻だった。それでも勝手に5分以内の遅刻なら何とか許してもらえるのでは、と思って急いだ。

だが、遠かった。中央線の1番線ホームに到着した時、電車が発車したところだった。ああ、次は39分。もう完全にアウトだ。ホームには人がごった返している。すごく並んでいる。その列を外れてちょっと後ろの方へ行き、電話を掛ける事にした。

コールセンターの電話番号は、ボランティアのマイページに載っていた。番号をコピーしたが、電話をかけようとして、ペーストしてかけるような機能はないと知る。え、番号を覚えるの?とりあえずコピーしたものをメモ帳に張り付けて、もう一度長押し?したら電話をかける事が出来た。

自動音声の応答があり、~なら1を、~なら2を押してくださいと言う。その番号を押し、また何やら聞かれて1だか2だかを押した。すると、何だったかな、会話は録音しますとかかな、それと通信料がかかりますとかかな、なんだかまどろっこしくて、あと2分で電車来ちゃうのに!と焦った。そして、やっとコール音がしたと思ったら、

ただいま大変混み合っております

というアナウンスが。少し待ったがダメだ。もう一度最初から掛け直した。1とか2とかを押して~と繰り返したが、やはり混み合っておりますと。電車が来るまで待ったが、繋がらなかった。もう現場へ行くしかない。

ただ思ったのは、電話したけど繋がらなかったという言い訳が出来た、という小ずるい考え。ちょっとホッとした。何しろ電話を掛けるという事がトラウマなもので。

船場センタービル

堺筋本町駅に着いた。ここからの行き方は、マイページなどに詳しく書いてあった。改札を出て指示された方向へ歩くと、すぐに「船場センタービル」とガラス戸に書いてあって、そこから中に入った。地下1階へ上がると書いてあるので、ここが何階かは分からなかったが、とにかく目の前のエスカレーターで上へ行った。北通りを1号館方面へと指示されている。目の前には「南通り」と書いてあった。それで、キョロキョロしたら後ろにも道があり、そこへ行ってみたら地面に「北通り」と書いてあった。そして、1,2,3号館は右の方に矢印がある。よかった、後はこっちへひたすら歩けばいいのだな。

もう10分以上遅刻してしまったが、急いだ。昔ながらの、という感じの店。あれに似ている。東京オリパラのボランティアユニフォームを受け取ったアクレディテーションセンターの、そのユニフォームを受け取った場所に。あれは古いホテルをそのまま使っていて、あの辺はお店が連なっていたという話だった。

人はあまりいない。歩いて行くと地面に表示があって3号館に入った事が解かり、更に歩いて行くと2号館に入った事が分かった。後は、ボランティアセンターが分かるかどうか……。

分かった。人がそこだけたくさんいた。スーツを着た人達が固まっていた。近づくにつれ、万博のマスコット、ミャクミャク君の旗などが見えてくる。

「あの、入っても?」

と言って、中に入った。やはりもう始まっている。13分くらい遅刻してしまっただろうか。

受付をして、番号札を渡された。そして、何かをやっている衝立の中ではなく、受付前に並んでいる椅子に腰かけるようにと言われた。この受付をした時に、

「新幹線が1時間くらい止まってたんですよ」

と言ったら、

「そんなに遠くからいらしたんですか?!」

と言われたので、東京からと言ったら驚いていた。まあ、聞かれてもいないのに言い訳をしてしまったのだが。

椅子に座ったら、汗がどっと出てきた。ハンドタオルで額や首の汗をぬぐうが、後から後から出てくる。そして暑い。ハンドタオルでパタパタと顔を仰いでいると、職員と思われる女性が、

「走って来たんですか?」

と言った。走れないのに頑張っちゃって、と言って笑った。

受付で渡された紙を読む。だが、まだ落ち着かなくて頭に入って来ない。すると、若いけれども少しお偉い雰囲気の男性がこちらへ来て、しゃがんだ。

「もう説明のビデオがだいぶ進んでしまっているので、次の回のご案内でもよろしいでしょうか」

と言った。私は、コールセンターに電話が繋がったらそうしてもらうつもりだったので、もちろん快諾。ここで1時間待たせてもらえる事になった。あまり早く来ないように(10分前から受付)とも書いてあったのに、色々と申し訳ない。

私はまた、新幹線が雨の為に1時間くらい止まってしまって、という言い訳をした。更に、コールセンターにも電話をしたけれども繋がらなくてとも。あさましい。でも、事実を告げないのが我慢できなくて。職員さんは大変でしたね、と親切に対応してくれて、更に、最後の面談は他の人とは別の部屋に案内してくれると言った。少しでも早く終わるようにと。

色々事情があったとはいえ、私が遅刻したのが悪いのに、次の回に回してしまって申し訳ないという姿勢で話してくれた。皆さんとてもお優しい。それと、皆さんは大阪の人ではないのか?どの方も大阪弁でも大阪訛りの標準語でもなかったような。

概要説明、グループアクティビティー、面談

やっと落ち着いてきて、渡された紙も読めた。そして、持参した本を読んでいた。衝立の向こうでは何やらやっているが、あえて見ないし聞かないようにした。分ってしまうとつまらないかもしれないし。本来はここにいるべきではないのだから。

前の回の人たち(というか私が入るべきだった回の人たち)の面談が始まって、衝立の後ろから、受付横へと移動していった。こう言ってはなんだが、思ったよりもセンターは狭く、1回の人数も少なかった。

まだしばらく時間があるので、首からぶら下げた番号札を預けてトイレに行ってきた。もう、汗かきすぎて化粧はどこへ行ったのやら。まあ、いつもと大して変わらないが。髪を切ったばかりで良かった。汗で濡れても特に変わらない。

それから、ユニフォームのサイズ見本が掛けてあったので、ベストを試着してみた。本当は、受付した時にその試着の案内をされるはずだったみたいだ。Sサイズはちょうどよく、Mサイズでもよい。どちらでもいいなら小さい方を着た方が細く見えるが、来年までに体型が変わってしまってSがきつくなると困る。が、まあSでいいか。そう、サイズを何で申し込んでいたのか忘れていて、マイページを見たらSと書いてあった。よくSにしたよなあ。ああ、オリパラの時の失敗を踏まえてか。

だんだん他の人が受付をしに来る。やはり10分前よりも早く来る人はいるな。人の事は言えないが

そのうち、衝立の中の自分の番号が貼ってある椅子に座るようにと言われた。なんかこう、進行がスムーズではない気がする。最初から、受付を済ませたらそっちの部屋に行ってもいいのではないか。

私は23だったので、23番の椅子に座った。すると、職員さんが来て、こっちだと言われた。そのうちその理由が分かった。皆さんが首から下げているストラップと、私が下げているストラップは色が違うのだ。私のカードにはの23とあるが、皆さんはなのだ。なるほどー。

パイプ椅子が6つずつ丸くなるように配置されていた。6つずつの椅子が4つの輪になっていて、全部で24人というわけか。私が入って25人だ。けれども、23番と24番の人は来なかった。まあ、前回の23は私で、そこは空席だったわけだが。

たまたま、私たちのグループは女性ばかりだった。しかも、ほぼ若い女性だった。ここでも、1人しか大阪弁の人はいなかった。

最初は、ビデオを見せられた。まちボランティア会場ボランティアと両方の説明があった。一番驚いたのが、全員の活動日が5日になった事。最低5日という事で募集されていたが、応募数が予想以上に多かったそうで、全員5日という事になったそうだ。まだ、どのようにシフトが組まれるのかは決まっていないそうだ。なるべく5日間をくっつけたいが、希望通りになるだろうか。

地図の上で、活動場所や休憩場所などが示された。それから、1日を4つに分けたシフトだそうで、確かにオリパラも1日中ではなかったと思い出した。

最近やるイベントのボランティアは、朝から夕方までという事もあるので、何となくそんなイメージだった。けれども炎天下に立っているような仕事だったら、それを丸1日やって連日という事になったら大変だ。どうやら1日4時間くらいになりそうで、それなら連日でもいけると思った。

それと、このボランティアセンターは、面談が終わったら我々ボランティアに開放するという事だった。自由に来ていいし、そのうちボランティアが自主的に何かを企画して~なんて話もちらっと聞いた。うーん、残念ながら私には無縁な話だな。流石にここへふらりと来る事は出来ないだろう。

さて、次にグループ毎に自己紹介をした。この時、ニックネームと一言を30秒でと言われ、皆さんニックネームをそれぞれ言っていて、どうやらボランティアに応募する時にニックネームを登録したような雰囲気だった。だが、マイページにはニックネームの欄は無い。ニックネームは「ぼ活」には登録している。でも、万博はどうだったかな。全然覚えていない。でもまあ、登録したとしたらチョコナッツしかないだろう。ボランティアはもう、チョコナッツに決めているから。

チョコナッツですと名乗り、東京から来たと言ったら皆さん「えー!」とびっくりされていた。けっこう東京近辺からボランティアに参加する人いるんだけどな。そして、新幹線が止まって~という話もしたし、東京オリパラでもボランティアをやって味を占めたという話もした。万博が大好きなのでという話も。多分30秒くらいで収まったと思う。

東京で何かボランティア活動をすると、周りはオリパラでボランティアをやった人がほとんどだ。だが、やはりここは遠く離れた大阪。オリパラでのボランティア活動をした人は少数派になりそうだ。アウェイかと思ったが、そんな事もなさそう。皆さん、すぐに仲良くなれた。

そして、グループアクティビティー。これね、東京オリパラの時にも同じように最初の研修・面談の時にやったのだが、この時には内容を漏らさないようにと念を押された。今だから言うが、グループ毎に新聞紙を使ってタワーを作る作業をしたのだ。出来るだけ高い物を作ろうということで、それをみんなで相談し、協力してグループ毎に競い合うという事をやったのだ。その場で考える事が重要だから、予め考えてきてしまっては良くないので、漏らさないようにという事だったのだ。

今回のは違う。が、やはり何をやるのかを知っているよりも、知らずに来てこれか!と新鮮な気持ちで取り組んだ方がいいと思うで、内容は書かない事にする。ま、簡単で楽しいものだ。そして、あっという間だ。

やはりグループ毎に競う物で、何と我々のチームがダントツ1位だった。で、お隣のおばちゃんに(おっと、私もおばちゃんだが)

「そこは5人しかいないから」

と言われてしまった。少ない方が有利な事ではあったのだ。けれども、その人達を見たら、全然レベルが違った。それじゃあ、1人減ったところで我々には追い付けないさ。なんて。やっぱり、属性が近い人達だったから、団結力が高かったのだと思う。若い女性ばかりだったから。

さて、そして面談の時間になった。我々は番号が遅い方なので、最後に呼ばれた。で、それとは別に私は別室へ呼ばれた。皆さんさようなら。

東京オリパラの時は、面談の時点ではまだボランティア確定ではないと言われていた。だから、ここでまずい事を言ったら落とされると思って、ちょっと緊張したし、実際面接試験のような雰囲気だった。

けれども、今回は面談で落とされる事はないと言う。登録内容の確認をするだけだと。あと、心配な事があったら相談をすると。その、心配な事の相談の為の別室に、私も呼ばれたのだった。

マイページを見ながらの確認で、特に問題なしだった。だが、希望する役割のところに「何でもよい」と書いてあって、ご希望に変わりないですか?と聞かれても、ちょっと困った。えり好みするとボランティアに受からないと思い、何でもよいにしたような記憶がある。だが、どんな役割があったのかが全然思い出せない。何しろ色々やっているから。そうだ、色々やっているから何でもござれと思ったような気がする。誘導だろうが掃除だろうが、大抵やったことがある。全て楽しかったから大丈夫だ。

この面談のお相手も、とても優しい、感じの良い女性だった。同年代くらいだろうか。今日の大変だった話もして、やっぱり東京から!?と驚かれた。そして、私が万博大好きなんでと言ったら、近畿圏以外の人がそう言ってくれると嬉しいと言っていた。万博は国の事業だから、全国的に盛り上がって欲しいのに、今のところ近畿地方しか盛り上がっていないような気がするのだそうだ。私はもうチケットも家族分買ったし、すごく楽しみにしているし、私の東京のお友達もけっこう盛り上がっているという話をした。

そして、何も問題がないので、すぐに終わったのであった。あっけない80分…いや、60分であった。待ち時間は長かったけど。

鶴橋へ

予定よりも1時間ほど遅くなったが、一応予定通り観光しようかと思った。観光と言ってもまあ、ちょっと歩いてみたいな、くらいな事で。

鶴橋のコリアンタウンへ行こうと思う。時々耳にする地名だし、ちょっとどんな感じなのか知りたいと思っていたからだ。行った事がないし。そして、古いガイドブックを見て、御幸通り商店街チーズハットグが食べられる店に行ってみたいと。

憧れのチーズハットグ。外がカリカリで甘く、中にチーズが入っているアメリカンドッグみたいなやつ。ケチャップとマヨネーズと砂糖を掛けてくれるやつ。多分。

東京の新大久保にはいくつも売っている屋台があって、前を通った事もある。だが、大抵その屋台の前には若い女の子たちがいて、食べている。そこにおばさんが独り混じって食べるというのが、どうしてもできない。おばちゃんでも独りでなければ何とかなるのだろうが。それで、今行こうとしている店はイートインできるみたいだし、そうでなくても店の周りに誰もいないようだったら食べられそうだ。新大久保は雨でもなんでも人が多くて。鶴橋辺りはどうなのか。

鶴橋駅に向かった。どうも、この辺の地下鉄の駅には地図がない。乗りたい路線にどうやって乗るのか、迷っていたらやっと矢印を見つけた。

それにしても、最近はエスカレーターは止まって乗るように心がけていて、歩かないのだが、今日は行きにだいぶ急いでいて、ついついエスカレーターを歩いて上ってしまった。それも、左側を。私にとってはレアだ。やはり大阪では右側に立って左側を空ける。この習慣はまだ残っていた。なかなかね。東京でも右側空けは全然なくなっていないよ。

鶴橋駅に着いて改札を出た。目の前に手書きの紙が貼ってあり、コリアンタウンには5番出口と書いてあった。それを信じて5番出口へと向かった。途中3番くらいかな、大勢の人が地上へと上がって行く出口があった。それを尻目に更に地下道を突き進む。不安になりながら。どうして私はこんな寂しい所を歩いているんだろう、と思いながら。

5番出口から外へ出ると、また雨が降って来た。そうそう、書くのを忘れたが、本町駅で一度地上に出た時、雨は止んでいたのだ。だが、また降っている。梅雨だから仕方ないが。

何となく店のある方へ歩いて行く。焼き肉屋が多い印象。焼き肉のいい匂いがしている。新大久保と似ている。ふと、スマホの地図を見てみたら、行こうとしているところからどんどん遠ざかっているようだった。慌てて信号を渡り、まっすぐに歩いて行ったのだが……。

コリアンタウン

行けども行けども住宅街。しかも、雨が強くなってきて土砂降り。何故だ……。

しばらく歩いて行くと、地図上では行き止まりではないのに、行き止まりが出てきた。そこはアーケード街だった。傘を差さなくていいのでありがたい。しかも、なんだかいい雰囲気だ。

時刻は18時過ぎ。夕暮れ時だ。アーケード内には客待ち顔のおばちゃんたちが、自分の店の前に立っている。カラフルな看板もあり、いかにもコリアンタウンという雰囲気。でも、ちょっと寂しいかな。歩いて行くとシャッターの閉まった店も多い。これから開くのかもしれないが。

店頭にクルクルのポテトとか、トッポギとか、カラフルなジュースのイミテーションが並んでいる店もあった。そういう所ではジロジロと見てみたが、チーズハットグはなかった。

進んでいくとアーケードが終わった。その先はまた普通の住宅街だ。傘を差したら、骨が1本折れた。うぉー!この折り畳み傘、お気に入りだったのに!ショック。最近、開こうとするといつも1本だけ伸びなくて、手で伸ばしてから差していたが、とうとう折れたか。今、無理矢理開こうとしてしまったから。踏んだり蹴ったりだ。

傘も壊れたし、なんだか地図検索すると目的地はだいぶ先のようだし、もうここで引き返す事にした。何しろ予定よりも遅くなってしまっているから。新幹線にはできれば19時頃に乗りたいのだ。お土産も買いたい。

ここで引き返すなら、傘を差す前に引き返せば良かったよ。帰り道、あまりに古い感じの店があって、そういえばこれはアートでは、と思って写真を撮った。

ここまでくるとカッコいい。もっと上手く撮れれば良かったのだが、道幅も狭くて遠くから撮れないしで。他にも色々、古くてアートな感じの家がたくさんあった。最近東京建築祭に行ってから、古めかしい建物に芸術を感じるようになった。これは大きな収穫だな。

さっきは途中からアーケードに入ったが、そのまま鶴橋駅まで続いているらしい。傘も壊れたからありがたい。良さげな店もあれば、韓国のお菓子が売っている店もあった。でもまあ、そういうのは新大久保でも手に入るのでここでは辞めておこう。

鶴橋駅に近づくにつれ、大人向けになっていく気がする。刺身、日本酒みたいな。そして、そこから鶴橋駅は案外遠くて、思ったよりも新大阪へ着く時間が遅くなりそうだ。とにかくJRの環状線に乗った。

線路は高い所にあった。アーケードの屋根と思われるものがチラリと見えたが、なんだかすごいものだった。形容しがたい。茶色い四角いものがいくつも繋がっているというか、重なり合っているというか。

18時半ごろからお腹が空いてきた。すごく空いてきた。環状線に乗っている時間がけっこう長い。そして大阪駅に着いたが、こちらはすごい人の列。

そういえば、環状線でひと組の女子高生の会話だけが完全なる大阪弁だったが、他は出張中のサラリーマンが多いのか、大阪弁を聞く事がほとんどなかった。

新大阪駅の大騒動

新大阪駅に着いた。新幹線への乗り換え口はすぐに分かった。ああ、JRで来てしまったからSuicaがなあ。一度改札を出て、新幹線の切符を買ってから入ろうかという考えが、チラッと頭をよぎった。だが、今日来る時に品川駅の新幹線改札口で、紙の切符を入れつつ、何かをピッとやって入っている人がいたのを思い出した。そうか、最近は切符と交通系ICカードと併用できるようになっているのだな、と思った。

それなら、このまま乗車券はSuicaで、特急券だけ券売機で買えばいいのではないか。そう思った私。券売機の列に並んだ。隣の窓口にはかなりたくさんの人が並んでいた。そちらは時間がかかりそうだ。外国人とか、何か特別な切符の人が並んでいるのかなと思った。

券売機で特急券だけを買った。その時に「目的地までの乗車券はお持ちですか」という文字が出てきて、まあ、持っているとは言えないけれど、Suicaを持っているからOKでしょ?と思って「はい」を押した。

切符を買った後、Suicaの残高が足りないかもしれないので、チャージする機械で1万円をチャージした。もう帰るだけだし、現金はほとんど持っていなくても大丈夫だろう。最近はスマホ決済やクレジットカードなど、現金以外での支払いでほとんど事足りるから。

さて、切符も買ったしトイレに行って、それからお土産も見ようかな。

最初は新幹線の改札の中で買うつもりだったが、手前にたくさんお土産屋さんがあったので、そちらへ寄ってみる事にした。出来れば19:18の新幹線に乗りたかったが、もう19時を少し過ぎてしまったし、まあ19:30でもいいだろう。

家に帰ってから酒を飲もうと思っているので、ちゃんとした夕飯は食べないつもりだが、既にお腹が空いるのに10時過ぎまで食べないのはキツイから、何か少し食べよう。そう思ってお弁当などが売っているところへ行ってみると、これが良い。お弁当だけでなく、焼き鳥とかサラダとか、ポテトとか、ちょっとだけ食べたい人にちょうどいい物がものすごくたくさん並んでいた。ああ、どれにしよう。ポテトサラダもよさそうだし、温野菜のお惣菜も良さそう。

で、結局買ったのが「ムネネギ串レモンペッパー」と「クルクルポテト」。別々の店で、1本ずつ買ったのだ。なんか、レモンペッパーにそそられた。クルクルポテトならコリアンタウンで食べられたのに、なんだかやっぱりそれが食べたくて。もっとおしゃれな感じのポテトも売っていたのに。

食べるものは買ったし、後はおみやげ。でも、甘い物ばかりであまり家族全員の好みに合う物がない。冷凍のたこ焼きは迷ったが、こういう美味しいのではないにしても冷凍庫にはたこ焼きが入っているしな、と思って辞めた。うん、やっぱりうちの家族が喜ぶのは551だよな。かつて、大阪にとんぼ返りした時に、珍しく全く並んでいなくて買おうかどうしようかと迷った551の豚まん。あの時は次男が何も食べられない状況だったから、そんな時に、いくらいつも行列のできる店が空いているとしても、買うのは憚られたのだ。

それと、面談が終わった時、そのお話しした方が、

「新大阪にはチルドの蓬莱があるんですよね」

と言っていた。そう、私は時々スーパーや生協で「蓬莱の豚まん」を目にしていた。買ったことも多分ある。私はこの時てっきり、新大阪には551も蓬莱もあるんだ、と思ってしまったのだった。

とにかく、新幹線の改札を入ってから、豚まんを買おうと思った。だから、お土産は買わずに、改札を通る事に。

改札機に特急券を入れ、Suicaをピッとやろうとした。けれども、Suicaは全然反応しない。画面には「乗車券を入れてください」と出ている。おやおや、困ったぞ。後ろに並んだ人も注目している。どうしよう。

すると、一定時間が過ぎたのか、入れた特急券がまた入れた所から出てきた。窓口へ行けと書いてあった。

改札横の窓口のところから入ろうとした。そこは出てくる人の列があって忙しそうだったが、入る人が1人、窓口へ行ったので、その後ろに並んだ。前の人は何か青いカードを持っていて、スマホにSuicaが入っているみたいで、両方を読み取ってもらって中へ入って行った。

私の番になった。Suicaでここまで来た事と、特急券を入れても入れなかった事を話した。すると、駅員の若い女性は、

「新幹線の乗車券が必要です。Suicaで買えますよ」

と、すぐ横にある券売機を手で指示した。私は、ああ、そこの普通の券売機で買えるのかと思った。

だが、そこは普通の券売機ではなかった。予約した切符の発券機だった。あれあれ、じゃあやっぱりさっきの券売機に行って、今度は乗車券だけ買えばいいのかな。

というわけで、再び券売機へ。さっきよりも空いていて、並んではいなかった。ちなみに券売機は7つか8つくらい並んでいるのだ。

そのうちの1つのところに行って、財布を出し、乗車券のみの購入へと進んだ。すると、特急券とSuicaを入れるようにと促された。入れた。すると、

「このお手続きは、この機械ではできません。有人の窓口へお越しください」

と画面に出てきた。え、そうなの?つまり……この長蛇の列に並ぶのか!すぐ横の、例の列だ。

仕方ない。もうそろそろ19:30だが、どうせ豚まんも買うし間に合わない。まあ、帰る時間が遅くなるというだけだから。諦めて、列に並んだ。本を読んでいればさほど苦にならなかった。ずっと、男性の駅員さんの日本語訛りの英語が聞こえていた。やはり外国人が多いのだろう。

そして、15分程並んだ頃、そろそろ自分の番が来そうだからと、本をしまって財布を出そうとした。そうしたら、ない!あれ、財布がバッグに入ってない!

エコバッグの中も見た。乱雑に色々入っているから、瞬時にないと判断できなくて、周りをキョロキョロしたり、もう一度バッグを見たりして、またエコバッグの中を探る。が、やっぱりない。あ!そうだ、さっき券売機の前で出して、そこで買えなかったからそのまま置いて来てしまったのだ。動揺していたから……。

急いで列を抜け、券売機の元へと走ったが、当然財布はなかった。ああ、どうしよう。

とにかく駅員さんに聞いてみよう。キョロキョロして、新幹線の改札口にいるのを確認し、駅員さんの元へと急いだ。すると、手前で誰か他の人が駅員さんに話しかけ、その話がなかなか終わらない。居てもたってもいられず、改札口のもう少し奥にいる駅員さんのところへ行った。

「15分くらい前に、券売機のところにお財布を置いてきてしまったんですけど」

と言うと、

「こちらには届いていないですね。券売機のよびだしを押してもらうか、東口の改札のところへ行ってみてください」

と言われた。東口?よく分からないので先ほどの券売機のところへ行き、よびだしボタンを押した。これ、いつもどこから顔が出てくるのかな、と不思議だ。すると、やっぱり予想外な所がガタッと開いて、駅員さんが顔を出した。

「あの、15分くらい前にこの券売機で」

と言い始めたら、

お財布ですか?

と聞かれた。そうだと答えたら、

届いてますよ

と。良かったー!東口の改札にあると言われて、どこ?という顔をしたらご案内します、と言ってくれて、すぐに駅員さんが出てきた。どこから出てきたのか分からなかった。あまりにあっという間に横にいたのでびっくりした。

改札口に行く道すがら、

「財布の中にも外にも身分証明書があってよかった」

という話をした。そうすれば、自分のだという証明が簡単だから。外へ出る改札口横の部屋に駅員さんが入って行った。鍵を開けて金庫、じゃないかロッカーみたいなものを開けたが、何も出さずにまた閉めて出てきて、

「少々お待ちください」

と言って、どこかへ行った。その間に、別の女性の駅員さんが出てきて、名前や住所などを書く紙を渡された。どちらの駅員さんも親切で優しい。名前などを書き終えた頃、さっきの男性の駅員さんが私の財布を手に戻ってきて、

「身分証明書が入ってるんですよね?じゃあそれを、開けて出してください」

と言われ、私は自分の財布を開けてマイナンバーカードを出した。それを駅員さんに渡すと、駅員さんは名前や住所などを照合していた。そして、

「中身、確認してください」

と言われ、

「クレジットカードもあるし、大丈夫です」

と言うと、

「お金は大丈夫ですか?一応金額はこちらで5923円だと確認してますが」

と言う。そう、さっきチャージしたから万札はなくなっていた。なんか、こんなところで所持金が少ない事を恥じる事になるとは思わなかった。やっぱり、さっきチャージしたから、と言い訳してしまった情けないチョコナッツである。

「ありがとうございました」

と、心底お礼を言って、ああまた並ばなきゃと思い、窓口の列に並んだ。そう、後で思い出した。お財布を届けてくれた人に対するお礼の事、すっかり忘れていた。交番とは違うから、お財布を拾ったらお礼に1割もらえるというのはないの?先日私の父親が、お店でお財布を拾って店員に渡したら、そこへちょうど持ち主が現れて、この方が拾ってくださったんですよと店員が言ったのに、お礼なしだったと言っていたのだ。そうだ、実際お財布を落としてアタフタしていると、見つかった時にお礼の事まで思い至らないよな、やっぱり。でも、父の話では、お礼の言葉すらなかったという事だったので、私なら届けてくれた人にも感謝の意を存分に示したと思う。いずれにしても、1割では600円にも満たない額だったのだが。

さて、今度は10分くらい並んで、自分の番になった。Suicaでここまで来たと言ったら何かピッとやってくれて、もう大丈夫だと言われた。そして特急券を渡して乗車券をくださいと言うと、

「東京駅から乗り換えますか?」

と言われたので、

「品川です」

と言った。品川から最寄り駅まで行く旨を伝え、最寄り駅まで使える乗車券をもらった。

そう、前回は最寄り駅から乗る時に特急券と乗車券と2枚だった気がするのに、今日行きの切符を買ったら1枚だったのだ。そういうシステムになったのだろう。ま、今は手違いにより2枚になってしまったが。

ああ、20時を過ぎてしまった。とんだ時間ロスだった。色々と間違え、財布まで落とすなんて。

新幹線の改札を無事通過し、電光掲示板を見ると20:06ののぞみがあった。だが、これから豚まんを買うので無理。その次が20:15ののぞみ。うん、それにしよう。

ウロウロしたら、551を見つけた。少し並んでいるが、まあ15分までには買えるだろう。

と思って、店員が立っているところへいくと、

「あちらのドトールの横にお並びください」

と言われた。え?何の事かと思ってあちら、と示された方を振り向くと、向かい側にあるドトールの横に行列が出来ていた。うわぁ、そっちか!10人以上並んでいる。とにかく時間ギリギリまで並んでみるか。

最後尾につき、そういえばウエブ連載中のエッセイの、今日の分の宣伝を流していない事を思い出し、Xを開いて書き込んでいると、前の人に番号札が渡された。で、私の前で一度切られ、

「お次にお呼びしますので、もう少々お待ちください」

と言われた。列の一番前まで歩いて移動する。案外あっという間に最前列だった。ふと、何を買うか決めねばと思い、看板を見た。豚まん4個入りと焼売10個入りがあるみたいだ。

すると、もう私の番になった。私は1の番号札を渡され、そして、ほんの少しの後、551の前に移動していいと言われ、すぐ番号札を渡し、1のレジへと進んだ。一番奥だ。つまり、番号札の数だけレジがあるようだ。だけど、なんかおかしくないか。番号札を渡してすぐに回収するなんて。番号札は本当に必要か?札がないと何番のレジだか分からなくなって混乱するのかな。

レジへ行き、豚まんと焼売を注文した。そこで、有料の保冷バッグを付けるかどうか聞かれた。そこにはでかでかと書いある。3時間以内なら無料の袋、3時間以上なら有料の保冷バッグと。

「ちょうど3時間くらいで着くので、無料の方で」

と言うと、紙袋に豚まんなどの箱を入れてくれて、それからビニール袋に入ったからしを入れ、上からポンと小さい保冷剤を置いてくれた。うーん、チルドという事は要冷蔵で、今も冷たい状態なのに、どうしてこれで3時間も常温に置いて大丈夫なのだろうか。箱の中に保冷剤が入っているのだろうか。いや、それならこの上からポンと置いた保冷剤は不要ではないか。というか、551の保冷バッグなら持っていたのだから、それをここへ持ってくれば良かったのだね。今度大阪に来る時には持って来よう。あ、いや。嵩張るから持ってこないかも。(ちなみに、箱の中に保冷剤はなかった)

まあ、今はそれどころではない。時刻は20:10だ。乗るべきのぞみが27番線だという事は覚えていたのに、さっき27番線はちょっと奥まっているけれどもここだ、と見つけておいたのに、方向が分からなくなった。あれ、こっちだっけ、あっちだっけ……。

何とか見つけた。そして、小走りに向かう。エスカレーターか。また申し訳ないが左側を歩いて上る。そうだ、飲み物を買っていない。さっきお総菜屋さんでコーン茶でも買おうかなーと思ったが、結局その店では買わなかったので。

自由席は1~3号車だ。ホームに着いてからその3号車までが長い。そこもさーっと小走りしながら途中の自販機で爽健美茶を買い、またさーっと小走り。おう、もう1分か2分しかないぜよ。

3号車にたどり着いた。混んでいる。2号車へ行ってみよう。まだ混んでいる。時間は大丈夫か?でも一応1号車まで行ってみよう!

頑張った。1号車に乗れた。よかった、こっちはまだ座席に余裕があった。3人席が全て空いているところを見つけたので、そこの窓際の席に座った。そして新幹線は発車した。おー、間に合った。

恥ずかしいけれど戻るしか

帰りの新幹線では日記を書こうと思って、日記帳を持ってきた。帰宅してから書いたのでは、寝るのが何時になるか分からないからね。

まずは腹ごしらえ。と言っても、独りだから日記を書きながら食べようと思っていた。まずは焼き鳥を食べる。ちょっと冷めて硬くなっている。最初から冷めていたようにも思うが。次にポテト。これが、トルネード型だからかじるのが難しい。ポロポロこぼしてしまった。最初はビニール袋の上で食べていたのに、途中から日記帳の上で食べてしまい、かけらを落として油じみを作ってしまった。まあ、誰にも見せないからいいのだが。

食べ終わり、本格的に日記を書いていると、2つ隣に若い女の子が座った。そして、どこの駅だったかな、京都かな、真ん中の席にも女の子が座った。私はがーっと日記を書いているのだが、隣から甘いチョコドーナツの匂いがしていて、更にうどんの匂いがしてきて、この子よく食べるなと思いながら書いていた。

名古屋で女の子たちは降りた。けれども、新幹線はもっと混雑してきた。私の隣とその隣には男性が座った。やっぱり、男性が座ると狭く感じるものだな。

途中から、日記帳を机の上ではなく膝の上で書くようにしていた。なんか、ちょと前かがみになるので、お腹が圧迫されるから。時々揺れるし、膝の上だし、字はめちゃくちゃだけれど、いつもの事だ

日記を書き終えた。ふう、1時間半かかったか(と思ったが、実際には1時間15分だ)。今日は盛りだくさんだったから、そのくらいかかって当然だろう。そうだ、何時に品川に着くのだったか。

時間を調べると22:35だった。え、もう33分じゃないか。まずい、降りる準備しなきゃ。私はちょっと焦った。あれ、新横浜過ぎたっけな。でも、だいぶ前に

「次は新横浜に止まります」

と言っていたのは聞いたし、夢中になって日記を書いている間に通り過ぎたのだろう。上の棚に置いていた551を下した。窓際にいると、そこから物を取り出すのにものすごく背中を反らす必要があるのだな。そして、膝に掛けていた上着をエコバッグに入れた。よし、忘れ物ないな。

そう、今日は七分袖だった事もあり、上着は要らなかった。だが、新幹線では足が寒くて膝掛けにしていた。そうか、必要だったのは上着ではなく膝掛けだったか。

隣の人は起きていたが、通路側の男性が眠っていて、足を引いてくれなかったからちょっと大変だった。そして、扉の前へと移動した。よかった、間に合った。

ところが、いつになっても品川に着かない。39分くらいになって、おかしいと思った。いや、今日はダイヤが乱れてもおかしくないと思ったのだが、流石に何もアナウンスがなくて4分も遅れるのはおかしいだろう。

地図を出してみた。今どこにいるのか。ありゃ、何だ?全然東京じゃない。名古屋と東京の真ん中くらいにいた。そして、気づいた。今は21時半過ぎで、到着まではまだ1時間近くあるという事に。1時間間違えた

あちゃー。とりあえずトイレに行こう。奥に入ってしまうとトイレに行くのも大変。新幹線は座席の間が広いから余裕だと思っていたが、やっぱりぎっしり座ると全然余裕なんてない。

で、全ての荷物を持ってトイレに入って、出てきて、さて困った。また戻るのは恥ずかしいから、別の車両に行くか。と思ったが、2号車を覗いても空いてなさそう。私はてっきり、徐々に空いて行くのだと思っていたが、東京に近づくにつれ、混んでいくものだったのだ。そういえば、通路に座り込んでスマホを見ている人もいる。1号車に戻るしかないか。

1号車に戻るには、前から入る事になり、全員の顔が見える。で、やっぱり空いている席は、私がさっきまで座っていた席しかなかった。そりゃそうだよな。通路まで人が溢れているのだから。

仕方なく、またさっきの席に戻った。「この人、用心深い人だな」と思われただろうか。トイレに行くのに全ての荷物を持って行くくらい。

それにしても、新幹線のトイレ独特の匂いがあると思うのだが、席に戻ったらその匂いが時々して、なぜ?私が持ってきた?いや、そんなはずないよな、とちょっとパニクった。多分、お隣の方の何らかの匂いと、トイレの匂いが似ていたのだと思われる。匂いに敏感でごめんよ。

Wi-Fiを繋げて動画でも観ようかなと思ったが、帰りは全然繋がらなかった。新幹線の無料Wi-Fi。やはりみんなで使っているから混んでいるのかな。諦めて本を読んだ。

帰宅したら

品川で乗り換え、11時頃に最寄り駅に着いた。また雨が降っていて、壊れた傘を差して帰った。家に帰ったら速攻お風呂に入ろうと思って帰って来たのだが、マンションの入り口でバッタリ長男と出会った。え、お前も今からお風呂かよ。

家の玄関のカギを開けている時に、気づいた。551の紙袋が破けている!もう少しで完全に中身を落とすところだった。小さい保冷剤はいつの間にか落としていたようだ。危なかった。傘を持つ手の肘に掛けていたので、外側だけ雨に濡れてちぎれたのだろう。からしは無事だった。

そう、今回551の物を買って、紙袋を改めて見て気づいたよ。「551」の下に「HORAI」と書いてある事に。レシートにも「551蓬莱」と書いてあった。そうか、蓬莱と551はイコールだったのか。初めて知った(汗)

さて、次男はもう自分の部屋に行ったのか、と思ったら、まだお風呂が空っぽ。これから沸かすのか!そこへ夫が帰って来る!かち合い過ぎじゃー。

でもまあ、目薬を差すとか、日記にちょっと書き足すとか、洗濯物が部屋干ししてあるから、それをちょっと片づけるとか、あれこれやる事はあって、長男を先に入浴させた。なんだかんだ、夕飯と酒にありつけたのは12時。金曜日でよかった~。

チョコナッツの長い一日はこれで終わった。家族が豚まんと焼売を喜んでくれたし、財布を一時失くした話は盛り上がったし、まあ良かったか。ただ、義母にお土産を買うのを忘れたのは大失敗。義母がいる前で次男が「551がある!」と冷蔵庫を見て言ってしまったので。

それにしても、やはり日本はお財布が戻って来る国だった。身を持って体験してしまった。届けてくださった方、ありがとう。