世の中、「鎌倉殿の13人」や「silent」といったドラマの考察に溢れ、SNS上でも感想を呟く人が多かった。しかし、私は「君の花になる」にハマった。いや、最終回を迎えてからジワジワきている。
なぜ、後からジワジワきたかと言うと、歌の力が大きい。主題歌が好きになって、ドラマが終わった後もその主題歌を聴きまくる事はよくあるが、このドラマはひと味違うのだ。
第1話の最後にやられた
番宣を見た時、ああ、アイドルものかぁ・・・と、見るかどうか迷った。
私は男性アイドルがけっこう好きである。だからこそ、ドラマにされるとそこはナーバスになる。
たとえば、アイドルが身近な人と恋愛するとか、そういうのは見たくない。それから、仲間割れとかグループ内の喧嘩とかも見たくない。アイドル好きな人には分かる感情ではないかな?
でも、アイドル好きだし、やっぱりこのドラマは観てみたい気もする。うん、第1話を観てみて、それから見続けるかどうか決めよう、と思った。
第1話を見始めて、やっぱりけっこう辛い。8LOOM(ブルーム)というグループは、メンバーが一人抜けて7人になってから、売れていない。グループの雰囲気も悪い。同じ事務所の売れているグループと比較されて、もう事務所からも契約を打ち切りにされるかも・・・
そんで、主人公は元高校教師のあすかで、ブルームが済む寮の寮母になる。なんだか空元気で人の気も知らないではしゃいで、ああ、私の嫌いなタイプの女子・・・
もう、次から見るの辞めようかな、と思っていた矢先。
ブルームが同じ事務所のグループのコンサートで、最後に一曲だけ歌わせてもらえる事になる。デビュー曲の「Come again」だ。その歌をブルームが歌って踊った時・・・うそ、この曲良すぎる!
何だか分からないが、歌が良い。踊りもなかなか。ドラマの中で準主役のブルームの一人ダンくんが作詞作曲した事になっているのだが、こんなに良い曲だとは。
思ったよりも深い話
というわけで、歌に心をわしづかみにされた私は、その後全て視聴したわけだが、やっぱり主役の女子は好きになれない。そして、ブルームのメンバーも、特別好きにもならない。案の定恋愛もののようだし。ヤキモチはちょっと可愛かったけど。
ただ、話は単純ではなかった。あすかが教師を辞めた理由が、ずっと明らかになっていなかったが、彼女は元職場の高校の中に入ろうとして、過呼吸で倒れてしまう。そしてやっと理由が明かされ、あすかはとても良い先生だったのに、やる気搾取され、挙げ句生徒に裏切られ・・・という、意外と社会派ドラマだったのだ。それに、ブルームの友情ものでもあった。辞めていったメンバーとのやり取りでは、役者と一緒にこっちも号泣してしまった。
そして、ブルームが人気者になるのだが、あすかはブルームの元を去らなければならなくなり、ダンは曲を作れなくて、メンバーもそれぞれやりたいことが見つかって、解散しようという話になってしまう。だんだん楽しくなくなってきたが、もうここまで来ると先が気になる。
そして、最後にはやっぱり解散しないという事になり、けれども3年間の休みを経て、待望の新曲が出る。3年間の休みって・・・BTSみたいじゃないか・・・と言う話は置いといて、待望の新曲をお花畑の中でブルームが歌ったのだが。
ああ、この曲は・・・
知っている子が歌い踊るのは
待望の新曲は、このドラマの主題歌だったのだ。ずっと、ドラマの中で流れていた、感動のシーンに使われていた曲。
その曲に歌詞と、そしてダンスがついている。いい。すごくいい。ほっこりしながら観ていた最終回。
そしてドラマは終わった。
最後にもう一度、あのお花畑のシーンを観てから録画を消そうと思って、ドラマが終わって数日後に観た。そして録画を消した。
だが、頭からその曲「君の花になる」が離れない。そうだ、YouTubeにあるんじゃないか。検索した。あった。お花畑のシーンではなく、セットなのか舞台裏のような空間でのダンスバージョン。
そして、他にもブルームの曲のMVやダンスバージョン、ステージで歌った動画もいくつもあった。
前宣伝で、ブルームが期間限定で実際に歌手活動をするというのは聞いていた。自分の推しを見つけてみては?なんて書いてあった。ドラマを観ていて、特に推しはいなかった。でも・・・
ドラマを最後まで観た後、かなり彼らのキャラクターが私の脳にインプットされており、その「知ってる子」が歌って踊っているのを観るとすごく感慨深い。
彼らは歌も上手いし、ダンスも上手。それに、一曲だけならまだしも、何曲もの振り付けまで覚えたのかと思ったら「ああ、頑張ったんだなぁ」と思いもひとしお。
そうか、確かに自分の息子とか、息子の友達とか、よく知っている子が踊ったりしていたら、それだけでうわー、キャー、ってなるな、と思った。だから、アイドルの私生活のような動画をたくさん観ると、それだけでもう推しちゃうんだな。
架空の人物だけど、本物のアイドルだって・・・
しかし、ブルームが歌って踊るのを見て「知ってる子」感覚を味わっているが、実際知っていると思っている彼らは、役者さんが演じているのだ。
つまり、架空の人物なのだ。不思議ちゃんで可愛いキャラの彼も、実際には違うだろう。熱い思いを持つ彼も、実際とは違うはず。
でも、演じているとはいえ、じゃあ本物のアイドルは本当の素を出しているかと言えば、それは疑問だ。
アイドルだって、事務所の方針でこういうキャラで、と言われて、それを「素」だと思われる部分でも演じている可能性は十分にある。ましてや、カメラが回っている前では、アイドルじゃなくたって誰でもある程度自分の見せたい自分を演じているのだ。
とはいえ、やっぱりドラマは筋書きがあって、脚本家が書いた言葉をしゃべっているわけで、かなり架空の人物だ。ブルームは実際にはいない。期間限定だという話だから、もう人前で歌ったり踊ったりはしないだろう。これ以上動画は増えないのだろう。
それにしても、ドラマで普通に盛り上げる為に使っていた主題歌を、最後に新曲として持ってくるのは上手いな。あれでやられたな。ずっと聞いていたから、ドラマの感動シーンと共に流れていたから、良い曲に聞こえるに決まっているし。いやー、上手いな。やられたな。
というわけで、君の花になるの考察であった。最後にその主題歌のダンスバージョンの動画を付けておく。