あらすじ
元刑事で探偵の橋本は、ある女性から依頼を受け、会社の金3千万円を持ち逃げした男女を捕まえる事になる。九州へ飛んで彼らの後を追っていくが、殺人事件に遭遇する。橋本は、その殺人事件の犯人に仕立て上げられてしまう。
橋本をよく知る十津川刑事は、橋本がはめられたと睨み、捜査を始める。依頼主の女性、橋本に似た人物、東京での殺人事件。それらは皆繋がっているのか?十津川刑事は橋本を救えるのか?
ストーリーよりまず気になる事
西村京太郎は、テレビドラマでもお馴染みの推理小説作家である。だから、どんなすごい推理小説を書くのか、楽しみにしていたのだが、まず本を開いて読み始め、仰天してしまった。
読点(、)が多すぎる!普通、一文に1個か2個入っているものだが、この小説は4つも5つも入っている。例えば、出だしの文章はこうだ。
「橋本豊は、元、警視庁捜査一課の刑事で、現在、私立探偵をしている。」
この先もこんな風に続くし、会話文も同様だ。
何だろう、これは。まさか、字数稼ぎなんかじゃないよな?いや、そうなのか?でも、普通校正にかけられたら直されるだろうに。
読む方は、この読点を意識したら、どうにもおかしくなってしまう。ちょっと発狂しそうになる。でも、せっかく読み始めたから最後まで読みたい。それに、有名な作家だから、きっとストーリーはすごく面白いに違いない。そう思って、読点をあまり気にせず、自分のリズムで読む事にした。
トリック
で、読んでみてどうだったかと言うと、トリックに驚きはない。よくまとまっていたのだろうか?でも、セリフもあまりセンスが良いとは思えないし、何だかなぁ。あくまで私個人の感想ではあるが。
セリフで気になる事
昭和初期の小説には、よくある事なのだが・・・この小説に出てくる女性のしゃべり方がもう、気になって仕方ない。何がって、語尾に全て
「~ですわ」
と「わ」が付くのだ。何故に?今の世の中、~ですわ、なんて言う人いる?
「私は、知りませんわ」
「そうだと思いますわ」
という風に会話文が出てくるのだが、普通大人の女性でも、
「~です」「~ません」とか「~ですよ」「~ませんよ」
と言うのではないか?
その辺がなんか、むずむずする。女性が女性らしく、それも仰々しく書かれている気がしてならない。
この本が古いからだって?でも「特急ゆふいんの森」が運行を始めたのは平成よ。
総評
他の作品を読んでみないと、早計に答えを出すわけにはいかないが・・・他の作品を読んでみたいとは、あまり思わない。
誰か、これは素晴らしいよ、という西村京太郎作品があったら是非教えて欲しい。
そんな事はないだろう、と思う方、是非読んでみて欲しい↓