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激動の時代 幕末明治の絵師たち展

初来訪~サントリー美術館

月曜日の午後、六本木へ向かった。

たまたまどこかで目についた展覧会。今月忙しいから、どうしようかなーと迷って、とりあえず前売り券は買わなかった。

でも、やっぱり行きたいと思った。私は浮世絵が好きなのだ。そして、幕末明治の時代が好きなのだ。

週中~後半は毎週予定が入っており、展覧会は火曜日が休みだそうで、そうなると月曜に行くしかない。月曜というのは大抵週末の飲みすぎで調子が悪いのだが、午後に行くならば大丈夫だろう。

午後2時ごろ、六本木駅に着いた。六本木周辺には美術館が多く、何度も来ている。

だが、考えてみたらサントリー美術館には行った事がなかった。六本木駅に一番近いところにあるようだ。

六本木駅の出口8番に直結しているらしい。駅に着いて、8番の矢印の方へ進んで行った。

サントリー美術館は東京ミッドタウン内にあるそうだ。地下の改札を出ると、そのまま地下道で行かれる。お、こんな所に赤い郵便ポストがある。

目が悪くなってしまって、メガネをかけても駅の表示などが見えにくい。近くまで行けば分かるのだが。ああ、あった。サントリー美術館の矢印が出ている。

サントリー美術館の矢印通りに進んでいくと、エスカレーターを上って左へと書いてある。

エスカレーターの屋根は透明で、空が見えた。おや、外に出たのだな。地上階へ。

おぉ!なんかすごい。このあみあみ何?

おしゃれな所だ。さすがに月曜の午後早い時間には人の姿もまばらだが、休日には混み合うのだろうか。テラス席もあって、優雅な感じ。

左へという事は、つまり建物の中に入るらしい。あれ?地下で直結しているのに、一度外へ出されてからまた中に入るわけ?この入り口から入れと?

まあいい。これはつまり、デパートだな。何階にあるのかと、ウロウロとしつつ表示を探した。遠くから見えないから不便。3階だと分かり、エスカレーターを上って行った。

それにしても……私、場違いじゃないかな。こういうブランド物が売っているような所に、一切ブランド物を身に着けていない人がウロウロしていて大丈夫?ソワソワ。

3階に到着した。あ、美術展のでかい看板発見。

で、どこに入り口が?……ない。通り過ぎた?戻る。

あ、なーんだ、今の看板の所じゃん。でも、全然美術館っぽくない。発券所のような所もなく、インフォメーションカウンターのようなところがあり、他はまるで和菓子のお土産やさんみたいなショーケース。こんなところ初めて来たよ。

洋画の技術を取り入れた作品

中に入ると、そのインフォメーションカウンターのような所でチケットを買った。

最近の特別展は2千円以上する物が多いが、これは当日券でも1500円だった。

例によって何で支払うか考えていたら、ここにない物でも対応できますと言うので、paypayは?と聞いたら大丈夫だと言う。それで支払ってチケットを受け取り、一緒にサントリー美術館メンバーズクラブの割引券をもらった。なんだこれ?

「第1展示室は一つ上の4階になります。上の階からどうぞ」

チケットをもぎった人から言われて、目の前のエレベーターを示された。エレベーターは上を押さなくてもチンと言って開き、中に入って自分で4階のボタンを押した。

上の階へ到着。展示室は真っ暗だった。

まず目の前にあったのが、五百羅漢図。羅漢とは仏の教えを身に着け、悟りを開いた人たちだとか。

で、何枚か並んでいたのだが、色々なのだ。

まず、日本美術というか東洋絵画らしい絵。と思ったら、突然陰影が色濃い立体的な仏画。これ、すごいなぁ。つまり、西洋から伝わった陰影法を取り入れた絵というわけだ。

それにしても、誰の絵なのかとか、書いてないの?と思ったら、後ろに文字があった。すごい。黒いバックに光る文字。電光掲示なのだった。それを読むと、今見た絵の解説が。え?これ全部同じ人の絵なんだ。狩野一信の。

ちなみに、この展覧会は全て写真撮影禁止だったので、残念ながらブログに絵を載せる事ができない。この五百羅漢図はサイトに絵が載っていたので、良かったら参照して欲しい→激動の時代 幕末明治の絵師たち 展示構成 サントリー美術館 (suntory.co.jp)

第一章は「幕末の江戸画壇」と称し、狩野派谷文晁服部雪斎などの日本画が展示されていた。

私は幕末期のヨーロッパにおけるジャポニズム、とくに浮世絵が印象派の画家に与えた影響などに興味があるのだが、ここではその逆。ヨーロッパの絵画から日本の絵師がどのように影響を受けたか、という展示だった。

日本の絵ではあるのだが、どこかヨーロッパの家が描いてあるように感じるものさえある。遠近法が取り入れられていたり、西洋の書物に描かれた絵を模写したものもあった。

第二章は「幕末の洋風画」である。安田雷洲の作品が多く、それがまた、小さい。そうだな、5cm×10cmくらいかな。そのサイズの紙に風景画を描いているのだ。東海道中五十三駅というシリーズだそうで。雷洲の絵はそれだけではなかったが、印象深いのはその小さいやつだった。これも、やはり日本の風景を描いているはずなのに、どこかヨーロッパの街に見えるのが不思議だ。それが洋画というやつか。

ここで4階の展示が終わり、下へ行くらしい。エレベーターで先ほどのチケットもぎりの所へ戻り、第2展示室へ。

やはり暗いな。階段があるが、ここには上らないでいいらしい。割と空いている。エレベーターで乗り合わせた人がいたが、2人くらい。外国人の5~6名の団体さんがいた。

第三章は「幕末浮世絵の世界」である。

幕末明治の混乱期、たくさんの浮世絵が出版されたらしい。その20年間だっけな、その間に出版された数は、江戸時代に出版された数と同じくらいだったとか。江戸時代って250年以上でしょ。

なんだか、見覚えのある絵があった。見た事があるのかもしれないが、あれに似ている。えーと、そう、進撃の巨人!でかい骸骨がにゅーっと出てきたりとか、あとなんだっけなあ、2つくらいあったのだけれど。きっと諌山さんはこの絵師に影響を受けているに違いない。知らんけど。

それにしても、私は文字を読む為にちょっと身をかがめて一生懸命に読んでいる。一方、読まずにすっと行ってしまう人もいる。そして、字を読んでいるかどうかは分からないが、絵の方をじーっと長時間見ている人もいる。色々だ。

さて、同じ階の第3展示室へ。

第四章は「激動期の絵師」。待ってました!私の好きな絵師「月岡芳年」の絵を発見!

月岡芳年の絵はね、ドラマティックなのだよ。色鮮やかで、繊細で、ドラマチック。私が良く言う「風の吹いている絵」を描く人だ。

この辺りの浮世絵は、おどろおどろしい絵が多い。芳年の絵もそういうのが多い。妖怪とか、合戦の絵が多いのだ。

芳年だけでなく、河鍋暁斎とかも有名だが、過去の合戦の絵をよく描いている。それで、実際の人物とは違うよ、という振りをして、合戦名などをちょこっとだけ変えたりしている。そういうの、今の文化にも通じるものがあるよな。昔は、おかみの不都合なものを描くと罰せられたから、という事らしい。今は名誉棄損とかになってしまうからね。

それから、明治時代になっていく。文明開化だ。これも観たことがある人も多いと思うが、洋服を着て日本髪を結った人たちとか、鉄道とか、明治を描いた絵。

ああ、その前に。幕末の黒船来航、そして横浜の開港後によく描かれたのが、異人の絵など。その、横浜の絵を「横浜浮世絵」と言ったらしい。知らなかった。

そして、文明開化の様子を描いた浮世絵を「開化錦絵」と言うのだとか。これも知らなかった。

ミュージアムショップ

展覧会を見終え、ミュージアムショップを通って出口へ。なんか、真っ先に置いてあったカタログを手に取る。

あるある。あの小さい絵が、ちゃんと拡大してある。そのほかにも、私の目が悪くてちゃんと見えていなかったのではないか、と心配になっていた絵を見てみたが、大方大丈夫だった。良かった。

それにしても、字を読むのが大変になってきた。こうなると、やはり音声ガイドを利用すべきか。

でも、どうもマイペースで観たいし、最近チケット代も高くなったのに、プラスして600円とか掛かるのも気になって、敬遠してしまう。それでも、以前は説明書きもあまり読まなかったものを、最近はブログを書く為にちゃんと読もうとしているから、そろそろ音声ガイドを活用した方がいいかもしれない。

でもねえ、混んでいる展覧会だと、音声ガイドを借りる為に並ぶ事もあるしねえ。要検討だな。

最初に和菓子屋かと思った場所が、やはりミュージアムショップだった。浮世絵展だったから、渋いお土産が多い。それと、なんか会員になるとどうのこうの、と書いてあった。チケットと一緒にもらったあの券を思い出す。なるほど、サントリー美術館にはメンバーズクラブがあるのか。

チケットサイズのクリアファイルに惹かれたが、好きな絵という程でもなかったので買わなかった。後は、食器などを見て綺麗だなーと思ったが、やはり買わず。例の外国人の団体さんが、今回の展覧会とは関係ないお土産(と言っても、とても和風)を見ていた。手ぬぐいとか、なかなか良さそうではあった。

さあ、帰るか。もう3時半を過ぎていた。けっこう時間がかかってしまった。洗濯ものを干しっぱなしにしてきたのに。

帰り、やはり出口から見てもすごい。写真だとちょっと伝わらないが、巨大なあみあみのすごさ。

そして、また地下通路にあるポストに注目。行きも帰りも二度見してしまった。なぜだか分からぬが。

カタログ

家に帰ってしばらくして、ふと月岡芳年の絵を見たくなった。

確か、昔からカタログがあったはず。

あった。そうそう、最後の天才浮世絵師ってやつだ。

覚えているようで、中身を見たら1枚の絵しか覚えていなかった。何せ30年近く前だからな。でも、あれもこれもいいわぁ。感激。こんな、月岡芳年ばっかりの展覧会があったのか。

え?確かさんざん「幕末明治期の美術は、時代のはざまに埋もれ、かつては見過ごされる事もありましたが、近年では江戸と明治のつながりを重視し、大きな注目を集めるようになりました」という文章をこの展覧会中に読んだのに、30年も前にこんな展覧会が?

確かに、横浜浮世絵開化錦絵なんていう言葉も知らなかったくらいではある。今日の展覧会だって、名前の知っている絵師よりも知らない絵師の方が多かったし、その知らない絵師の説明には

「~に師事か」とか「○○と同一人物という説もある」

みたいな記述が多く、よく分かっていない事が多いようではあった。

だが、私のゼミの先生は昔から河鍋暁斎の研究をしていたし、けっこう展覧会には行ったのだ。この辺の。そうだ、新宿の三越美術館によく行ったなぁ。一人でも行ったし、友達とも行った。あの美術館ってもうないの?

そうそう、私が夫とデートするきっかけになったのが美術展だった。私が美術館によく行くと言ったら、夫は本当はそういうのが好きなのだが、一緒に行く人なんかいない、そういう話すら出来る友達がいないと言っていた。私が友達と行くと言ったら、友達紹介してと言ったっけ。これは冗談だが。冗談だよな?

私の周りには、父もそうだし、同じ学科の友達も、美術館にはよく行く人が多かった。大体、旅行に行けばその土地の美術館には必ず行くものじゃない?え、違うの?

でもさ、フランスのパリに行ったら、絶対にルーブル美術館とオルセー美術館には行くでしょ?でも、日本国内では行かないの?

ま、行く人でも浮世絵の展覧会に行く人は少ないのかなー。

浮世絵はもちろんいい。印象派の絵に影がないのは浮世絵の影響を受けての事。でも、今回見たような、浮世絵なんだけど陰のある絵は素敵だった。やっぱり影があると一気に劇的になって素敵だ。

それにしても、うちにはどんだけカタログがあるんじゃ!

割と最近行ったユトリロ展のカタログさえあったぞ。そう、私はいつもカタログを買う人だった。学生時代は勉強の為というのもあったが、学生はチケットも安い場合が多いし、そもそも昔は特別展のチケットはどれも1500円くらいだったのだ。カタログも1000円とか1200円とかだったよ。

ところが最近は、特別展のチケットは2000円から2500円くらいだし、カタログも2000円を超える。まあ、仕方ないけれど、もっと厚み半分でいいから半額にしてもらえないか……いやいや、カタログを買ってもこれ以上置くところがないから!買ってはダメなのだ、私は。かといって、昔の物も捨てられないしね。

以上、幕末明治の絵師たち展のレポであった。空いているし、興味があればぜひ。展覧会は12月3日まで