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内藤礼「生まれておいで 生きておいで」展@東京国立博物館

2024年7月10日(水)

平成館

7月9日火曜日。アート部の活動で東京国立博物館(東博)にやってきた。今日の参加者は3人。9:45集合だった。

この間から「ギリギリ主義」を辞めようと試みている私。特に朝は電車が遅れる事が多いので、この日も早めに家を出た。結果、9時半頃に東博の前に着いた。この辺で待っていればいいのかな、と思ったところでリーダーから、展示は平成館からスタートだから、平成館入り口で集合しようというメッセージが届いた。

東博は9:30開館なので、ちょうどスタートしたところだ。チケット売り場には列ができ、入り口の周りには外国人と思われる人たちがたくさんいた。チケットは昨夜オンラインで買っておいたので、列に並ばずに早速入り口から入る事にした。

アソビュー!というサイトで買ったチケット。アソビュー!が変わったのか、東博が、もしくは内藤礼展がそうなのか分からないが、いつもと違ってチケットのQRコードを表示する前に一段階あった。「スタッフにこの画面を見せてください」と書いてある。家で表示してしまってはダメなのかと思い、まだQRコードを表示していなかった。

入り口の手前でネットに繋ぎ、そのスタッフに見せるべき画面を出した。入り口でチケットのチェックをしている人に画面を見せると、

「表示する、を押してください」

と言われた。なんだ、自分でやるのかと思って表示すると、次のような画面が出てきた。

おや、QRコードじゃない。これを見て職員さんは、

「この画面を受付でも見せてください」

と言った。とにかく、私はこれをスクショした。

さて、平成館はどこだろうと、ちょっとした室内で案内図を見た。ここの出口には傘がいっぱい置いてあり、晴雨兼用傘と書いてあった。自由に使っていいという事のようだ。流石。めちゃくちゃ暑い時には欲しいよね。もしくは、雨が降ってしまった時に建物を移動したい時には傘が借りられたら嬉しい。

私は自分の日傘を持っていた。今は曇っているので必要ないかとも思ったが、せっかく持ってきたので差した。さて、平成館は左奥だった。ああ、この間(と言っても4年前だが)きもの展を観に行ったところだ。

これが正面の本館で、

左にあるのが今カルティエ展がやっている表慶館。本館と表慶館の間を通って行くと出てくるのが平成館だ。

いつもある森鴎外の写真。いつもこっちは空いている。

外で待っているのもあれなので、建物の中に入り、内藤礼展の入り口の前の椅子に座って待つ事にした。リーダーが送ってくれたレストラン情報や、内藤礼展の展示案内のサイトを見ていた。

第一会場に入場

内藤礼展は、エルメス財団と共同で企画されたものだそうだ。今回は東博の収蔵品や建築空間と、内藤礼との出会いから始まった企画だそう。1万年前の縄文時代に作られた土製品に「人間のこころ」を見出した内藤さん。彼女はそこに「生の内と外を貫く慈悲」を感じたとか。

3人が9:45に集合した。この特別展にはさほど多くの人が入って行くわけではない。ポツポツと入って行く感じだった。女性が圧倒的に多く、日本人が多い。私は内藤礼を今まで知らなかったが、リーダーのお気に入りの作家さんだそう。広島出身で、今は東京を拠点に活動しているアーティストだ。

さて、チケットを提示する時が来た。私よりも先にリーダーがデジタルチケットを提示した。それを見ていたら、スクショではダメな事を知った。既出のチケット写真をもう一度見て欲しい。下の方に「スタッフ操作画面」という所があって、ちょっと端がめくれているような絵になっているだろう。スタッフはタッチペンのようなものでその部分をタッチ、いやスワイプだったか。とにかく何かをすると、やはり紙が剥がれるようにめくれたのだ。

こりゃいかん。スクショ画面ではなくオンラインのチケットを表示せねば。しかーし!なんとアンテナが1本。1本しか立っていない。電波が非常に弱い。なかなかページが開けない。先にもう一人の紙のチケットの手続きをしてもらい、急げ、急げとスマホを励まし、ちょっとスマホを高く掲げてみたりして、やっとチケットが表示された。

それを出すと、その紙がめくれるような表示があり、そこにスタンプが押された。本当のハンコウみたいなのを置いてスマホにスタンプを押すというのは、東京ハーフマラソンのランナー受付でやった事があったが、それとは少し違った方法でスタンプを押す事が出来るようだ。

ハイテクだなーと思っていたら、紙にスタンプを押したものを渡された。

第二会場に入る時にはこっちのチケットが必要だと言う。えー、結局アナログなのー?

第一会場の展示

展示室は薄暗かった。そう、入る時に「手荷物は前に抱えるようにして持ってください」と言われたのだった。なかなかずっとは守れなかったのだけれど。

それから、作品にはお手を触れないように、とも言われた。当然だと思って特に気に留めなかったのだが、入ってすぐ、それは重要な注意事項だったことを知った。

まず、ガラスケースの中が少し明るいので、それを見ようと思って近づいた。しかし、

「頭、危ない」

と言われた。ん?何で?

と思って見上げると、そこには透明な小さな玉がぶら下がっていた。と、思ったら、この細長い部屋の中には、無数の玉が天井からぶら下がっていた!びっくり。すぐ手に触れるような所にたくさんあるのだ。材質を確かめたいが、もちろん触ってはいけない。それに、見た目がとても繊細で、壊れそうでとても触れない。

無色透明な玉もあれば、ピンクや赤、オレンジの色の付いた玉もあった。前情報によると、内藤礼がカラフルな色を使うのは珍しいと言う。そして、玉だけでなく風船や、も少数だがぶら下がっていた。

細長くて薄暗い部屋には、細長いベンチと、ガラスケースの展示スペースがあった。ガラスケースの中は少し明るいのだが、中に入っている物は外にある物よりも少ない。土製品、白い球(野球ボールかと思ったが、大理石だそうだ)、鏡、白くて四角くて薄い板、そして「死者のための枕」。

「ちょっと、ここに小さい玉がない?」

と、メンバー。野球ボールのような白い玉のすぐ近くに、ものすごく小さい透明な玉があった。気づかないところだった。

というか、玉は2つあった。両方とも、近くに小さい玉もあった。ガラスケースに向かって右側の壁のところに窓(塞がっているが)があり、その横に鈴がぶら下がっていたが、ガラスケースに向かって左側の壁のところにも同じように窓と鈴があった。あれ?あれあれ?これってもしかして……

「この2つ並んだ風船を中心に、左右対称になってるんじゃない?」

そうだ、絶対そうだ!ただ、土製品は1つしかなく、その対称となる場所には死者のための枕があった。その枕というのは、とても小さくて、薄い白い布か何かで作られていて、とても繊細だった。

それと、ガラスケースの外側に立ててある木の枝も気になる。それから、ベンチも作品だそうで、座って良いと書いてあったので座ってみた。すごくすべすべで、ちょっと粉を吹いているような感じ。あ、ズボン白くなっているかな?

そういえば、普通あるような作品名がどこにも貼ってはいない。図録というか目録?をもらって入ったのだが、そこには作品の番号と、その素材や大きさが書いてあった。必ずしも番号順に並んでいるのでもなさそうで、大きさや素材から、これがこれじゃないか、と推測しながら見ていった。題名があれば少しは作者の意図も汲み取れるが、無題が多い。題名といえば「世界に秘密を送り返す」という題の作品もあって、これは材質が鏡だった。鏡はガラスケースの上の方に張り付いていて、中と外に背中合わせにくっつけてあるように見えた。中の事は分からないのだが。

「全部観たかな。見逃している物はないかな」

よくよく確認して、ここを後にした。ふぃー、なんか難しいというか、絵画を見るのとはまた全然違ったアート展だぞ。でも、宝探しのようで面白い。

第二会場へ向かう

奥が深いというか、一つのあまり広くない部屋だけで、第一会場が終わりだった。ガラスケースの中が「死」で、外が「生」なのだろうか。死者のための枕が中にあったから、多分そうなのだろう。

さて、第二会場は本館にあるそうだ。平成館から本館へは通路で繋がっている。一人、集合時に本館の中から来たそうで、来た道を戻ってもらった。すると、途中でミュージアムショップを通過。な、ナニコレ!埴輪のぬいぐるみ、かわいい!手触りがいい!欲しい!

と、埴輪だけではない。アート関連の書籍も多数あり、日本の代表的な芸術品をモチーフにしたファイルやメモパッドの類、それからお菓子。缶に見返り美人などの絵画が描いてある。しかし、クリアファイルも安い。ゴーフレットなんて440円だっけな。普通に買っても500円くらいしそうだし、この装飾だったら800円はしても良さそうなのに。これは絶対税金使われてるよね、と言い合った。もっと高くていいのにーと。ここには外国人のお客さんがたくさんいた。自分が外国から来たら爆買いしちゃう、とも言い合った。確かに。

本館入り口の前にバーンと特別展の幕が張ってあった。でも、特別展はあまり人気がない。外国人観光客にとっては、やはり常設展だろう。我々がイギリスに行ったら大英博物館、フランスに行ったらルーブル美術館には必ず行くのと同様に、日本に来たら東京国立博物館に行くよね、とも話し合った。

で、この垂れ幕の前で写真を撮ってもらおうという事に。

美術館では、スタッフさんは写真を撮ってくれない事が多い。だから、誰かお客さんに撮ってもらいたい。が、本当に外国人ばかり。で、結局近くに立っていた恐らく中国人と思われる男性にお願いしてしまう我々。言葉が通じなくても、傍に立っているものは誰でも使ってしまう我ら。

ちゃんと撮ってもらえた。サンキューとお礼を言った。後で写真を見たら、服の肩はずり落ち、目は半開きであまり、いや全然よく写っていなかったのだけれど、それはかの男性のせいではない。

さて、この階段の左側の方から第二会場へ入った。けっこう分かりにくい。入る時には先ほどの紙のチケットを出し、スタンプを押してもらった。今日の日付のスタンプね。

第二会場の展示

第二会場は広かった。入った途端に土の匂いがした。かなり古い建物なのだと思わせる。ここは、普段ならもっと仕切りを置いてたくさんの作品を展示するそうだが、今回は仕切りを全てとっぱらい、広々とした空間に小さい物が点々と置いてある。ここもやはり、作品に番号や題名は付いていない。

窓がたくさんあって、天井が高く、明るいと言えば明るい。先ほどの薄暗い第一会場では、天井からぶら下がっている玉がどのように設置してあるのか分からなかったが、ここにも玉がぶら下がっていて、明るいのでどこからぶら下がっているのかが分かった。

まず、壁にはA4くらいの白い紙か布がたくさん貼られており、教室の教壇のような感じで部屋の前には「」という木の台が置かれていた。中央にはガラスケースがいくつかあり、棒が一本立っている。さてさて、どれから見ていこうか。

それにしても、この図録を見て欲しい。ほとんどが無題だ。

この辺は、壁に貼ってある紙だ。いや、キャンバスかな。それさえも書いていない。作成年が2023年だとか2024年だという事しか分からない。あとは大きさと。ここにはアクリル絵の具と書いてあるのだが、とてもそうとは思えない。水彩絵の具を薄ーく水で溶いたような感じで、色々な色がつけてある。その連作のようだ。しかも、これらは銀座のエルメスギャラリーの展示と続いているのだとか。

それにしても、気になるのがガラスケースだ。いくつかあるが、例えば猿形土製器が入っている物を見てみよう。この猿形は、まあ猿なのか犬なのかよく分からない感じではあったが、埼玉県で出土した縄文時代のものだそうだ。白いほわほわした布の上に置かれている。ガラスケースの上には、小さいキャンバスや木、毛糸を1センチくらいに切ったもの、小さい白い大理石に、なんと上野公園の石国立博物館庭園の石と木の枝が置かれているのだ。信じられるか?キャンバスには緑色や青色などの絵具で線が描いてある。それらの並べ方に意味があるのか、ないのか。そうか、ガラスの中は死で、外は生……。

足形というのもある。足形付土製器という、新潟県で出土した縄文時代の物がガラスケースの中に入っていた。やはり白いほわほわな感じの布の上に置かれている。これは、子供の足形だそうだ。おそらく、母親が幼くして亡くなった子の足形を残したのだろうと言われている、らしい。そしてやはり、ガラスケースの上には、今度は第一会場にあった野球ボールのような白い大理石と、ガラス瓶に入ったたくさんのビーズ。やっぱり上野の石や毛糸。なんだろう。この、他とは違う理由は。そして、ガラスケースの大きさも、それぞれ違うのだ。

他にも猪とか、鹿の骨とかが入ったガラスケースもあった。ああそうだ。第二会場にしかなかった「まぶた」という作品もあった。数や大きさから、それぞれのガラスケースの外側にぶらさがっている、銀色の紙がそれだと分かった。糸でぶら下げてあり、風でパタパタする。それがまぶたか。

まぶたと言えば、入り口から見て正面奥の壁に、細長い銀色の紙が横長に貼ってあった。左右対称に。それも、作品群の中から素材と大きさで、「まぶた」だと分かった。えー、これもまぶたで、小さく切ったものもまぶた?

それから、玉がたくさんぶら下がっているのだが、鈴が1つあるはずだった。図録からすると。3人で探した。目の悪い私が探せるのか、と思ったが、やはり他のメンバーが見つけてくれた。でも、言われれば分かった。他は透明だが、鈴は銀色だから。鈴は前の方の真ん中にあった。そこから奥を見たら、細長く貼ってある「まぶが」が二つの目のようだった。「杖」という棒が一本真ん中にあり、これが鼻とも言えるか?

それから、教壇のような台に乗っていたガラスケースは、中にあるものが絵具のしみ込んだ複数のキャンバスで、他のはキャンバスはガラスケースの上にあったのに、これだけなぜ中に?と思った。これはほわほわの布も敷いていなくて、そしてガラスケースの側面に丸い穴が開けてあった。向かい合う側面2か所に。つまり、これは中と外が繋がっているという事なのか?

とんの毛」という作品もあった。これだと分かったのは、ガラスケースの大きさを見て。けっこう探した。一体これは何だ、と不思議なタイトルだったから。とんの毛は、ガラスケースの中にオレンジ色の毛の玉が入っていた。作品の目録に2024(2001~2021)と書いてあり、材質は「」と書いてあるので、恐らく飼い猫が3年前に亡くなって、その猫の毛を丸めたものがこのオレンジボールだろうと思った。ああ、これもガラスケースの中が「死」か。外のキャンバスや毛糸は、「とん」の暮らしていた世界を表しているのだろうか。

ということは、一番大きいケースは猪形土製器が入っているものだから……いや、鹿の骨より猪の方が大きい理由は思い当たらない。やっぱり分からない。

ざっと、こんな感じだ。ここまででお気づきだろうが、写真撮影はNGだったのだ。だが、この第二会場の様子は以下のサイトで写真が見られるので、気になるようならどうぞ。

「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」(東京国立博物館)レポート。縄文の土製品や作品から発せられる生の呼びかけ|Tokyo Art Beat

第三会場

第三会場は、誰でも通れる(チケットが無くても見られる)本館1階ラウンジだった。どうやって行くのかと、本館の見取り図を見たら、その横に立っていたボランティアの男性が教えてくれた。

「まっすぐ行く道はなくて、展示室をぐるっと回らないといけないんです」

と、見取り図上で道順を示してくれた。なるほどねー。で、早速展示室の中に入って行くと……

まあ、立派。仏像がたくさん。そして外国人で混み合っている。ここは写真OKのものとNGの物が混在していた。外国人に一番人気だったのがこれ。

なぜ人気なのかな?展示室の正面奥にあったから、何となく?

色んなものを見て、ついあれこれ気が行って、ようやくラウンジにたどり着いた。そこには、なんと人が大勢通る廊下のようなところの床に、木の板と水の入った瓶が!

少々年の行った女性が警備員として横に立っていた。我々は床にしゃがんだり、手をついて下から作品を観上げようとしたりして、じっくり見た。今まで「座」という題の板には座ってよかったから、うっかりこの板も触ってしまったら、

「お手を触れないでください」

と、女性の警備員さんに言われてしまった。そりゃそうだ、これを揺らしたら大変。

板の上にはガラス瓶が2つ、ガラス瓶の上にガラス瓶が乗っかっている状態で置かれていた。下の瓶は空っぽで、蓋がある瓶のようだが蓋を取り払い、さかさまに置いてある。その上に乗っかっている瓶には、水が入っていた。それも表面張力で盛り上がるほどに並々と。なんか、この瓶を通して窓の外を見ると云々と例のサイトに書いてあったのだが、リーダーが懸命に紙を床に敷いてそこに手をつき、頑張って外を見ていたが、普通にしゃがんだくらいでは、瓶を通して窓の外など見えようもない。せめて台をもう少し高くしてくれれば良かったのに。

他にも、例の「世界に秘密を送り返す」という題のがあるらしく、探したらあった。小さかった。第一会場の「窓」にもあったが、直径1センチの丸い鏡だった。

窓の外は綺麗で、しかも昔の日本の家と案山子のような物があって、興味津々。写真を撮ったが……あれ、これ前にもここから写真を撮ったような気がするぞ…デジャブ?いや、きっと撮ったのだろう。

たくさんの人が通るし、警備員さんは外国人に何か聞かれているし、ヒヤヒヤ。これ、作品を守るの大変じゃないか?

と、そこで私は終わった内藤礼展の図録をしまおうと、中表に折り返していたのを戻した。で、あるものを発見して驚愕した。

「こ、これ!」

それは、裏表紙に載っていたこの図。

番号が書いてあるじゃん!うっそー、あんなに時間をかけてサイズや材質だけで探したのに!

「でも、宝探しみたいで楽しかったよね」

うん、確かに!

さて、内藤礼展はここまで。この後は食事と常設展とおみやげの話。お時間ある方は是非お付き合いを。

ランチとお土産

12:20くらいになっていた。ということは、2時間半くらいかかったという事だ。途中常設展も見たけれど。ああ、ショップもか。

外は暑いし、あまり歩かなくていいようにと、東博内のレストランに行った。すると並んでいる。機械で番号札を出して待つシステムらしい。20分待ちとある。それくらいならと、番号札を受け取り、待つ間にショップへ行く事にした。

始め、埴輪のぬいぐるみが欲しいと思ったが、手触りは最高だが顔があまり可愛くない。やっぱり辞めた。

先ほどの常設展を回っている時に

「私、蒔絵が好きなんだ~」

と話していたが、その割に展示してある物はあまり好みではなかった。あれ、私は蒔絵が好きだったはずなのに、と思ったのだが、図らずもこのショップで私の好きな蒔絵を見つけてしまったのだ。

それは、尾形光琳作の「八橋蒔絵螺鈿硯箱」を模したクッキー缶だ。中のクッキーも私好みのやつだ。たかがクッキー缶だが、このクオリティーがすごい。まるで本物の蒔絵のようにでこぼこしているように見える。ちなみに螺鈿は「らでん」と読むらしい。

缶なんてもういらないでしょ、と心の声が言う。他にも長谷川等伯の絵のクリアファイルとか、北斎の赤富士のメモパッドとか、欲しい物はいくつもあった。だが、どうしてもこっちの蒔絵に惹かれる。あまりこういうのは他で見ないし。

買おうかと考えると、さっきまでは「安すぎる!」なんて言っていたのに、急に高いように思えてくる。これは千円する。いやー、どうだろう。妥当な値段のようにも思えるが。

で、結局買った。ペイペイを使おうとして、やっぱり電波が弱くて「インターネットにつなげずに買う方法は」みたいな字が出ている。それならカードにしょう。お財布を取り出して、クレジットカードで払った。どうして私だけ電波が弱いのだろうか。ソフトバンクが弱いのか?それとも、スマホが古いから?早く5G対応の機種を買わないといけないの?そうだよな。

さて、もう20分を過ぎていた。そろそろ12:50になろうとしている。だが、なんだかんだ20分後に行ってもまだまだ待たされるだろうと皆思っていた。ところが、レストランに戻ると既に呼ばれていた。呼ばれた番号はホワイトボードに書いてあった。番号を告げると、少ししてから呼ばれた。

席はたくさんあって、奥の方へ通された。私の好きな「あんかけ焼きそば」を注文した。

けど……味が弱い。この間、冷凍食品の中華丼の具を食べた時にも同じことを思った。どうした?私は昔好きだった味が、最近好きではなくなってしまったのか?それとも、これやあれが美味しくないだけなのか。長崎ちゃんぽんも、初めて長崎で食べた時にはめっちゃ美味しいと思ったのに、数年後にまた食べたら、そうでもなくて。物足りないというか。健康志向で塩分が弱いのか、それとも塩味以外の問題なのか。

とはいえ、お腹いっぱいになった。食べたかったものを食べられてそれなりに満足である。

常設展

あの立派な階段を上って、初心者に良いという年代順に並んだ常設展を観に行こうという事になった。

階段を上ったら、案外疲れた。暑いからか、この階段の幅が狭い為に段数が多いからなのか。

兜とか、刀剣とか、浮世絵とか。色々見た。浮世絵は、30年前に観に来た時には数が少なくて、しかも状態が悪い物しかなかった。色あせた浮世絵が5~6点しかなかったような気が。良い物は全部ボストン美術館にあると言われている。江戸末期から明治初期、日本ではありふれたものだったが、価値を見出したアメリカ人が皆買って行ってしまったからだとか。後から惜しいと思っても後の祭り。でも、この30年の間に、買い戻したのかな?

ぐるっと一回りして、最後に「根付 高円宮コレクション」を見た。この部屋は何故か暑い。

外国人の作品が多かった。このウサギが一番可愛い。

だって、見てこれ!散髪してるんでしょ?

ハサミを持っているの、分かるかな?

リーダーはここでお別れ。あとの二人で埴輪や土器を見てから帰る事に。昔はここら辺退屈だと思ったものだが、興味のある人と一緒に見ると、見方が違って面白い。今まで興味のなかったものも、アート部の活動のお陰で興味を持ったものがたくさんある。

そうそう、これは気に入ったのだ。

根付の直後、リーダーが一緒だった時に見たものだが、九州地方特有の「石人」だ。古墳時代のもの。埴輪や土偶ではなく、石人。出土した場所は九州北西部に固まっている。顔を見た瞬間にビビッと来たんだよね。腰に何か着いているのも気になる。剣かな?

さて、外に出たら案外どんより。あれ、遠雷か?うん、洗濯物を部屋干ししてきたのは正解だったな。雨も降りだした。結局少ししたら止んでしまったし、大した雨ではなかったが。一緒にいたメンバーは洗濯物を外に干してあるそうで、テスト期間中で家にいるお子さんに慌てて電話をかけていたが、出ないという事だった。大丈夫だったかな?

↑東博本館の裏側。いや、側面か。なかなかカッコいい。しかし雲行きが怪しい。

無事、家に着き、早速お土産を開けよう。まずは東博のシールから。

ほら、このクオリティー!

中は……

そして、本物の写真はこちら。

硯箱か。なんか帯みたいなのはなんだろうね。

以上、内藤礼展のレポであった。それでは皆さま、また会う日まで!