3泊4日のサークルの合宿から土曜日に帰って来た次男。楽しかった?と聞いたら、とんでもなかったようで。
いつも合宿から帰って来ると熱を出したりコロナに感染したりしてきた次男。3回目の今年は、何と行った直後からお腹が痛くなり、吐きながら寝ていたそうなのだ。最終日にやっと参加出来たとか。
人とずっと一緒なのがしんどかったと言う次男。よくまあ、合宿中に復活したなと思う。
土曜日に帰ってきて、夕飯を食べて寝て、翌日の昼に起こしたら、用心しながらもお昼を食べていた。
ところが、夕飯時になっても食卓に来ない。どうしたのかと思ったら眠っていた。昼まで寝ていたのにまた眠っているとは、よっぽど疲れてるのだなと思った。
そして夜寝る頃になって、長男が保冷枕や体温計を取りに来た。次男が具合悪いらしいと。
またお熱か、と思って私も様子を見に行くと、トイレで盛大に吐いていた。聞けば、昼に食べたっきり何も食べていないのだとか。
ちょっと待て。昼を食べてから12時間近く経っているのに、そんなに大量に吐くって……胃にそんなに長く物があったらそりゃ辛いわな。
熱は37度ちょうど。とにかく吐いて楽になったようで、その後はまた眠ったようだった。
翌日の月曜日。朝は眠っていたので、昼頃また様子を見に行くと起きていた。ご飯食べるのは辞めておくと言って、スポーツドリンクを買って来て欲しいと言われた。すごく元気な感じだった。念のため食べない、という感じ。
スポーツドリンクを買って来て、それからゼリー飲料も渡し、それでまた寝ていたのだが……午後2時半頃、どこかでおじさんが痰でも絡んで咳払いをしているのかという音が聞こえてきた。それがだんだんひどく、大きくなり、オエ―、オエ―(に、濁点をつけたい感じ)と聞こえてくる。これはうちの次男に違いない。
様子を見に行くと、やはりトイレで吐いていた。話しかけてもしばらくはしゃべれない様子。だが、少しして落ち着くと、
「いい時に来たね」
と言う。聞こえたんだってば。すごい音だったよ。
もう、これは3か月くらい前に救急車を呼んだ時と同じ状況だった。腸が動いていない。だから、飲み物しか飲んでいなくても苦しくなって吐くしかないのだ。
背中は汗びっしょり。それなのに、水さえも飲めないなんて。ヤバい。
「どうする?病院行く?でもどうやって?やっぱり救急車かな」
そう言うと次男は、
「救急車だと入院になっちゃう。入院したくない」
と言う。私は先日、腸を動かすには?という検索をしたのだった。運動とか水分摂取とか、それからマッサージ、深呼吸とか色々出てきた。でもまあ、全て便秘の解消法という感じだったが。
動けないようだったらダメだと思ったが、何とか自分の布団まで戻って横になったので、そうっとお腹をさする事にした。のの字を書くように。
次男が腸閉塞を起こすのは、ストレスなどによって腸の動きが悪くなるからなのだ。だから、リラックスしたら動くのではないかと思った。お腹をさすってもらって、次男は気持ちよさそうにしている。リラックスできているみたいだ。
じっくりやってあげようと、スマホを持って来てSNSをチェックしたりしながら、片手で撫で続けた。30分さすった。
時々ゴロゴロというか、ポコポコというか、ギュルルルというか、腸が動いている音がした。普通の人のお腹からはそんな音は聞こえないので、動きが悪いのだろうが、全く動いていないわけではない事は確かだ。
その、音がする時にはお腹が痛いそうで、その時はさするよりも手を当てていてもらった方がいいと言われた。ただ手をお腹に当てている。それでも何もしないよりはだいぶ良いらしい。まさに「手当て」。
30分ほどして、洗濯物を取り込んだりしてくるからと言って、30分後にまた見に来るねと言って部屋を去った。30分後に見に来たら、すやすや眠っていた。
何度か見に行くと眠っている。次男が寝ている部屋にはクーラーが掛かっていて涼しいが、飲まず食わずでは心配だ。とにかく様子を見に行って、少しでも様子がおかしかったら救急車だなと思っていた。
夕飯の前にも見に行ったが、やはり眠っていた。少し見ていると歯ぎしりしていたので、大丈夫だ生きている、と安心した。
一人で夕飯を食べながらニュースを観ていたら、熱中症の話が出てきた。それで、やっぱり次男の事が心配になってくる。点滴を打ってもらった方が良かったのではないか、このままではいつの間にか死んでた、なんて事になりはしないか、と居ても立ってもいられなくなったり。
午後8時半頃見に行くと、次男は起きていた。また30分くらいお腹をさすってやった。少しおしゃべりも出来た。次男もしゃべっていたので、昼よりも回復している様子だった。
お風呂入ってちょっとしたら来るね、と言って私は次男の部屋を去った。しかし、なぜかあれこれやっていたら3時間くらい経ってしまった。普通、お風呂入ってちょっとしたらと言われたら、せいぜい1時間くらいだと思うよね。
行ったら、次男は眠ってはおらず、しかし手で私を制した。私は着替えをさっき持ってきたので、洗濯物を回収しようと思った。
「着替えは?」
と声を掛けたら、次男は足元の方を指で差した。そこに脱いだパジャマが置いてあった。なんか、さっきまでお腹さすって~と甘えていたのに、一体どうしたのか。そうか、すぐ来ると思ったのになかなか来なくて拗ねたのか。いや、分からんけど。
そして翌火曜日。入院した時も、入院した日を含めて3日くらいは辛そうで、ほとんど寝ていたものだが、その後徐々に元気になっていった。まだ3日目だ。まだ具合が悪くても仕方ない。
午前10時半頃様子を見に行くと、スポーツドリンクのペットボトルが2本ほぼ空になっていて、良かった飲めたんだなと思った。しかし、お腹が痛いという。またさすって欲しいというのでさすってやった。
熱は37.6度あった。ちょっとあるね。腸閉塞のせいなのか、風邪をひいて熱が出ているところへ腸閉塞も起こしたのか、よく分からない。
さすっていると、やはりギュルギュル、ポコポコ言う。スポーツドリンクは飲んだばっかりかと聞いたら、だいぶ前に飲んだという事だった。やっと腸が動いて胃からスポーツドリンクが腸へと移動している感じだろうか。
そこで、なぜか分からないが次男はまたスポーツドリンクを一口飲んだ。と、突然起き上がり、トイレに駆け込んだ。そしてやっぱり……。
今一口飲んだだけなのに、どうしてあんなに吐く物があるのか不思議だ。腸閉塞になる前は考えた事もなかったが、腸には唾液とか胃液などがどんどん流れていっているわけで、腸が止まったらそれらが胃に溜まってしまって苦しくなり、嘔吐する事になるのだそうだ。
どうしたものか、心配になったが、やはり入院はしたくないという次男。飲み物を、もっと点滴みたいにちょっとずつ飲んだ方がいいと言って、ペットボトルにつけるストローを用意する事にした。
次男は吐いたら落ち着いたようで、また眠ってしまった。
またちょくちょく様子を見に行って、生きている事を確認していた。だいぶ長く眠っていた。
夕飯の頃に見に行くと起きていて、やけにしっかりした声で、
「2回出たから、だいぶいい感じ」
と言った。出たというのは、つまり嘔吐ではなく排便という事だ。おぉ、腸が動いたじゃないか。
「調子がいい今の内に、ドリンクゼリー飲む」
と言うので、またゼリー飲料を届けた。峠を越えたかな?
そして4日目の水曜日。午前中も昼も、見に行くと次男は眠っていた。良く寝るなと思っていたが、最後は心配になって息をしているか確認しちゃったよ。体も触ってみたが少し暖かいくらいで、冷たくなかったからホッとした。
午後2時頃かな、さっき枕元のペットボトルがほぼ空になっていたので、買って来て枕元に置いたら次男が目を覚ました。
「お粥食べたい!」
と言われた。
夕べから覚悟はしていたんだ。夕べ、ご飯を全部食べてしまったけれど多かったので、少し取っておけばよかったと思っていた。米からお粥を作ると時間がかかるから。
しかし、せっかく食べたいと思ったのだから今作るぞ。12分待てと言って台所へ行き、パックご飯を温め、鍋にそのご飯と水を入れ、ぐつぐつ煮た。
目を放している隙に、いつの間にか盛大に吹きこぼれ、ガス台が白い海に。水分が減ってしまった。でもまあ、いい感じのお粥は出来た。
次男は、美味しいと言ったが、かなりちょっとずつ、ゆっくり食べていた。途中横になって休憩したり。半分弱くらい食べて、また後にすると言った。
病院にいると、最初は完全なる流動食で、それでも色々な物を食べさせてくれた。
そう、実は入院費、健保の制度と日頃入っている共済のおかげで、実質ゼロどころかプラスだった。夕べ夫が、
「入院した方がもうかるんでしょ?」
なんて冗談で言っていたけれど、確かにそう。しかも流動食とか作ってくれるしさあ。これから、もう一度離乳食をつくるのか?大変じゃないか。
とはいえ、歯があるから乳児とは違う。それに、スポーツドリンクという強い味方が。全ての栄養素を流動食で揃える事もあるまい。豆腐とかはそのまま食べてもいいみたいだし。
何とか山は越えた。すぐに元通りというわけにはいかないと思うが、入院だって一週間したのだ。一週間くらいは寝たり起きたりだろう。夏休みだったから良かったね。
というわけで、救急車を呼ばなかったお話である。だが、病院に行かない事を勧めているわけでは断じてない。できれば病院に行った方がいいだろう。ただ、2回も腸閉塞で入院し、だいたい分かっているという事と、本人が入院はしたくないと言うから、ギリギリまで我慢したのだ。そして、若いからこそできた事。高齢者や子供だったらもっと危険だ。飲み物さえ摂れない時は、点滴を打ってもらわないとヤバイ。
しっかし、ちょっと大変な事があったり、緊張したりしたからって、いちいち腸が動かなくなるのを何とかしなければなるまい。元気になったら毎日30分は運動をさせようと思う。運動は精神の安定にもとても効果があるらしいし。本人もそれには同意していた。絶対にやらせねば。