長期休みはカラオケへ
よく、長期休みには子供達を連れて、近所のカラオケに行ったものだ。
だんだん一緒に行かなくなって来た。子供達も友達と行くようになったし。
だが、歌が大好きな次男は、ちょくちょく独りカラオケに行く。私よりも頻繁に独りで行っている。
緊急事態宣言中は、カラオケボックスが休業してしまい、その後私は合唱をやっていたもので、ここ半年ほどは私はカラオケに行っていなかった。
次男が、
「お母さん、久しぶりに一緒にカラオケ行きたいね」
と言うので、冬休みに行こうと言っていた。だが、年末は旅行などがあって行かれず、お正月の後は次男が毎日部活などがあって、結局一緒に行かれずに3学期が始まってしまった。
先週、私的には暇だったので、久しぶりにカラオケに行って来た。それが13日の木曜日だ。次男は学校があるので私独りで。次男は学校帰りによくカラオケに行くが、その時間は私は夕飯の支度をしなければならないので、合わせる事は出来ないのだ。
久しぶりに1時間ぶっ通しで立って歌ったら、その日の夕飯後、背中が痛くて辛かった。背筋痛だ。歌う時に力を入れるから。のどもちょっと痛くなった。
一緒に行こうよ
「明日の予定は?」
「それがさ、久々に何もないんだよ」
私が落語に行った金曜日の夕方。次男に明日の予定を聞くとそんな答えが。
「じゃあ、ゆっくり寝られるね」
と、私が言うと、
「ねえお母さん、カラオケ行かない?」
と、来たもんだ。
次男の高校は、隔週で土曜日に授業がある。日曜日には部活がある場合が多い。土曜日に授業がない日は部活が入る事も多い。だから、何もない日は少ない。そして、日曜日も何もないそうで、テスト前でもないのに土日ともに学校に行かない日は珍しい。
それはいいが、カラオケ・・・私は昨日行ったばかり。今のところまだ体に疲れが残っている。しかし、明日になればそれも治るだろう。せっかくのお誘いだし、
「いいよ」
という事で、一緒にカラオケに行くことになった。
「あ、でも、土曜日だから高いんじゃない?」
いつも行っている近所のカラオケ屋は、平日の昼間が安い。だから、長期休みにいつも行っていたのだ。平日の昼間に子供達が行かれるから。
「そしたら、自由が丘のカラオケ屋にする?そこは土曜日も高くないよ」
と言う。次男が時々利用するカラオケ屋があるらしい。
「でも、電車賃かかっちゃうし。時間もかかっちゃうしなあ」
少し高くても、近所のカラオケでいいかなーとその時は思った。
「俺はどっちでもいいよ」
などという会話があり、あまりはっきり決まらないまま金曜日が終わった。
自由が丘へ行く?
土曜日の朝、とにかく午後からカラオケに行くことだけは決まっていたが、はて、どっちのカラオケにするかもう一度考えた。
洗濯物を干しながら、ふと
「息子と自由が丘でデート」
という言葉が頭をよぎった。自由が丘。どうやら近隣では「がおか」と略すらしい、そのおしゃれな街。何度か行った事もあるのだが、「がおか」と略す事は最近知った。多分、次男が通学で通るようになってからだろう。
息子と「がおか」へ行く・・・それがなんか、楽しい事のように思えた。
だがしかし、私は「息子とデート」という言葉が実は嫌いだ。息子が小さい時に、年上の友達がそういう言葉を使っているのを聞いていやーな気持ちがしたものだ。しかも、
「息子は恋人みたいだよ」
とか言っているのを聞いて、吐き気がした。何言ってるんだか。いくら可愛くても恋人とは違うだろう。そんな風に思って。
時を経て、自分の息子が大きくなった。息子は推しのアイドルのようだとは思うが、恋人とは違う。タイ人俳優がお母さんとハグしたりキスしたりするのを見て、羨ましいと思った事もあったが、実際息子が大きくなってみたら、やっぱり私は日本人。そういうのは無理だ。恥ずかしいのと、ちょっと気持ち悪いのと。ハグはちょっと嬉しい気もするが、それは親子としてのハグであって、恋人とのそれとは全く違うものだ。
で、話を戻そう。だから、デートではないが、デートではないのだが、それでも息子と自由が丘へ行きたい、と思った。それで、今日のカラオケは自由が丘にしようと思った。
考えすぎる癖
まだ洗濯物を干している私。またもやふと、頭をよぎった事が。
私がすっかり「次男と自由が丘へ行く♪」というるんるん気分に浸っていると、もしかしたら夕べから今朝にかけて、次男に予定が入って、
「ごめん、友達に誘われたから出かける」
なんて、あっさりフラれるのではないか。もしそんな事になったら、浮かれていた分だけショックなのでは?
そして、そうなったら・・・面白いブログネタになるな、などと思って逆にニンマリした。
メンタル忙しいな。そんな、ドラマチックな展開をすぐに思いつくのは、いつもドラマを作り出そうとしている小説家だからなのだろうか。浮かれてショックを受けるもよし、浮かれたまま行くのもよし、というわけで、お昼に次男を起こしに行き、
「おはよう!今日、カラオケ行ける?」
と声を掛けた。
「行ける、行ける」
と、寝ぼけ眼で言ってくれた次男。
「がおか行こうぜ!」
私がそう言うと、
「あ、そっちにする?いいよ」
と、ちょっと笑いながら次男が言った。
歌う親子
なぜ次男が私と一緒にカラオケに行きたがるかと言うと、上手くなった自分の歌を聴いて欲しいからだ。
よく練習しているし、昔から歌う事が好き。
どのくらい好きかと言うと・・・
昔、子供達を寝かしつける時には、いつも子守歌を歌っていた。絵本の読み聞かせではなく、子守歌だった。私が音読が苦手で歌が得意だからだ。
長男の事は、ずっと子守歌で寝かしつけていた。しかし、次男はというと、これが上手く行かない。
何か歌おうとすると、あれを歌って、これを歌ってとリクエストしてくる。リクエスト通りの歌を歌うと、今度は次男も一緒に歌い出すのだ。そうして、いつまで経っても寝ない。
お分かりだろうか?歌は聴くよりも自分で歌うのが好き。子供の頃は音痴でも、とにかく歌いたい。で、歌っていて寝ないから、結局子守歌も早々に辞めてしまった。次男は寝かしつけなくても、けっこう独りでサクッと寝る子だったので、寝かしつけるという作業はあまり必要なかったという事もある。
それにしても、よい音楽を聴く事と、下手でもいいからどんどん歌って行くのと、どちらの方が歌が上手くなると思うか?
うちの長男は、2歳の時から全く音痴ではなかった。声が高くて、いくらでも高いのが出るから、「千の風になって」を幼稚園で覚えてきて、それをカラオケで歌わせたら、1オクターブ上で上手に歌っていてびっくりしたものだ。
しかし、声変わりをして、高い声は出なくなり、好きな歌はボカロばかり。一緒にカラオケに行っても、上手いのか下手なのかよく分からない。速い曲が好きで、声を聴かせる感じではないし。
一方、次男は人の歌を聴かなかったので、いつまでも音痴だった。そう、長男はリコーダーが得意で、独学でピアノも弾くし、高校では吹奏楽部に入ったので音感はばっちりだ。それに比べると次男は楽器をやったと言えば中学から独学でかじったギターくらい。ギターが弾けるのはすごいのだが、音感をは育むほどやっていないので、音を外す事がある。
しかーし。歌の練習量がすごい。多分、勉強の合間とかにたくさん練習しているのだろう。Adoの歌とか、難しそうな歌とかをきっちり覚えていて、上手いのだ。ただ、上手く聞こえても得点が伸び悩む。私が90点以上出すのに、次男は86点とかで、いつも首をかしげる。いや、でも雰囲気出ててかなり上手いと思うけどね。でも、細部がね。
私が古い歌ばかり歌ったら、きっと次男はつまらないだろう。けれども、私は今でも頑張って新曲を歌う。いつも、新しい歌を覚えようとしている。一年くらい前の歌になってしまうが、同世代の人は大抵30年前の歌をずっと歌い続けているから、私なりにすごい事だと思っている。まだまだ頑張るぞ。
次男は、出来るとは思っていないが、出来るならば歌手になりたいと思っているようだ。私がいろいろと、歌手の真似事をして来たから、一目置いているのだと思う。私の意見を聞くし、いや、つまりは褒めてもらいたいのだ。
「この前一緒に行った時より上手くなってたでしょ?」
帰りの電車でそう聞かれた。うーん、そうかも・・・?
「そう、だね。上手くなってたよ」
そう、答えた。少なくとも「うっせえわ」と「踊」は上手かったな。あと「マリーゴールド」もな。あ、男性の歌ももちろんたくさん歌っていたけれど。
疲れた?
夕方帰って来て、私はすぐにパソコンを立ち上げ、持って行った物などの片付けをし、更に夕飯の準備、洗濯物の片付けをテキパキとこなす。一方、次男はコートも脱がずにソファに座り込み、スマホを眺めている。
「手を洗ったら?」
と言われて渋々立ち上がり、手洗いうがいをしてコートを脱いだと思ったら、ソファに倒れ込んで眠ってしまった。おいおい、そんなに疲れたのかよ。カラオケ2時間だぞ。
昼まで寝ていたのに、また昼寝までしてしまった次男。夕飯が出来上がったら起きた。食欲モリモリだったので、一安心した。具合でも悪いのかと思った。そして、思い出した。前日に筋トレやり過ぎて筋肉痛だそうで。だから眠いのかな。
そして、私も翌朝には腹筋周りが筋肉痛になっていた。歌ったばかりなのに。でも、今回のどは全然痛くなかった。あーそうか、甘い物を飲みながらだったからかも。前回は爽健美茶にしたが、今回はカフェインレスの飲み物は甘いのしかなくて、のどに良いと言われるホワイトウォーターを飲んでいたので。
のどのケアを気にするならば、歌いながら飲むのはホワイトウォーター(カルピス)が良い。オレンジジュースなど酸味のある物は、唾液が出すぎて歌いにくい場合があるので。
というわけで、デートではない、断じてそんなんじゃない、息子とカラオケの一日だった。あー、ちなみに自由が丘の駅からすぐのカラオケ屋だったので、「がおかデート」などではなかった。カラオケの後で、どこか寄る?と次男が聞いてくれたけれど、夕飯の支度の時間が迫っていたので、どこにも寄らずに帰って来たのだった。やっぱり、色気も何もない、主婦で母親の私である。まあ、それで良い。