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LASTMAN IN THE DARK~全盲体験

2023年6月14日(水)

ボランティア仲間から、これに行ってみませんかとお誘いを受けた。一瞬、チケット代3850円が高いと思ってしまった(小学生は1650円)。うーん、どうしようかな。

すると次男に、

「いいじゃん、良いブログネタになるよ」

と言われた。そりゃあ、そうだが。うん、そうだな。それと、私は目に不安がある。緑内障だし、右目はメガネでも視力が上がらなくなってしまったし。この先70歳とか80歳になった時、果たして目が見えているのか。もし体は健康なのに、目が見えなくなったらどうなるのか。

今の内に、全盲体験してみよう!という事で、行くことにした。後から思えば、誘ってもらえて、みんなで一緒に行けて、すごく良かったし感謝しかないのだが。

前日準備は

前日、着て行く服を決めた。上下を床に並べて、この色合いでOKだなと思った後、ふと視線を服へ下した。うーん、シワが気になる。畳みジワというかな。変な線があちこちに付いている。

普段は気にしないのだが、明日はまずランチだ。竹芝でランチ。そう考えると、シワシワな服ではちょっと。というわけで、滅多にしないアイロンがけなんぞをしてしまった。竹芝だから

待ち合わせは10時半。アトレ竹芝の2階にあるレストランだった。7人で集合して食事を摂ったりして、12時ごろに移動してダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」へ行くと。

アトレ竹芝の場所は地図とサイトで確認。サイトで外観の写真を見たら、タリーズコーヒーが1階にあって、これを目印にすれば大丈夫だと思った。

電車の時間を調べた。一番良いのが大門から行くルートだった。アトレ竹芝のサイトによれば、大門駅B1出口から徒歩7分という事だった。10:22に大門に着く電車でも良さそうだが、早く行って席を取っておいてくれるという人もいるので、なるべく早く行くためにその前の10:13着の電車に乗ることにした。

ここまで調べておいた。だが、これでは不十分だった事が、後で分かるのだった。

助けて

当日、予定通りの電車に乗って10:13に大門に着いた。B1出口を目指す。そうだ、最近は乗り換えにしか使っていなかったが、昔、子供を連れて東京タワーポケモンセンターに行く時には、よく大門駅から歩いたものだ。そして、思い出した。浜松町駅を使うのと比べて、たくさん歩くという事を。つまり、出口までが遠いのだ。しまった、またやってしまった。B1出口から徒歩7分だけれども、ホームからB1出口まで7分くらいかかるじゃねえか。早めの電車にしておいて良かった。

最後、地上へ出る時に階段を上った。私の前に、私と年恰好が変わらない感じの女性がいて、トコトコ階段を上っている。一つ階段を上ったら疲れた。次はエスカレーターにしようかなと思ったのだが、前の女性がまた階段をトコトコ上っている。つい、私も階段を選んでしまった。そうしたら、最後はめちゃくちゃゆっくりになってしまった。疲れた。

既に到着したという連絡が、グループトークに入り始めた。やっと地上に出ると10:20だった。うん、間に合いそうだ。感覚的に竹芝はあっちだ、と思うのに、一応GPSを確認すると90度違う方向を指している。おかしいな。高速道路とか高架鉄道があったりするとGPSが当てにならない事があるからな。

というわけで、道路を渡って浜松町駅の改札前の地図を見てみた。うん、やっぱりこっちだよな。

道を渡るべきではなかったのだが、そのままとにかく海の方へ進んだ。どんどん進んでいくと、タリーズコーヒーがあった。やはり高いビルの一階にある。あれ?もしやこれが目的地か?でも、まだ竹芝駅の近くではないしな。ジロジロと見て、他のお店の看板を見て、目的のレストランがないことを確認し、まだまっすぐ進むことにした。

歩いて行くと、見覚えのある場所に行きついた。道路としては行き止まりだ。目の前の頭上にはゆりかもめの線路がある。そのすぐ右側に竹芝駅だ。もう20年近く前になるが、この辺には何度か来た事があるのだ。で、私が目指すアトレ竹芝は、少し左の方にあるはずだった。左の方を見るも、商業施設っぽくない。看板が出ているが、見た事のない名前が書いてある。マンションのように見えた。それで、信号を渡って行き止まりまで行った。そこに地図の看板がある。だが、それを見てもアトレ竹芝の文字はない。

左側にはアジュール竹芝、ニューピア竹芝とか、聞いたことのある名前のビルが並んでいるようだ。うーん、どれ?どこ?前を歩いて行ってみたが、アトレがないまま、海へ出てしまった。私はグループトークに助けを求めた。入り口はどこ?通り過ぎた?

お返事が来た。道に面している所に入り口があると。アジュール竹芝でいいの?と聞くと、行き過ぎている、駅寄りの隣のタワーだと。

私は自分が大門に着いたという投稿をしたにもかかわらず、他の人が竹芝駅から行くようだったので、駅寄りとは、竹芝駅の方だと思ってしまった。だが、アジュール竹芝の駅側の隣は、クルーズ船乗り場だった。

もうだめだ。お手上げだ。全然分からない。竹芝駅からは、一体どこから出てくるのかも分からない。そこで、目の前にある地図の看板の写真を撮り、送った。「助けて」という文字と共に。何しろ、その看板には現在地が載っているから。

この地図の、どこにアトレ竹芝があるのかを知りたかったのだが、1人外に出て迎えに来てくれると言う。ひやぁ、申し訳ない!いつも道に迷うチョコナッツだが、人に迷惑をかける事はあまりなかったのに!

またウロウロしてしまったので、いまここに居ると言うために辺りを見渡したら、すぐそこに交番があった。交番のところにいます、と送って、そもそも交番で道を尋ねればよかったのでは?と思った。実際、同年代の女性二人が交番で道を尋ねていた。ああ、でも迎えに来てくれるし。どうしよう、どうしよう。

すると、次なるメッセージが届いた。私が送った地図の中では、ウォーターズ竹芝にアトレ竹芝があると。なーんだ、そうなのか。というわけで、竹芝駅からそちらの方へ歩いて行くと、途中でお迎えに来てくれた方と出会った。ああ、本当に申し訳ない。そんなこんなで10:40くらいになっていた。

そして、マンションだと思って切り捨てた建物が、アトレ竹芝だった。マジか。マンションではなくホテルだったのだ。1階と2階に商業施設、その上はホテルが入っているタワーだったらしい。そもそも、駅から歩いてくる道が間違えていた。一本左の道を歩いてくれば、入り口に「アトレ竹芝」と書いてあったのだ。やれやれ。

いよいよ全盲体験へ

7人が集まって、食事をして、12時ごろにダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」へ移動した。そこには、今TBSで日曜日にやっているドラマ「ラストマンー全盲捜査官ー」の登場人物たちの写真がバーンとあった。ドラマを観ている人も観ていない人もいて、反応はマチマチ。私はこの体験をすると決まった時から見始めたので、3話分くらい観たかな。

この体験は定員8名で、一度に予約できるのは6名までだった。先に行かれる事が分かっていた人で6名分予約して、最後に行かれる事になった人が1人で予約して、7人で一緒に行ったのである。あと1人、知らない人がいるのかいないのか、とドキドキしていたら、いなかった。我々7人だけだった。

予約者の名前などを身分証明書で確認され、アームバンドを渡された。それ以外の物は全て、100円ロッカーに入れた。腕時計ネックレスも入れた。メガネは流石に不安で、掛けていた。

時間になった。12:20である。モニターの周りに集まって、白杖を一本ずつ渡された。モニターで何とか課長だか係長だかとズーム会議だと言われたが、これは通信ではなくビデオだったと思う。あちらは手話をしながら注意事項などを説明してくれた。あ、この人はドラマに出てくる人じゃないよね?

白杖は鉛筆を持つように持つ、と言われて驚いた。そうか。そうやって繊細に情報を読み取って行くのだな。杖を左右に動かして、段差や地面の様子などを確かめて歩くらしい。それから、手も使うわけだが、指から行くと痛いので、手の甲から優しくという事だった。これも初耳。だが・・・守れたかな?どうだったかな。

一通り説明を受けたら、今度は明るい所での白杖体験。実際に点字ブロックの上を歩いてみる。最初は目を開けて。次に目をつぶって。目をつぶる時には、目を開けている人が声を掛けて。私は何度も、

「チョコナッツさん、もう少し左へ」

と言われた。目をつぶると、真っすぐが全然分からない。白杖で地面を触っているのだが、凸凹はよく分からなかった。ちなみに、他の人はもっと真っすぐ歩いていた。私は右へ行ってしまう傾向があるらしい。

そうだ、大事な事を忘れていた。ビデオを見せられた後、アテンドを紹介されたのだ。この体験をサポートしてくれる人。グッチさん。白杖を持っていて、目が見えないようだ。いや、もう分かっている場所だからか、杖はほとんど使わずに歩いている。まるで見えているように。でも、私たちが順番に体験をしている時に、終わった事を声で知らせないと分からなかったので、やっぱり見えていないのだなと分かった。

さて、ここからは、いよいよ暗い部屋へ入る。この後の事は、これから体験する人は読まない方がいいかもしれない。いわゆるネタバレありだ。

ネタバレ注意!全盲体験

いよいよ、部屋へ入った。我々7人とグッチさんの8人で。最初の部屋は一つのスタンドの明かりだけが点いている、薄暗い部屋だった。扉があって、その扉の所には札が。ドラマで福山雅治さん演じる皆実捜査官が泊まっている、ホテルのスイートルームと同じ番号だとか。つまり、扉の向こうは皆実捜査官のお部屋が再現されているそうなのだ。ただし皆実さん仕様で。つまり真っ暗。

そこへ入る前に、まずここで真っ暗闇に慣れましょうと言う。明かりが消え、真っ暗な中、みんなで手をつないで丸くなった。そしてニックネームを教えあう。私が「チョコナッツです」と言ったら、グッチさんが笑っていた。そうなのだよ、リアルに呼ばれるなんて思わずにつけたハンドルネームだから、なんか変。でも、ここにいる皆さんは私を「チョコナッツ」と認識してくれているので、他のニックネームにしたらおかしな事になる。だから仕方ない。しかし、チョコナッツって言いやすいようで、実際に言おうとすると言いにくいな。私には。

ニックネームを確認しあった後、

「それでは、早速ホテルの部屋に入ってみましょう」

とグッチさんが言った。ええ?今から?このまま?まず入り口が分からないけど?みんなちょっとだけパニック。手探りで何とか移動する。白杖を使えば衝突は防げるものだ。

「これ誰?」

「チョコナッツです」

というやり取りが何度もあった気がする。けっこう密集していて、ごちゃごちゃと進んだのだ。壁を伝って歩いて行くと、何とかホテルの部屋の中に入れた。

部屋の入り口辺りに集まり、ミッションを聞いた。皆実さんがスマホを聞いている(情報を得ている)方法で。だが、早口過ぎて聞き取れない。少し聞き取れた人もいた。ミッションは部屋の中を探検しろというものだった。

部屋の中を自由に回ってと言われても、何をどうすればいいのか分からない。だが、グッチさんに促されたり、誰かが何かを見つけたらそれを確認しに行ったりして、探検していった。絨毯があったり、ソファーがあったり、暖炉があったり。グッチさんが、

「それでは、私の方へ来てください」

なんて言うと、え?どうやって?と思うが、声のする方へ向かっていくとちゃんと行ける。ソファや暖炉を触っていると、どんな形で、どのくらいの大きさなのかが分かってくる。

また一つドアを抜けた。そこにはテーブルと椅子があるという。

「では、椅子に座っちゃってください」

とグッチさんが言う。いや、椅子なんて探せるの?と思ったら、すぐ近くにテーブルがあり、横へ少しずつ手を動かしていったら椅子があった。座る事はできる。

それにしても、目を閉じていても開けていても全く同じ。真っ暗だ。こんな暗闇はなかなか体験できない。メガネは無用の長物と化している。

テーブルの上に籠があるよ!と言う人がいて、手探りで探し、中の物を触ったら、とげとげしていた。パイナップルのようだった。レモンもあると言われて、手に触れた後、その指の匂いをかいだらすっごくいい匂いだった。でもこれ、本物のレモンの匂いだっけ?「レモンの香り」の匂いのような気もしたが。

「皆さん、喉渇きませんか?」

とグッチさんが言う。そして、今から飲み物をくれるという。なんと、ビールか「なっちゃん」か水。ビールを選んだ。せっかくだから高価な飲み物で。せこい。ビールもあれだな、高いチケット代に含まれているからな、と思った。

まず思うのは、こぼしちゃうじゃないか!という事。でも、グッチさんが

「前から行きますよー」

と言って、紙コップをテーブル上でスライドして渡してくれて、そろそろと手を伸ばすと指先に触った。そうなると、もう手元に引き寄せるのはなんでもない事だ。目が見えなくても飲み物は飲める。ビールは冷たい。

「これ発泡酒だよね」

なんて言っていたのだが、グッチさんが銘柄を当ててくださいと言った。適当に発泡酒の名前を言っていたら、サントリーの最近出たビールだという事だった。そっか、もしかして協賛企業さんの。なっちゃんも「オレンジジュース」ではなく「なっちゃん」と言った辺り、協賛の匂いがしますな。知らんけど。

私たちは、それぞれの位置を確認し、このテーブルが長方形だという事を知った。お誕生日席に片側一人ずつ座っていて、長い辺には3人座っている。すごく細長いテーブルのようだ。そして気づいた。声だけで、誰だかよく分かる。

ビールは全部飲まなくてもいいですよ、とグッチさんが言ったが、ちゃんと飲み干した。いや、ここでビールが飲めるとは思ってなかったな。そして立ち上がり、部屋を出る。

「少しだけ明るい部屋へ出ますよ」

とグッチさんが言う。そこは、扉の隙間から隣の部屋の淡い光が漏れているだけの部屋だった。みんなが眩しいと言った。私は眩しくなかった。

「明るい所に出るのが怖い!」

とみんなが言った。私は怖くなかった。そして、グッチさんが扉を開けた。隣の部屋の照明は暖色系のほんわかした明かりで、全く眩しいとは感じなかった。でも、皆さん眩しい!と言っていた。あれ?目の悪い人は瞳孔が閉じないから、眩しいと感じるものではなかったか。でも、きっと違うのだ。どのみち私の目はおかしいのだ。

答え合わせ

明かりのついている部屋へ入ってくると、ショーケースの中にドラマの小道具がいくつか入っていた。どれもなじみがない。3話くらい観たのに。展示物は初回の方に出てきた物なのかな。

壁に、先ほど入った真っ暗な部屋の見取り図があった。私が座ったのはここだよね?とか、暖炉はこれか!とか、答え合わせだ。そして、グランドピアノがあったみたいだった。それ、触りたかったな。でもおでこをぶつけたら痛そうだな。

グッチさんとはお別れし、隣の部屋にある、ドラマの台本や衣装などを見た。そして、ロッカーのある最初にいた場所へ戻ってきた。1時半ちょっと前だった。

けっこう皆さん、緊張したと言っていた。真っ暗闇の中、ずっとドキドキしていたとか。うーん、私はあまりドキドキしていなかったな。そして、私の第一の感想としては、

何とかなりそうだな

という物だった。目が見えなくても、生活自体は何とかなりそうだ。字を書いたり読んだりが不便で、年を取れば耳も悪くなるし、色々不安ではある。でも、思ったよりも怖いものではないと思った。ただ、私は言葉が出にくい時があるので、目も見えず、言葉も出ないとなったらしんどいな。音声入力とかもつらいし。

その後、お茶をして帰った。家に帰ったら生協の箱が玄関脇にどっさりあって、片づけて、洗濯物を取り込んで、そしてぐったり。もう時間的にも遅くなって、パソコンを立ち上げる気力が沸かなかった。もう今日はいいか、と思った。ちょうどそのタイミングで、今日のメンバーから

「普段使ってないアンテナをオンにしたせいか、疲労感がものすごい」

という投稿があった。しばらく転がっていたと。分かるー!しかもお腹が空いたよー!

と、私も同じだという投稿をした後、ちょっと気づいてしまった。地下鉄の階段を無理に上ったり、生協の箱を片付けるのに汗だくになったりしたからだるいのでは。お腹が空いたのは、お昼ご飯が早かったからでは・・・。

でも皆さん、一時的に視力が良くなったとか、嗅覚が違う感じになったとか、音がよく聞こえる感じになったとか言っていた。それだけ、インパクトの強い体験だったようだ。

子供たちが帰ってきたので、全盲体験したけど、けっこう大丈夫だと思った~と言ったら長男が、

「いつもメガネ、メガネってやってるからだよ」

と言った。ん?私そんなにいつもメガネ探してる?