友人のソロライブに行くため、夕方から新宿御苑前駅へと繰り出した。
ライブ会場の場所が送られてきた時、地図上に表示して驚いた。そこは、私がかつて何度もゴスペルライブに出演したライブハウスのすぐ近くだったのだ。
私は7年ほどゴスペルを習っていて、あちこちのライブ会場でライブを行ったが、恐らく一番たくさん行ったのが「ROSSO」というライブバーだった。それが新宿御苑前駅の近くだった。
そのROSSOに初めて行った時には、スマホの地図を見ながらしばらくウロウロしたものだ。GPSではここを示しているのに、ライブバーなんてないよ!と思って焦っていたら、実は地下へ降りる階段があり、地下にそのバーROSSOがあったのだ。
それで、今回お招きされているライブ会場は「ONLY YESTERDAY」というアコースティックバーだとか。駅からの道順を書いてくれていたが、大木戸門口を出て左→左と行って花岡病院を目指し、その隣の小諸そばの隣が地下への入り口だと。
さて当日。新橋で銀座線に乗り換える時、かつてのゴスペルライブよりも4年程前の東京オリンピックのボランティアでアクレディテーションセンターへ通った時の記憶がよみがえった。アクレディテーションセンター(UAC)へは溜池山王駅から歩いたのだが、今日はその溜池山王を通り過ぎる。
そうだよな、こうやって新橋で銀座線へと毎回乗り換えたなぁ。懐かしい。つまり、ゴスペルライブへ行った時の記憶は塗り替えられている。
溜池山王を過ぎ、赤坂見附で向かい側のホームに来る丸の内線に乗り換える。ここはゴスペルライブの記憶がよみがえって来る。と言っても、もうかれこれ10年経つかな。最後に行ってから。
丸の内線に乗り換え、新宿御苑前駅で降りた。そして……。
目の前には下りの階段があって、大木戸門口は階段へ、新宿御苑口はホームの端へ、という矢印表示があった。
でも、私はかつてライブハウスへ行った記憶のまま、そのままホームの端へと歩き出した。行きはこのままのホームから出て、帰りはこの階段を使って反対側のホームへ行ったよな、という記憶があったのだ。
しかし、ちょっと歩いてから引っ掛かった。大木戸門口。そう、今日のライブ会場への道順で、大木戸門口と書いてあった。それは確かだ。私のかつての記憶とは食い違うが、私の記憶よりもライブ会場への道順の方が確かではないか。
もしかしたら、10年の内に何か変わったかもしれない。いや、もしかしたらROSSOと近いというのが私の勘違いかも。
それで、すぐ引き返して階段を降りた。そしてまた階段を上って反対側のホームへ。そしてホームの端まで歩いて改札を出て……。
出る前にもう一度確認。もらったDMを開けて確かめる。やっぱり大木戸門口と書いてある。うーん、いいよな?大丈夫だよな?
意を決して改札を出た。
地上へ出る為に階段を上ったのだが、まず正面に見えたビルの入り口に見覚えが。向こうの出口と同じなのだろうか。そして更に階段を上がって地上へ出ると、やっぱり見覚えが。でも、なんか左の次は右に曲がるような気が?
出口を出て左へ少し行き、交差点を左へ?と思って左側を見ると、PRONTが目に入った。そうだ、ここだ。こっちでいいんだ。今、反対のような気がしたが、私はここへ来るたびに反対のような気がしていたっけ。忘れていた。それに、反対側にあったうどん屋には、かつて息子たちがライブに来た時に帰りに入って夕飯を食べた事があるので、混乱したようだ。
そうだそうだ、こういう道だった。文明堂もある。地図検索したら出てこなかったからなくなったかと思った。でも営業している様子でもなかった。今日が休みなのかもしれない。
ライブハウスが多い割に、この辺りは日曜日に閑散としている。人が歩いていなくもないのだが、閉まっている店が多い。まだ4時なので、営業時間前という店もあるのだろうが。
私はでも、まだ自分の認識が完全に改まったわけではなかった。前は向こうから地上に出てきたのかな?などと思っていた。
見慣れた道を歩いて行くと、以前は意識していなかったが、突き当りに花岡病院があった。まだ時間があるので、ROSSOが健在かどうか確かめに行こう。
思ったよりもすぐ近くだった。地下への階段は健在。つまり建物は健在だった。だが、地下に2つある店はどちらも明かりが点いていなくて、営業前なのか。実は、今このブログを書こうとしてROSSOの店名を思い出したのだが、この時には思い出していなくて、店名がどこかに書いてあったのかなかったのか、よく分からなかった。でも、今ホームページを調べたらあったので、健在のようだ。
そして、小諸そばもあった。もう、斜め前くらいの近さ。いつも私は道に迷うが、今日は流石に迷わなかった。小諸そばの前をウロウロしつつ、右側には何もないので、左側へ行ってみた。地下への階段があり、今日のライブの主役「KAZU」の文字を見つけた。看板が出ていたのだ。地下へどうぞと書いてある。
地下へ行き、いくつか店がある中で、ONLY YESTERDAYという店を見つけた。まだ4時を回ったばかり。開場が4時なので、もう入っていいのかな?と伺っていたらKAZUさん本人がドアを開けた。
「キャー!チョコナッツさーん!」
と言ってもらって、私も両手を突き出して手をフリフリ。良かった、ちゃんと来られたぞ。
生ビールを飲みつつ、ライブを堪能した。今日は久しぶりに会ったボランティア仲間もたくさんいて、嬉しいひと時だった。
KAZUさんのライブはピアノ弾き語り。このお店にはグランドピアノがある。

一方、少し左へ視線を向ければたくさんのギター。

英語の曲やイタリア語の曲、日本語の曲。10曲を歌ってくれた。セットリストも素敵なのを配ってくれて。

アンコールでは、アカペラで一曲歌ってくれた。とても癒された。素敵な歌声に楽しいMC。ソロだとしゃべって歌ってと、本当に大変だと思う。KAZUさんは緊張して夕べ眠れなかったーなんて言っていたけれど、見事ライブをやり遂げた。今夜はぐっすり眠れるだろう。
ちなみに、このお店はライブをやっていない時にはピアノやギターの練習をしてもいいそうだ。ピアノ弾けば、とお店のマスター?に勧誘された。
ライブも終わり、6時前。ご飯食べようという事で、6人で店を探した。私がゴスペルライブの前、リハーサルの後にみんなで入ったイタリアンの店は無くなっていたようだ。おでんの店は予約で埋まっていたみたいで断られ、もう少し駅の方へ行くとエスニック料理のお店があったので、そこに入った。駅の向こうにはけっこうオシャレなレストランがあって、そこにも入ったっけな。色々思い出す。
さっきビールを飲んだけど、このお店はビールの種類が豊富で、気になったライチビールを頼んでみた。
カンパーイ。

ライチビールは思ったよりもライチはほんのりで、それほど甘くなかった。他のフレーバーのビールを飲んだ人も、やはりフレーバーはほんのりだと言っていた。
色々と料理を頼んだ。その中のいくつかの料理の写真を。映えるかな、と思う料理だけね。




1枚目はエビのすり身を揚げたもの。熱々のサクサクで美味しい。2枚目はアボガドディップにトルティーリャを付けるやつ。でも、名前はトルティーリャではなかったと思う。3枚目はモモ。4枚目は煎り豆だか揚げ豆だかのとても辛いやつ。豆がカリカリだった。辛いのを避けてたのに、ここへ来てうっかり頼んでしまった。で、お酒が進んでしまってもう一杯。

これはモヒートのクラシック。このお店にはモヒートも色々な種類があって、入っているお酒もフレーバーも色々だった。ここは何回も通いたくなってしまうね。
それで、モモというのはネパール料理だ。思ったよりも小さかったのだが、このモモを見て唐突に思い出した事がある。
20年前の愛・地球博へ行った時の事。赤子を連れていた我々は、目玉だった冷凍マンモスなんて見られるはずもなく(長時間並ぶ事が出来ず)、アフリカ館とブルガリア館には行ったのを覚えているが、後はどこかに入ったのかな、と最近考えたのだった。思い出せなくて、そのくらいしか入らなかったのかも、と思っていた。
ところが、思い出した。お昼ご飯をネパール館で食べたのだ。大人はナンとカレーだったのかもしれない。でも、3歳の長男にはカレーはちょっとな、と思ってこのモモを頼んでみたのだ。私もこの時初めて見たのだが、その時のモモはとても大きくて、やはり一皿に6個くらい入っていたが、3歳児が一人で食べ切れる量ではなかったような気がする。
ネパール館には(多分)大きな涅槃像があって、フォトスポットに長男を立たせ、写真を撮っていたら長男が両手ピースでニッコリ笑ったので、周りの人たちが「可愛い~」と言ってくれたのを思い出した。ほんと、すっかり忘れていた。モモひとつでこんなにも思い出すものなのだな。
モモは餃子のような物である。形はショウロンポーのようでもあり、肉まんのようでもあるが、味や食感は餃子である。このお店のモモは一口サイズで、ちょっと食べてみるのもいい。添付のソースはカレーだった。
1時間半くらいいた。たくさんしゃべってたくさん飲んで、お腹いっぱい。お店の人が写真を撮ってくれた。

ちょっと下手なハートですまぬ。後から考えたら、私は全員と一度は会った事がある間柄だったが、6人はそれぞれ初対面の人もいたと思う。だが、そんな風に感じさせないくらい、和気あいあいとした食事会だった。さすがボランティア仲間。みんなKAZUさんの仲間だもんね。
さて、ここからが本題(笑)
みんなで色々な話をした中で、私のブログの話も出た。私って、物書きのくせによくしゃべるし、自分の事を聞かれるのが好きなので、余計な事もたくさんしゃべったと思う。
それで、今日も私が料理の写真などを撮っているので、ブログに書くよね、と言われた時、
「今日はどうかな。失敗した時じゃないと、あまり面白くならないから」
と言った。あの、大木戸門口の怪奇現象など、この時にはすっかり忘れていたのだ。道にも迷わなかったし、ここまで全て上手く行っていると思っていたのだ。酔っていたのか?
そして、どんな時に書くかと言えば、
「ちょっと聞いてよー」
と言いたい時だと言った。他のみんなも、確かにただライブ行って綺麗な歌声だった、だけだと面白くないかもね、と言って納得してくれた。でもまあ、ブログって本来はそういう物だけどね。その日あった事を日記みたいに書くものだから。けど、芸能人が書くブログならそれでもよし。ファンがその人の日常を感じられたらいいわけだから。でも、一般人が日記を公開したって誰が読む?と、言われる。書いてもいいけれど、それで収益を得られると思うなよ、って感じかな。
ま、そんなわけで、この時は今日の事はブログには書かないと思う、と言っていた。まあ、この後家に帰るまでに何かあれば書くけど……と密かに思っていたのだが。
店を出て、駅はこっちだと言って先頭を歩く時、地元以外で私が道案内をするなど、何と珍しい事がある事か、とこっそり感動していた。そして、駅はすぐそこ……
そう、暗い時刻、今のような暗い時に新宿御苑の方へ向かって歩き、新宿通りに出たら右に曲がるとすぐに地下鉄の入り口があった。いつも、そうやってゴスペル仲間と帰っていた。そうか、やっぱりこの出入口を利用していたんだ。
池袋へ行くという人たちが、別の駅へ歩くと言って別れ、丸の内線に乗る人だけが新宿御苑前駅へと階段を下った。そして、改札を通り、すぐそこのホームで電車を待つ。
そうか。そうだったような気がしてきた。行きに階段を下って上って、帰りはそのままだった……?記憶はまだ曖昧だ。ただ、ゴスペル仲間と手を振って別れ、私だけがこのホームに残っていたような気がしてきた。
池袋行きの丸の内線が来た。あれ、池袋に行く人はこれに乗らずに何に乗るって?と思ったけれども、まあいいか。
後々、そう、翌朝くらいに、やっぱり新宿御苑駅に着いてすぐ階段を下っていたような気がしてきた。そうだ、だからいつも乗っていた場所が階段のすぐ前だったのか。
記憶なんて曖昧だな。絶対にそのままのホームでいいんだ、と思っていたのに。10年経つとは言え、怖いものだ。やっぱりチョコナッツ、自分の記憶を過信してはダメだ。今回、自分の記憶で押し切らず、今書いてある事を信じて大木戸門口へ出たのは上出来だった。
そうか、そこで自分の記憶に従って違う出口へ出ていたら、もう少しブログが面白くなったのか。
なんてね。わざとやってもダメでしょう。失敗という程の事はないにしても、記憶とは違っていたという話を書かせてもらった。
うん、これで5千2百文字くらい。私にしては短い方だ。文字数を聞かれたので、たまには書いてみようかなと。長くなった時にも書いてみようと思う。それでは、また。