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【読書感想文】宮部みゆき「誰か」を読んで

好きな作家として宮部みゆきを挙げていた人を何人か見た。気になる。というわけで、宮部みゆきの「誰か Somebody」を買ってみた。

あらすじ

大企業の会長の娘婿である主人公の杉村は、広報室勤務である。義父(会長)の私的運転手だった梶田という男性が自転車にはねられて死亡した。犯人は見つかっていない。誰が梶田をはねたのか、どうして梶田はその場所にいたのか。梶田の娘たちが、犯人の情報を得るために本を出したいと言い、そのサポート役に抜擢された杉村は、色々と調べ始める。登場人物はそう多くはないが、謎が謎を呼び、意外な展開に。

出だしの衝撃

名前だけは知っていた宮部みゆき先生。どんな文章を書くのだろう。わくわくしながら読み始めた。

最初の一文を読み、いきなり衝撃を受けた。こ、これは・・・純文学だ!

美しい情景描写。しかし、その次の文章を読んでも、どうも内容が頭に入って来ない。これは本当にミステリー小説なのか?

しかし、その衝撃はすぐに消えた。全編純文学風ではなかった。文章は読みやすく、展開はそれほど速くない。そうなのだ、宮部みゆきは直木賞作家だ。エンターテインメント性の高い文章を書く人だ。

その証拠に、2ページ目の真ん中で、ちょっと噴き出した。なんだ、面白いじゃないか。

登場人物のキャラクター

主人公の杉村は、お金持ちの娘に婿入りし、立場が弱い。性格もほんわか。自己主張も強くない。だが、そんな彼は自ら動き、調べ、発見し、事件の真相にたどり着く。普通の読者が感情移入しやすい人物だ。

梶田の娘は二人いるが、この二人は特徴的だ。二人が対照的で、それは過去の様々な出来事に起因しているようだ。それは幾重にも謎が絡み、徐々に明らかになっていくのだが。

杉村の奥さんも魅力的である。ミステリーの筋書きとはあまり関係ないのだが、奥さんとの馴れ初めも書かれている。これがけっこう良かった。もっと二人のストーリーを読みたいくらいだった。

ラストの気づき

終盤になり、杉村がすべての謎を解く瞬間がある。そこからは、読者が一気に読み進めてしまう、いや、読み進めずにはいられない展開に。いきなりのその瞬間に、あれ、前にそんな事言ってたよな・・・と思って遡ろうとしても見つけられなかった。あまり間を開けずに、一気に読めたらもっと良かったのだが。

杉村がある事に気づく瞬間がある。ネタバレにならないように書くので、少しわかりにくいかもしれないがご容赦を。その瞬間だが、もしこれがドラマ化されたら、視聴者も気づいてしまうのではないか。でも、本の読者には気づくことができない。これは、ドラマ化を意識して考えたネタなのか、それともドラマ化する事は想定せずに書かれているのか。そこを知りたいものだ。本を読んだ後でドラマ化されたものを見たならば・・・面白いな。見てみたいものだ。でも、やっぱりドラマだと簡単すぎるかな?

あんまり怖くないミステリーを読みたいという方に、ぜひお勧めの本である。宮部みゆきの作品を、もっと読んでみたいと思った。

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