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高2男子のゴッホ展。翌朝に母が解説

昨日は例の周年実行委員会があり、早くから夕飯を作って出かけて、私としては忙しかった。もうね、みんな仕事をどんどんやってくれて、私の仕事が残っていない。だがそれでいい。みんながそれで幸せなら。(9/29のブログ参照PTA活動など、ボランティア沼にずぶずぶ填まって抜け出せなくなる理由 – たかんなお年頃 (takan.site)

鬼日程の遠足

さて、昨日は高2の次男の遠足だった。ずいぶん前に予定されていたものが、延期されて昨日になったようだ。だからなのか、中間テストの最終日に遠足という鬼日程。だからなのか、じゃないな。だからなのだろう。そうすれば、授業数を減らさずに実施出来るわけだから。

遠足は、修学旅行の練習だそうだ。決められた範囲内の観光地で遊んで、集合場所に集合する、という練習。集合場所は上野駅。学校に全く近くないのになぜだか分からないが。いや、練習だからむしろ近いとダメだったのかもしれないな。

うちの次男のグループは、上野で観光する事にしたそうだ。他のグループは東京スカイツリーとか、東京ドームシティとかへ行ったようだが。動物園に行きたいのかと思ったら、あそこは無理だからと、どこか美術館とか博物館とかに行こうとしていた。

なぜ上野?と思ったら、交通費が安く済むからだそうだ。ケチっているのだ。うちの子はそれでいいにしても、グループの子が皆それで良かったのか、と疑問だ。

修学旅行の練習なら、事前学習とか、せめて事前に計画を立てておくくらいはすると思うだろう。しかし、何せ当日までテストなのだから、何にも決めていなかった。むしろあっぱれ。

予約が必要!?

前日の夜、次男が私に、

「今、西洋美術館がやってないらしいんだよね。改修中で。どこに行こうかな」

と言ったので、スマホで検索しながら、

「科学博物館はミイラ展がやってるよね。国立博物館は仏像とか・・・アジアの空想動物園だって。面白く無さそう(笑)」

もちろん、興味のある人には面白いものなのだが、普通の高校生にはちょっと。次男は苦笑すると、

「西洋のものはないの?」

と言うから、

「ああ、あれがあるじゃん。東京都美術館

と言うと、次男が地図を調べた。

「ああ、あそこね」

次男がそう言った後、私は重要な事を思い出した。

「あ、でも今は予約しないと入れないんじゃない?」

「うそっ、やばいじゃん」

次男がそう言い、二人で色々調べ始めた。そして、東京都美術館では今ゴッホ展をやっている事を知った。

「ゴッホ展、行きたい!」

次男がそう言う。なんと、特別展であるゴッホ展も高校生以下は無料なのだ。羨ましい。それで、とにかく無料なら予約しておけばいいんじゃないか、と思い、早速予約画面に進むが。

「もう夕方しか空いてないね。しかも△だ。何枚必要なの?」

操作していると、一枚しか予約出来ない事が判明。それが、一人一枚なのか、もう一枚分しか空きがないのかが分からない。

「みんなに連絡して、それぞれ予約してもらうとか?それか、うちの家族総動員で予約する?」

なんて言っていたが、調べていくと当日予約分もあるらしい。ツイッターで随時チケット情報を発信している模様。まあね、平日に美術館に行くのはお年寄りが多いし、お年寄りの多くがオンライン予約出来ずに行っちゃうもんね。多分。

次男がグループのメンバーと連絡を取ると、みんなゴッホ展には乗り気だったそうで良かった。やはりゴッホはみんな知ってるようだ。

当日。予約なしで現地へ

というわけで当日。テストの後に学校でお弁当を食べ、出発したらしい。どうなったかなと思っていたら、ちゃんとLINEで、

ゴッホ展行けたわ

と連絡してくれた。良かった良かった。帰って来ても私がいなくて、やっと夜会えた時に聞いた話によると、1時に東京都美術館に行って3時からの予約をし、それから科学博物館に行ったら枠が空いていたから予約していなくても入れてくれたそうだ。どちらも時間が足りなかったと言っていた。

ゴッホの絵はやはり良かったそうだ。いろんな角度から見たし、遠くからも見たと。遠くから見るのは私がいつもオススメしていて、

「遠くから見てる人、ほとんどいなかったよ」

と、内緒話でもするように言っていた。驚いたという感じで。そうなのだ。大きな絵は遠くから見ると素晴らしい。特に印象派の絵は1メートルのところで見るとタッチが荒い。それを3メートル以上離れて見ると、急に変わるのだ。光を演出している絵ならば、遠くから見ると本当に光り輝いている。

「あとね、この絵に似てる絵があったよ」

と、壁に掛かっているルノワールの絵(ジグソーパズル)を指さした。

夕べ話せたのはそのくらいだった。次男が自室へ行った後、パンフレットがリュックに入っていると言っていたのを思い出し、出してみた。そして、さっきこの絵に似ていると言っていたのは、本当にルノアールの絵だった。

お母さんの解説が欲しかった

さて、今朝は部活が午前だと言うので早く起こした。そして、あの絵がルノワールだった件を話した。

「あ、そうだった?名前見てなかったよ。あはは」

と言っていた。けれども、ルノワールの絵をルノワールだと分かった辺り、いや、似ていると思った辺り、なかなかやるじゃないか。

それで、改めてパンフレットを見て、私はさらっと語る。

「オランダ時代は重厚な感じで、フランス時代は明るいでしょ。これ、印象派時代ね。これがルノワールの絵と似てるでしょ」

「アルル時代はもっと明るくなる。でも、ちょっと病んできて変わってくるよね。この流れからキュービズムが始まるわけよ。で、最後の辺りはすっかり心が病んでるから、ちょっと暗いでしょ。この流れがフォービズムになっていくのよ。ほら、えーと、ピカソとか」

「あとさ、黄色い家の背景の空の色が微妙でさ。これ、昼なの?それとも夜?

次男が聞く。

「これはだよ。灯りがあまりないのに人がたくさんいるでしょ。」

「やっぱり?俺もそうだと思ったんだよね」

「これさ、元気で明るい時ならもっと水色とか、明るい青の空にするんだけど、病んでるからこの色なんだよ。これさ、家が黄色くて明るいのに、空の色のせいでなーんか不気味でしょ?晩年にはこういう不気味な色の取り合わせが多かったわけよ」

「そうか・・・。見てる時にお母さんの解説が欲しいなあってちょっと思ったんだよなー」

次男が今まで絵を見る時は、プチ(エセ)学芸員がいつも一緒にいて解説してくれたからな。つまり私ね。

そうして、部活へ出かけていった。この朝の忙しい時に何を語ってるんだか。まだ他の家族は寝ているというのに。

良い絵は良いが、知っていると面白い

美術館に行ったら、おみやげ(関連グッズ)を見るのが楽しいのに、時間がなくて見られなかったそうだ。残念だ。何か買ってきてくれたら良かったのに。それにしても、無料とは羨ましい。重ね重ね言ってしまうけれど。

親に連れて来られる小さい子とは違って、高校生はあまり親にも着いて来ないし、よほど興味が無ければお金を出して美術館へは行かないだろう。が、見てみたら案外面白かったり、予想外に素晴らしいものに出会えたりする。それで将来の進路が変わる事もあるかもしれない。だから、無料にしてなるべく多くの高校生に足を運んでもらいたいものだ。どこ目線で言ってるのか自分でも分からんが。

私は学芸員の資格は持っていないが、大学では芸術学なんぞを学んだ。比較文化に興味があり、言語、音楽、建築、芸能、いろいろ学んだけれども、最終的には絵画の、しかも印象派の時代を一番勉強した。特に専攻したのはジャポニズムで、ジャポニズムの影響を受けたのが印象派だからだ。卒論のテーマを決めるためにルノワールやモネ、ゴッホの伝記も読んだ。結局卒論は、万国博覧会とジャポニズムについてをテーマにしたのだが。

何も知らなくても良い絵は良いけれど、知っていると更に面白い。生活には何の役にも立たないような学問だが、文化とは心の潤いだから、生活と必ずしも結びつけるものではなかろう。

とにかく、無事に遠足は終わった。今朝の新聞で、次男がゴッホ展を見ている時に上野駅構内で刃物による傷害事件があったと知り、1時間ずれていたら遭遇していたかもしれないと思ってぞっとしたのだった。

ゴッホ作品集

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ジャポニスム―印象派と浮世絵の周辺 (講談社学術文庫)