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巨大ファンダムが作り出す虚構

先日の動画配信

アイドルなど、人気者がライブ配信を行う事がある。生放送なので、何か問題があっても取り消せない。

先日、韓国のアイドルグループ「BTS」のメンバーが行ったライブ配信を観たのだが、その後に一人のメンバーの行動が物議を醸していたので、何が問題だったのかを探った。

「Vライブ」という動画配信ソフトでそのライブは行われた。1時間弱、7人メンバーの内の4人が出演していた。そのメンバーの名前はジン、ホソク、テヒョン、ジョングク。ソファに並んで座り、テーブルの上にはグラスに入った赤い飲み物と、ホットドッグ、ワッフルが置かれていた。その他にも、BTSグッズが置いてあったようだ。

最初は生放送なので字幕はなく、1日くらい経つと字幕が付く。私は字幕が付いてから観た。4人でわちゃわちゃしゃべるので、字幕を追うのが忙しく、そして、何というか字幕を読んでも意味が分からない事も多く、内容が6割くらいしか理解出来なかった。本当は彼らの顔や行動が観たいのに・・・と言葉の壁を痛感する。それで、BTSのファンの多くが韓国語を勉強するのである。

Twitterでは、BTSファン同士が集まる。「BTSアカ」を持っていて、そのアカウントではBTS関連の事ばかり呟く。そして、BTSのファンだけをフォローする。もちろん、皆が皆その限りではないが。

そのアカウントでTwitterを見ていると、ジンのストラップの問題がどうの・・・という投稿がいくつか目に付いた。

「ジンのストラップの件、アメリカでは高額だ、という金銭問題に。日本では道徳的な問題にされている。国民性が表れる」

「ジンの行いを擁護するわけではないけれど、ジンがああういう行動をしたのは、周りに任せる、気を遣わせないという気遣いからだ。また、ある意味いつでも物の扱いが雑だから、今回もそうで、だからこそ彼は人に対して寛容だ

「ファンを辞めるのは勝手だが、わざわざペン卒(ファンを卒業する)宣言する必要は無い」

「冷めてしまって、ファンを辞めるのは勝手だけれど、それでBTSを叩くのはおかしい」

「「おす」の反対は「引く」なんだよ、「叩く」じゃないんだよ。そんな事も分からない奴は小学校からやり直せ

そのようなツイートを見た。それで、一体ストラップとは何だ?と疑問に思って色々調べたら、長文を載せている人がいて、全てを理解した。そして、もう一度例のVライブでその問題の場面を見返してみた。物議を醸していたのはジンの次の二つの行動だった。

一つ目は、ジンがホットドックを食べた時に、汁やキャベツなどの食べかすを、床にこぼしまくったという事。しかも、最後にゲームで負けたテヒョンが一人で放送を締める事になり、ホソクとジョングクは一度退席しても戻ってきたのに、ジンはそのまま戻らずに帰ってしまった。つまり、床を汚したのに片付けず、スタッフに掃除をさせたというのが更に問題だったようだ。

二つ目は、ワッフルを食べる際、BTSグッズであるストラップを袋から出し、手が汚れないようにそのストラップでワッフルを掴んで食べたという事。他のメンバーがフォークがあるよと出したり、グッズの宣伝をしたの?と言ったりしてフォローしていたものの、結局そのままストラップでワッフルを掴んで食べていた事。

私は先にも述べたように、字幕やらしゃべっている人の行動を見るのに忙しくて、ストラップを袋から出した所は目にしたものの、それでワッフルを掴んでいる事には気づいていなかった。こぼしていたのは見ていたが、まあ、男の子なら普通にやりそうな事なので、気にならず。

擁護している人の話の中で、あのストラップは、買いたくても買えなかったファンがたくさんいる事が分かった。BTSのグッズは、出されると爆発的な注文数になり、抽選に当たらないと買えないらしい。このストラップも恐らくそうなのだろう。だから、ファンにとっては貴重なものを、使い捨てのように扱ったという事が、特に問題だったようだ。

翻意アンチ攻撃~浅間山荘事件を思い出す

Twitterでは、時々アンチ攻撃とも言える投稿を目にする。だが、アンチはこのコミュニティーにはいないはずなので、元々BTSのファンだった人が、何かをきっかけにしてファンでは無くなった人、翻意したという事で翻意アンチと名付けようと思うが、その翻意アンチが攻撃の的なのである。

ここで繋がっている人は、皆BTSが好きで、多くの人が無条件に、BTSメンバーの事を何でも許そうとする。けれども、許せない人がいて、何かBTSの悪い事を呟く人がいると、他の人はその人に向かって一斉に攻撃をする。それは、正しい事、BTSにとっては優しい事や嬉しい事を言っているのだが、翻意アンチにとっては誹謗中傷レベルな事も多い。先に紹介した、小学生からやり直せ、という言葉は、暴言とも取れる。相手の名前をそこに挙げていないからいいと思っているのだろうが、投稿を見た人には、投稿を見られる事は必定である。

私はこの事で、先日勃発後50年を迎えた「浅間山荘事件」の事を思い出した。事件を起こした連合赤軍のメンバーは、浅間山荘にたどり着く前、山中で仲間を集団リンチ12人殺害していたのだ。なぜそのような事が起こったのかと言えば、狭い集団の中で、少しでも違う考えを持つ人を許せず、排除するという行動に出てしまったからだそうだ。

世の中の多くの人が違う考えを持っている。それをどうにかしたくても、なかなか出来ない。しかし、同じ考えを持つ仲間が一緒に行動している時に、自分達が信じている事に対し、仲間が異論を述べると、それを許せない。特に集団が弾圧され、追い詰められている時は、集団リンチのような事が起こってしまう。

Twitterでは言葉だけだからと、安易な気持ちでしてしまうのだろう。世の中にはBTSのファンではない人がたくさんいて、全人類がBTSの人格を認めているわけではないのに、BTSのファンダムの中では当たり前の事実。その事実と思っていた事を、ファンの中から否定する人が出ると、許せない。攻撃したくなる。ファンだったくせに、と怒りは一般人に対するよりも強くなる。

攻撃している人も、普段は優しい人で、正しい事を言っている人たちなのだ。特にBTSに対しては優しい。そう、BTSに対しては寛容で、何をしても許す。だからこそ、そうでは無い人には容赦ない。

翻意アンチを見たことがない

それにしても、翻意アンチに対する攻撃は見たことがあるが、逆に翻意アンチの投稿を見たことがない。

今までにも何度か、BTSメンバーの言動に対する批判の話題は目にしたことがある。だが、批判する人に対する批判のみ、目にした。実際にBTSを批判する投稿は見たことがない。今回も同様。いくつかジンへの批判に対する批判、ジンを擁護する内容は目にしたが、実際にジンへの攻撃、批判する投稿は見なかった。

本当に、そんな投稿があるのか?私は疑問に思った。ここ半年ほどの間でも、少なくとも3回くらいは翻意アンチ批判が起こったが、毎度翻意アンチの投稿は見ていない。

もしかしたら、本当はBTSを批判する投稿なんてないんじゃないか?という怖い事が思い浮かんでしまい、ちょっとTwitterで呟いてみた。少なくとも一人が、やはり批判する投稿自体は見たことがないとリプしてくれた。

フォローしている人が少ないからというのも、あるかもしれない。だから、無いとは言い切れない。が、私はその可能性を探った。

欺されやすさ

その前に、まずこのBTSのファンダムを形成する人達が、欺されやすい集団ではないか、という仮説から述べようと思う。

よく、BTSアカウントでは投票行動が見られる。韓国やアメリカ、その他海外のメディアが行うランキングがあり、Twitterでハッシュタグをつけて投票すると、一票になるとか。それで、リツイートも一票になる、リプも一票になる、一日一回しか投票できない、写真が付いていると無効だ、などなど、色々な説が飛び交うが、本当かどうか、よく分からない。

アメリカのビルボードだとか、韓国のMAMAとか、有名な所のランキングもあり、実際にBTSが受賞した事もある。投票は恐らく役に立っており、私もリツイートした事がある。

先日も、どこぞやのサイトでハンサムランキングが行われており、皆自分の推しを一位にしたいと、投票を頑張っていた。投票の仕方は、投票している人が付けているハッシュタグを真似すればいいらしい。けれども、私は人の真似をするのが苦手だ。よく分からない物に乗っかるのが苦手だ。知っている賞のリツイートはしたが、今回はよく分からないのでしなかった。ただ、「直接投票するにはこちら」というリンクを見つけ、入ってみたら投票出来た。そのまま何回でも投票出来るのが不思議というか違和感があったのだが、とりあえず二回、二人に一回ずつ投票してみた。投票すると暫定結果が見られた。その時には別のアイドルが暫定一位になっていて、BTSのテヒョンが二位だった。ジョングクが四位で、このテヒョンとジョングクに一位と二位を取らせたい、というのがBTSファンの多くの願いだった。

1~2日後、ある投稿が目に付いた。

「この間のハンサムランキング、偽物だったみたいです。今のところ実害はないようですが、一応今まで投票した投稿を全部削除しました」

やっぱりそうなのか・・・。そして、それからいくつもの「今までの投票を全て削除した」という投稿を目にした。

そうしたら、ある人が次のような投稿をしていた。

「投票先がおかしいな、と思ったら、とりあえず投票を辞めて様子を見るのが普通。偽物だという噂だけで、今までの分全部削除するとか、やりすぎ。そういう人は欺されやすいから、気をつけて」

そうなのだ。投票している人がいると「私もやらなきゃ!」と飛びつき、偽物だったらしい、というのを見たら一気に削除。もちろん、その投稿のせいでフォロワーさんに迷惑がかかったらいけないといか、欺されていると思われて恥ずかしいとか、削除したのにはそれぞれ理由があるかもしれない。だが、噂だけで「偽物」だと信じた事は確かだ。なぜその「偽物説」が正しいと分かる?

しかし、私もリツイートはしなかったものの、投票はしたのだから、人のことは言えない。BTSファンは、皆がBTSの為に何かしたいと思っている。一生懸命に応援しようと思っている。それでいて、言葉の壁があり、よく分からないことも多い。韓国の事、今や世界的に有名なBTSなので、英語やその他の言語でしか情報が手に入らない場合もある。それでも、BTSの事は何でも知りたいし、力になりたい。それが、つい盲進に繋がるのだろう。

本当は無いのではないか

さて、本題に戻ろう。私がふと思ったのは、翻意アンチの投稿なんて、無いのでは?という事。それについて、二つの仮説がある。

一つには、無いのではなく、ほんの少しある、という仮説だ。

ほんの少数の翻意アンチがいて、もうBTSを好きではなくなったから、ペン卒するという投稿をする。それを見た人が、批判する。すると、その批判する投稿を見た人が、

「BTS批判をした人がいるそうだけど~」

と、翻意アンチに対する批判をする。そうやっていくと、フォロワーからフォロワーへ拡散され、翻意アンチ10に対して、翻意アンチ叩きは1000にも10000にもなるのだ。

だから、叩く方は目にしても、翻意アンチの方は滅多にお目にかかれない。それだけレアだからだ。

二つ目の仮説は、実際にはないというもの。

例えば今回のジンのホットドッグやストラップの件で言うと、あるファンがその行動を見て、

「これ、非難する人いるだろうな」

と考える。そして、

「非難する人もいるかもしれないけれど、ジンは~」

と、擁護する内容の投稿をする。他にも、

「これを見て、ファンを辞める人もいるかもしれないけれど、そんな人は本当のファンじゃない」

なんていう投稿をする人がいたかもしれない。

すると、その投稿を見た人が、

「ジンの行動を非難した人がいるらしいけど~」

「ファンを辞めた人がいるらしいけど~」

となる。そして、それを見た人も・・・。そう、伝言ゲームなのだ。最初はいるかもしれない、という仮定の話だったのに、いつの間にか現実にいた、という話にすり替わる。それが、何百何千と拡散される。

些細な事だったら、ありうるのではないか。そして、それに対して誹謗中傷まがいの投稿をしても、何の意味もない

何が言いたいかというと

誹謗中傷的な言葉は、それが自分に対するものでなくとも、あまり気持ちの良いものではない。

だが、だから辞めようという話ではない。

見てもいない物に対して、攻撃するのは辞めようと言いたいのだ。相手の言い分も聞かずに、一方的に批判するのは、結局は間違った攻撃になりかねない。

また、感情的に発信するのも辞めよう。感情的な言葉は、トラブルの元である。そのつもりがなくても、誰かを傷つける。一呼吸置いて、読み直して、誰が見ても怒らないような文章になっているか、確かめてから投稿しよう。そうしないと、喧嘩になり、場合によっては嫌がらせなどを受けて困るのは自分だ。

一生懸命に応援するからこそ、ついつい感情的になる。可愛い我が子を出世させようとか、活躍させようとして、モンスターペアレントになるのと同じだ。

応援する相手が、悲しくなったり困ったりしない為にも、トラブルを避けよう。