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梨泰院事故は特別じゃない。日常に潜む群衆雪崩の危険!

韓国ソウルの梨泰院で、人が折り重なって150人もの人が亡くなる事故があった。

近くで歌手のイベントが終了したばかりだったとか、居酒屋に有名人がいたなどという情報も飛び交うが、真偽の程は確かではない。

最新のニュース映像などを見る限り、何か特別な事があって人が押しかけたのではなく、ハロウィンを楽しむ為に多くの人が明確な目的などなく現場を訪れ、交通整理が行われずに事故に至ったと思われる。

久しぶりのコロナ制限のないハロウィンだったとか、映画の影響で世界的に有名になった場所だったとかで、10万人もの人が梨泰院に詰めかけたという。実際、事故が起きた坂道だけでなく、メインストリートの方も一歩間違えれば同じように死亡事故になっていた可能性がある。そう、その一歩が起きていないだけで、日常的にたくさんの危険な群衆の過密が起きているのだ。

駅での危険な群衆

「混雑」のせいでまさか死ぬとは誰も思っていない。

例えば満員電車。かなりぎゅうぎゅうに押されながら通勤していても、それで死ぬかもしれないとは誰も思っていないだろう。

私はかつて、非常に危険を感じた事があった。

私は会社員時代、毎日遅刻ギリギリの人だったので、電車に乗る際には、乗り換えのしやすい車両に乗っていた。いや、そんな生やさしいものではない。乗り換えの階段に一番近い扉のところに乗り、しかも一番最初に降りられるように、一番最後に乗るようにしていた。

乗り換えの駅に着くと、一番に電車から飛び出し、すぐ前の階段を駆け下り、次の電車に飛び乗る。それを毎日繰り返していた。

同じ事を考える人もいるわけで、乗り換えのしやすい車両は特に混んでいる。本当は、最後に乗ろうとしてもぎゅうぎゅうで乗れないものだが、私は片手で手すりを掴んで肘までねじ込み、閉まる扉を上手く使って、反動で乗り込んでいた。どんなに混んでいる電車でも、最後にちょろっと乗る自信があった。あまり自慢にもならないが、話のネタにはなった。

ある時、珍しく時間に余裕があった。10分くらい早く家を出られたので、いつもの混雑した車両ではなく、その隣かもう一つ隣くらいの車両に乗ることにした。それだけで混雑具合がだいぶ違う。

乗り換えの駅は上野駅だった。終点である。上野駅に着いて、電車を降りた。いつもは一番に電車を降りて階段を降りてしまうが、今日はホーム上にたくさんの人がいて、あっという間に階段渋滞が起きた。

階段の数メートル手前からほとんど動かなくなり、ジリジリとしか進まない。こんな状態で階段を降りられるのだろうか、と不安になった。

階段にさしかかると、どこかでおばさんが

「押さないで!」

と言っていたが、それ以外は声もなく。皆さん無言。下を見たくてもほとんど足下が見えない。もう、進むしかない。怖いけれど、すり足で階段を降りる。ペースを乱したら終わり。とにかく周りと同じペースで進むしかなかった。もし、ここにお年寄りでもいたら大変な事だなと思った。もし、誰かが転んだらどうなるのか。きっとみんなしてドミノ倒しになるに違いない。すごく怖かったのを覚えている。

結局、乗り換えに10分も掛かってしまった。いつもは1~2分で乗り換えているのに。せっかく早く出たのに、思いっきり損をした気分だった。ちょっと車両を変えただけでこんなことになるのか。これでは、30分は早く出ないと余裕を持てないなと思った。

上野駅の乗り換えは、恐らく毎日そんな感じだったのだろう。最近の事は分からないが、私が会社員時代には日常だったに違いない。

他にも、花火大会やお祭り、初詣など、参道などで人がぎゅうぎゅう詰めになる事はよくある。

もう一つ記憶がある。お祭りの時、一番混む時間帯にうっかり参道にいた。その時に弟だったか息子だったか記憶が曖昧なのだが、まだ背の低い子供を連れて歩いていた。思った以上にぎゅうぎゅうで、背の低い子は周りが全く見えないし、しかも石ころが転がっている参道では、子供はよく転ぶのだ。ここで転んだら大変な事になると思った私は、つないでいた手で思いっきり引っ張り上げて、すぐに立たせた。すごく怖かった。それも、何度も子供は転ぶから。

一度そういう所に入ってしまうと、出たくてもすぐには出られないものだ。ましてや引き返す事は全く出来ない。ただ、流れに乗って前へ進むしかないのだ。

ぎゅうぎゅうが過ぎると、足が離れて浮いたり、下に押しつぶされると言う。私もぎゅうぎゅうの埼京線で、よく足が浮いた事があった。立たなくてもいいので、眠ってしまいそうになる。それで、電車が止まる時には誰かが倒れそうになり、かなりの距離をおとととっと移動してしまう事もある。ただ、電車内は一部がぎゅうぎゅうでも、車体全体からするとまだまだ空間があり、激しく揺れた後はぎゅうぎゅうが解消されたりする。たまに転んでしまう人もいるが、それでドミノ倒しになる事はなかった。

だが、おとといの梨泰院では、一人が倒れたらそこへ他の人も倒れ込み、次々に人が折り重なったと言う。群衆雪崩が起きていたというが、かつて日本でも花火大会後の歩道橋で同じ現象が起きたそうだ。

コロナ禍だったから

ここ最近は、コロナのせいで混雑するような行事は中止になったり、人数制限を設けたりして、世界中の「混雑」が減っていただろう。大勢が詰めかける事に警戒していた。

警戒していたのはコロナの感染だったのだが、この先も、群衆雪崩を防ぐために、続けた方が良い事もあるのではないだろうか。

つまり、人との距離を取るという事だ。2メートルとは言わないが、知らない人と体が接触するような事は、しないように心がけるべきではないだろうか。ごちゃっと混んでいて、ここに自分が入って行ったら体が接触すると思ったら、入って行かないという意識改革をすべきではないだろうか。

スポーツ観戦も

梨泰院の事故に関しては、交通整理などが行われていなかった事が問題だと言われている。確かに交通整理はあった方がよかっただろうが、いつどこに人が集まってしまうか、時には予測出来ない事もあるのではないだろうか。

そういえば、スポーツ観戦の後もぎゅうぎゅうだ。例えば国立競技場でサッカーを観戦した後、一斉に観客が出てくると、駅までの道が渋滞する。若い頃は、試合の最後の方で席を立ち、スタジアムの入り口の所で観ていて、試合が終わったらすぐに出てきたっけ。そうしないといつになっても駅にたどり着かないし、駅ではなかなか電車に乗れないし、家に帰り着くのがすごく遅くなってしまうのだ。

大人になってから、小6の子供達を引率した事がある。国立競技場でゼロックススーパーカップを観て、帰りにその渋滞にはまり、子供達を見失って大変だった。駅で何とか全員合流出来たものの、電車は2台くらい見送る羽目に。でも、駅では駅員さんがホームへ降りる人数を制御していたりする。これも大勢が殺到したらかなり危ない。

時間差誘導

けっこう、全国あちこちで、群衆の大渋滞が起こっている。コロナ禍に減ったし、退場も時間差を作るようになったが、コロナが終息した後も、一度に人が詰めかける事のないように、時間差誘導は続けた方がいいだろう。

そして、私たち一人一人も、あまり人に近づき過ぎないように、常に意識するべきである。まさか混雑で人が死ぬとは皆思っていない。けれども、実際にはあり得るし、いつもけっこう紙一重だ。もしもうちょっと人が多かったら、もし誰かが転んだら、そんなちょっとした事で死亡事故になってしまうかもしれない。