重い決断だった。我が家の財政出動。私の趣味、いわば推し活のようなものに大金を使うのは。
天然パーマが更に傷んだ
まずは次男の話をしよう。
次男は天然パーマである。かなりひどい。小学生まではそんなでもなかったのだが、中学生になってからはひどくなった。ほぼ短髪にしていたので、校則云々は問題なかったが、ちょっと伸ばすとひどくて、寝癖を直さずにいるとまるで「さとしがピカチューに10万ボルトをくらったような頭」になっていた。
高校生になって、色気づいた(年寄りが使う言葉?)彼は、おしゃれな美容院に通い始め、そこで勧められてヘアアイロンを購入。(あ、これは親がお金を出したのだった。私も使うかなと思ったが、あれは熱くて好きじゃない。よって、次男の私物と化しているのだった。)毎日ヘアアイロンで髪を伸ばして学校へ行く。
だが、いくつか問題があった。
まず、雨に濡れたり、汗をたくさんかいたりすると、また髪がうねり出す。雨の時は特にひどい。やはり10万ボルトをくらって帰ってくる。
一番問題なのが、ヘアアイロンをしすぎて髪が恐ろしく傷んでいるという事だ。まっすぐ伸ばしてある状態だとそれほど問題なさそうに見えるが、洗った直後などに見ると、クルクルというよりもチリチリ。その状態では、ヘアオイルをつけようが、ディップをつけようが、どうにもならないのだ。
髪が傷んでいると、だいぶ老けて見える。ちょっとイケメンには見えないぞ。
よく義母が、
「ストレートパーマかければ?」
と言う。縮毛矯正をかければ、多分まっすぐになるだろうが、値段が張る。それに、私の経験から言うと、縮毛矯正は髪が傷む。枝毛が増える。
とはいえ、枝毛どころではなく、恐ろしく傷んでしまった次男の髪は、むしろ一度縮毛矯正をかけて、ヘアアイロンをしないで済む方が、髪にとって良いのではないかと思っていた。だから私も、
「縮毛矯正、かければ?」
と言った事もあったが、次男が何となく拒んでいたのだった。それが、昨日急に、
「テスト終わったら、縮毛矯正かけようと思うんだけど・・・」
と言ってきた。遠慮がちに。私が賛成すると、
「でも、高いよ?」
と言ってくる。
「そうなの?2万円くらい?」
と言うと、
「いや、もっと安いよ。最高で9000円くらい」
だと言う。私がかつてかけたのは2万円だったけど、最近は半額くらいになったようだ。
と言うわけで、どのコースになるか分からないが、最高で9000円くらい出してやって、次男が明日、縮毛矯正をかけてくる事が決まったのだった。
白髪交じりの黒髪に金髪が混ざっている
それを決めたのが昨日。そして、その後に私は一人考えていた。長男の髪のことを。
長男は来月、成人式を迎える。中学時代の友達が集まって、同窓会をするそうだ。
長男は今年の春、髪を金髪にした。いや、最初はグレーにしたが、すぐに金髪になってしまったのだ。だが、その金髪が似合っていた。本人も気に入っていた。
それまで、どちらかと言うと地味だったうちの長男が、少し派手になった。むしろ丁度良くなった。元々白髪が多く、普通の髪型をしていると老けて見える。その彼が、バイトをしてお金に余裕が出来たので、やはりおしゃれな美容院に行き、ブリーチ?をしてきたのだ。
彼はアニメ好きなので、私から見るとK-POPアイドルのようだと思うグレーの髪も、彼としてはアニメキャラのようにしたかったのだと思う。
しかし、ブリーチをしたのは一度だけ。その後2回くらいただ切ったので、今は黒髪に金髪が混ざっている状態だ。最初は白っぽい金髪だったのが、今の毛先はだいぶ黄色っぽい金髪だ。
だが、元々少し天パーで、緩やかにウエーブしていて、そこに金髪が混ざっているのはなかなか良い。しかし、やはり白髪が多く、黒い部分に白い髪が目立つ。遠目で見ればおしゃれだが、近くから見ると多少残念なのだ。清潔感に欠けるというか。
金髪にしない理由
長男が再度金髪にしない理由は二つある。
一つは、ぼちぼち企業のインターンを始めるかもしれない事。それに、大学3年になれば就職活動も始まるのだろう。その時に黒髪に戻っているように、今は染め直さず、徐々に金髪部分を切って行っているというわけだ。
もう一つは、お金が無い事。昨年度していたバイトは辞めてしまい、この間まではパソコンの修理やら改造をして売っていた。それで最初は儲けたようだが、キャンセルをくらって赤字が出て、今親に借金をしている状態なのだ。その借金は出世払いでもいいかな、と思っているが、そんな事もあって懲りてしまい、今はあまりパソコン修理などもしていないようだ。
と言うわけで、金髪にしたいとは思っているが、していない状態だった。そんな中、お正月と成人式が迫って来る。
推しのスマイル=散財の予感
話を戻そう。次男に縮毛矯正の為のお金を出してやると約束したので、それなら長男の為に金髪にするお金も出してやったらどうか、と私は夕べ思いついた。
お金の問題の前に、インターンやら就活やらの問題が残っているが、そこも実は金で解決出来る気がした。そう、私は思いついたのだ。金髪にして、やばい時には黒く染めればいいじゃないかと。
せっかくの成人式だ。一度しかない成人式。その時に自分の一番気に入った姿になるべきではないのか。私は実は、自分の成人式は後悔している。大学浪人したせいもあるが、髪型に問題も。美容院代をケチろうとした為に起こった悲劇でもあった。なので、自分の子には後悔して欲しくない。
息子には、特に写真屋で写真を撮る予定はないし、スーツ一式は義母に買ってもらったし、成人のお祝いだと思えば、お金を出してやってもいいのでは。そして、金髪の息子がいると、まるでアイドルが家に居るかのようで私のテンションが上がる。今後社会人になったら多分金髪ではいられないだろうから、今しか無いではないか。つまり、これは推し活に使う費用だと思ってもいいのではないか。
というわけで、今朝、大学へ行く前の長男にその話をした。
「お金出してあげるからさ、また金髪にしなよ」
と私が言うと、え?という風に立ち止まる長男。
「それで、金髪じゃまずい時は黒く染めればいいじゃん」
すると、
「そうだよね・・・」
考え中。
「お金出してあげるから」
もう一声。
「一度しかない成人式だしさ、一番気に入った髪型で行くべきだよ」
長男は、やっと決心したようだ。素より、お金を出してもらえるならば、異論は無いはずだ。
「そうだね。実はさ、メッシュにしてみたいんだよね」
と言うから、
「いいんじゃない?せっかくだから、やりたい様にやりなよ」
と言うと、珍しくニヤリと笑う長男。黒いマスク越しだったけれど。そして、
「じゃ、行ってきます」
と言って大学へ出かけていった。そして、ハタと気づく私。
「あ、メッシュって、ただブリーチするよりもっと高いんだった・・・」
推しのスマイルは、散財を促す。
我が家の財政出動は、子供達の幸せの為であるように見え、実は財布を握る私の自己満足、欲求を満たす為の推し活費だった・・・?
いやはや、早く息子達のおしゃれな髪型を見てみたいものだ。ウハハハハ。