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【読書感想文】東野圭吾「クスノキの番人」を読んで

あらすじ

父はおらず、母も早くに亡くした玲斗(れいと)は、不当解雇されてヤケになり、警察のご厄介になる。

そこで助けてくれたのが、一度も会った事のない伯母だった。

助けてくれた見返りに、玲斗はある仕事を任される。それは「クスノキの番人」だった。

神社にある大きなクスノキには、満月と新月の夜に祈念にやってくる客がいる。祈念とは何なのか。伯母は玲斗に教えてくれない。そのうち分かるからと。

祈念にやってきた父の浮気を疑い、尾行してきたその娘の優実と玲斗は、共にクスノキの謎に迫ろうとする。

一方、伯母はいくつものホテルを経営する「ヤナッツ・コーポレーション」の顧問をしていた。かつてはバリバリと仕事をしていた伯母だが、新しい経営陣に疎外されている様子。伯母に伴って会社のパーティーや伯母が力を注いだホテルに赴いた玲斗は、徐々に伯母の為に何かをしようと考え始める。

祈念についておおよそ分かってきた玲斗と優実。優実の父がしようとしている事を知り、協力する事に。

ミステリーなのか

東野圭吾と言えば、ミステリー作家だと思っていた。この作品も、ある意味ミステリーか。何となく、松坂桃李と樹木希林の映画「ツナグ」の、あの感じに似ている。ちょっとだけファンタジーで、ミステリアスな感じ。「ツナグ」の作者は辻村深月だけど。

まずは、クスノキの祈念というものが、どういう物なのかが気になる。主人公が知りたいのと同様に、読者も知りたいのだ。

少しずつ知れる真実。知っている人は皆、伯母に口止めされていて話してくれない。優実と一緒に謎を解こうとする玲斗とシンクロして、読者も推理を働かせながら謎に迫る。

しかし、結局話してもらって知る事になるのには失望した。もう少し、別の方法で知って欲しかった。

だが、同世代の受念者が出てきて、彼の悩み相談を受けていた玲斗だが、優実の父の謎が解けた後、そちらの謎も解決するのが良かった。それは玲斗が自ら考え、導いた答えだったし。

謎のその先

クスノキの謎が解けても、それで終わりではなかった。

優実の祖母と伯父に関する話や、玲斗の伯母の会社の話。これらも解決に向け、動いて行く。

最後は玲斗の伯母の意外な真実が。やっぱりミステリーだったようだ。推理小説そのものだ。

最後まで意外性があり、面白かった。さすが、売れっ子作家の作品だ。別の作品も是非読んでみたいと思った。

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