昨日、私が右手の親指が痛いと言っていたら、
「俺が夕飯作るよ」
と、言ってくれた長男。ちなみに、長男は19歳の大学生である。夕方5時頃、
「何作る?」
と聞いたら、いろいろ悩んでいる様子。なので、
「天ぷらはどう?ナスがたくさんあるし、万願寺唐辛子もあるし」
・・・それに、コツのいらない天ぷら粉(夫が買ってきた)は、アンタが使わないと一生使われないままだしな。と、心の中でつぶやく。私は天ぷらを揚げないので。
「そうだね、天ぷらにしよう」
と言ってくれた。以前、私がオリンピックのボランティア活動でいなかった時に、長男が自分と弟の分の天ぷらを揚げた事があって、今度は私がいる時に揚げて欲しいな、と思ったのだった。ということで、やったー!なのだ。
独特な解凍方法
鶏天も揚げるということで、冷凍の鶏肉を解凍する事になった。しかし、昨日は涼しかったし、もう5時だと常温で置いても解凍出来ないだろう。
「電子レンジ使えば?」
と言ったら、
「CPUの熱で溶かそうかな」
とか言う。まだ夕飯の支度を始めるには早いのだが、長男はノートパソコンを持ってきて、パソコンの放つ熱で鶏肉を解凍するというのだ。
「でも、パソコンが濡れないように気をつけないと」
私はそう言ったが、釈迦に説法だったか?
台所にピアノの椅子を持ってきて、そこにパソコンを置き、見なかったけれどもアルミホイルと水切りマットを使って鶏肉を解凍したらしい。金属は熱伝導がいいからどうのこうの、と言っていた。パソコンで動画を見るつもりだったみたいだし、料理しながらも流していたみたいだし、それで実際鶏肉を使う時には解凍されていたようだから、一石二鳥だったようだ。さすが工学部。
何を盾にするんじゃ
6時頃から材料を切り始めた長男。
「エリンギ全部使っていい?」
「いいよ」
「長ネギ揚げてみようかな」
「え?タマネギじゃなくて?かき揚げにするとか?」
「いや、ぶつ切りで」
私はソファに座って動画を視聴し、その後は読書。どうも、私がいるのに料理をしてもらっていると、なんだか自分が病気のような気がしてくるから不思議だ。
「私は元気なんだから、積極的に手伝わないとね」
そう言って、あれこれやろうとすると、手が痛い。
「やめときなって」
笑いながら言ってくれるのはありがたいけれど。座って何かしていると、動けないような動きたくないような気持ちになるので、出来る事を探した。あまりない。とりあえず踊った。自分は元気なんだという事を思い出すために。
油で揚げる段になった。まずはエリンギを揚げ始めたようだが、
「ひゃー」
変な声が聞こえた。
「思わず裏声使っちゃったよ。これ、ヤバいわ。罰ゲームだ。ひゃー」
って、油で汚れないように片付けろと私が言って、片付けたばかりのまな板を盾にして、エリンギを油に投入していた。
しばらく大人しく揚げていた長男だが、またちょっとした悲鳴が。
「おっ!」
くらいの。その時は万願寺唐辛子を揚げていた。知らない人はシシトウのようなものだと思ってもらいたい。
「穴開けたんだけど、ちゃんと貫通してなかったかな」
油からは、パン!パン!と突沸音がする。怖い怖い。これだから、私は天ぷらを揚げるのを辞めたのだ。何しろ危ない。
父も喜ぶ
いろいろ揚がってきて、私はやる事を発見。お箸を並べ、お皿を出して、揚がった天ぷらを分けて盛り付けた。
「エリンギがちょっと余ってるんだけどさ、また揚げる気になれないんだよね」
長男が言う。私も昔、椎茸の天ぷらを揚げて懲りてしまった。とにかく中に含まれる水分がはねるのだ。
「残しておいてもいいよ。冷蔵庫に入れておいてくれれば、明日何かに使うから」
と言っておいたのだが、それを刻んで汁物に入れたというから感心。汁物は長男曰く「手抜き汁」だそうで、だしの素とみりんを入れるだけだそうだ。
出来あがった。ああそうだ、夫が夕飯がどうなるか分かったら教えてと言っていたっけ。ということで、写真を撮って送った。子供には鶏肉はこの2倍入れた。次男はキノコ嫌いなのでエリンギはなし。

お味は
さあ、実食。
ネギの天ぷらが旨い!サクサクだ。エリンギも美味しいが、長男が「マイタケほどじゃない」と言ったのは、確かにその通りかなと思った。そして、やっぱりナス!私はナスの天ぷらが大好き。塩でもつゆでも美味しい。あと、鶏肉もすごくジューシーで美味しかった。これは味が付けられていた。すごいじゃないか。
夫から返信が来た。すごく喜んでいる様子。
「おーーーーつまみーーー!」
私には伝わったぞ。夫も前回の長男の天ぷらは食べていないので、念願叶っての天ぷらだ。
そして、後片付けは次男がしてくれた。油の処理とか天ぷら粉の残骸とか、いろいろ大変だったと思うけれど、文句を言わずにやってくれた。まあ、夏休みで暇はあるしな。ちなみに、次男は16歳高校生である。
翌日、つまり今日。だいぶ指の方は良くなった。と思ったが、傘を差して長く歩いたら悪化した。残念。けれども、やっぱりもう頼めないな。今日はちゃんと私が料理も、洗い物もする。それが私の仕事だから。