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変面を見た。すごい!中国の国家機密なんだって。

昨日、日中芸術文化フェスティバルを観に行った。これも申し訳ない、チケットをもらったので。

6つの演目があり、日本人アーティストと中国人アーティストと、交互に出てくるような感じで1時間半のステージだった。

東京の外れ、品川区の区民ホールでの開催だからか、チケットもお手頃価格。こぢんまりとしたホールに、席は一つおきにしか座れないようにしてあった。それで、客席のほぼ中央に座る事が出来て、非常に見やすかった。

これ、新しいなあと思ったのは、後ほどオンライン配信されるという事。こちらもチケットが必要だそうだが、日中両国で配信されるそうだ。

よって、司会者は日本語と中国語と両方話していた。私はちょこっと中国語を習ったことがあり、「中国」が「チョングオ」、「日本」が「リーベン」だという事くらいは知っているので、何を話しているのかが少し分かる感じだった。そういうのって、嬉しい。あ、日本語→中国語の順で話すのだから、あらかじめ何を言うか分かっていて聞いているのだから・・・分かって当然か!

実は、それほど期待していなかった。チケットをもらったから行ったけれど、わざわざお金出して行く感じじゃないよなーと(大変失礼!)、そんな不遜な事を考えていたのだった。

しかし、私の考えは間違っていた。実際、日本文化に関しては「既知感」があり、つまり目新しくない。よって、感動はそれほどなかった。楽しかったというのはあるけれど。そして、これも知っていると思っていた中国芸能の方だが、こちらがまた、何というか、感動した!それを少し詳しく書いていこうと思う。

本当はアンケート用紙に全部書きたいくらいだった。けれども終わったら義母と一緒に帰らなければならず、ゆっくり書いていられなかった。なので、今ここで書こうと思う。もし検索してたどり着いてくれたなら、読んでもらえるはず。

もし、オンラインでこれから観ると決めている方は、多少ネタバレになるので読まないか、薄目で読んでいただきたい(意味あるのか?)。

演目1:mille baisers(ミルベゼ)による「Music voyage~音楽の旅~」

ギターヴァイオリンのデュオのミルベゼ。久しぶりに聴く生演奏だった。マイクは付いているものの、生演奏の楽器の音というのはやはり素晴らしい。

特に、ヴァイオリンの音の伸び強弱のいやらしさ(褒めている)、ちょっと眠くなるくらいの心地よさ(褒めている!)、素晴らしかった。

ヨーロッパを旅しているような気分に、というコンセプトだった。スクリーンにはヨーロッパの写真が映し出されていた。確か2曲目の時、居酒屋、いやアイリッシュパブの写真が映し出されていて、途中で湖のある自然の写真に変わった。

「あー、確かにこういう感じだ。君の名は。に出てくるシーンを思い浮かべるよなー」

と、ちょっと感動して聴いていたら、その曲の後でヴァイオリンの方が

「途中でなぜかスクリーンの映像が変わってしまったのですが・・・」

と言っていて、ショック。途中でテーマが変わったのではなく、ずっとアイリッシュパブの雰囲気の曲だったらしい。私の耳も当てにならん

それにしても、曲も良くて素敵だった。ヴァイオリンが変幻自在にというのかな、自由に動いているのに対して、ギターは控えめにリズムを刻んでいて、この二つの楽器も合うなーと思った。

いや、語彙の選択がいまいちかもしれないが、本当に感動するほど良かったのだ。だがしかし、目新しさはそれほどなく、「日本芸能」っぽさは無く、かといって「欧風」だというほどではない。強いて言えば「現代の日本」っぽかったかな。後から思えば唯一の

演目2:中西 舞(張 屹)さんによる「情熱の舞(インクパーション/書道舞踊)」

同じく舞踏家である双子の妹さんと、アメリカで書道舞踊を始めたという舞さん。書道舞踊とは、あまり知られていないパフォーマンスだ。

だがしかし、最近書道や美術でダンスのようなものを取り入れたパフォーマンスは流行っていると感じる。中高生の書道部、美術部が、ステージでパフォーマンスをするというのは、よくあるのだ。

今日の舞踊はフラメンコ風だった。実は、私にはこれが残念だった。舞さんは足がすごくよく上がるし動きも綺麗なのだが、フラメンコの専門家ではないはず。一人でフラメンコ風のダンスをしていても、どうも「すごい!」というほど感動できず。もっと何かあるんじゃないかなーと、彼女の得意な分野の舞が観たかったなーとか、思いながら観ていた。

しかも、紙とインク(墨)が用意されているというのに、なかなかそれに手を付けない。やっと筆を手にして、字を書き始めたら、あっという間に終わりだった。もっともっと、「ダンスをしながら書く」という時間が長かったら良かったのに。

しかし、出来上がった文字を見た瞬間はびっくり。はっきり言って感動した。後でロビーに実物が飾ってあったので、写真を撮った。

左上の朱丸は、最初に「心」という地をとても美しく書いて、それを丸で囲んで塗りつぶしたのだ。そして、「舞」という字を書く時、最後の最後まで何の字だか分からなかった。これは踊りながらというか、ポーズを取りながら書いたのだが、それでこの字の美しさ!

演目3:楊 高坤さんによる椅子倒立芸(中国雑伎)

楊さんによる、椅子の上で倒立する芸である。

いや、これはね、最後の方で声を上げたよ。

椅子をいくつも積んでいく。その上で逆立ちをする。もちろん逆立ちは美しい。白いボディースーツを着て、体操選手のようだ。しかし、そのスーツの模様は中国っぽい

司会者から、あらかじめ「ハラハラドキドキするから、心臓の悪い人は目をつぶった方がいいかも」というような話があった。だが、高いところで逆立ちしても、この人は出来る人なんだし、そんなにハラハラしないだろうと思っていた。

椅子がどんどん運ばれて来て、上に積んで、ずいぶん高いところまで来た。しかし、私はまだハラハラもドキドキもしていなかった。だが、更に椅子が運び込まれ、楊さんが手にとって、それをちゃんと下の椅子にセットせず、ぐらぐらな状態で乗っけて逆立ちした時にはおーと思った。

更に、椅子を斜めに置いた状態で逆立ち。流石に私の手にも汗が

それだけではなかった。椅子を斜めに置いて逆立ちをして、足を横に持っていくのだ。いやいや、バランスが!

そして、更に片手を放すではないか!びっくりした。思わず「おー!」と声が出てしまったよ。その姿はまさに、宇宙遊泳している宇宙飛行士のようだった。階段状になっている客席の上の方に座っている私でも、彼を見上げているほど高いところで。

いやー、中国文化すごいな。

演目4:技音戯座(WAZAOGI-ZA)の祐子&泉さんによる「かっぽれ(俗曲)」

かっぽれ」という言葉は聞いたことがあるし、「かっぽれかっぽれ♪」と曲も何だか知っている気がするけれども、何なのかと聞かれるとよく知らない。日本史で習ったっけ?という感じだろうか。

祐子さんと泉さんが出てきた。たすき掛けした着物に、ねじり鉢巻き。メイクもちょっと滑稽な感じ。動きも少しコメディチック。そして、マイク無しでかっぽれについて説明してくれた。

面白かったのが、自分で日本語をしゃべりながら面白いジェスチャーも加えるのだが、その後中国語に翻訳してもらう時にも、同じジェスチャーをしていた事。中国語と日本語では語順が違うので、同じジェスチャーでいいのかなー?と疑問に思ったが、ちょくちょく出てくる固有名詞から察するに、ちゃんと言葉とジェスチャーがはまっていたような気がする。

ざっと説明すると、かっぽれとは江戸末期から明治時代に流行った大道芸で、滑稽な踊りなのだ。彼女たちの話によると、明治天皇が崩御した時に、フランスでは日本の国歌としてこの「かっぽれ」が流れたとか。本当かなあ。というか、「君が代」とあまりに違うので、本当だとしたら日本人には相当笑える。けれども世界の国々の国歌は明るい曲が多いので、かっぽれが国歌だと聞いても驚かないのだと思う。あー、日本っぽいなと思うくらいだろう。

踊りはそれほどすごいものでもなかったが、観客を巻き込んで、一緒に踊らせ(手だけだが)たり、手拍子をさせたりしたのが良かった。最初は恥ずかしいかなと思ったが、自分だけやっていない方が恥ずかしいと思い、思い切って真似して踊ってみたら、けっこう楽しかった。

演目5:帆之丞さん、藤田隆之さんによる日本の美「殺陣夢幻」

帆之丞さんは、朝丘雪路さんの相手役を長く務めた方だそうで、舞台や大河ドラマなどで活躍している役者さんだそうだ。藤田さんはそのお弟子さんだとか。大河ドラマは「武田信玄」に出演したそうだ。

これは、殺陣を見せてくれるのだが、曲に合わせてゆっくり。既に時代劇で激しい殺陣を観てきた私にとっては、何も目新しいものはない。ただ、最後の曲がバリバリなロック調の音楽で、そのロックに合わせて殺陣をしているのはかっこいいなと思った。

演目6:王 文強さんによる「変面(川劇)」

変面というのは、聞いた事があるし、テレビで少し観たことがあった。「川劇」という言葉は聞いたことがないが。

司会者が、あらかじめ話してくれた言葉が印象的だった。

「変面の技は中国の国家機密でして、出国する時に秘密を漏らさないという誓約書を提出するんです。なので、今日も王さんだけは着替えも見せてはいけないので、完全個室でした」

と。何?それほどまでに?私は興味を持った。

王さんが出てきた。すごくいかつい衣装を着ている。着替えを見せてはいけないと言うことは、服の中に何かからくりがあるのではないか。

王さんは大きな扇をひらひらさせていて、扇で顔を隠し、扇を取るとお面が変わっていた。普通はあの扇の裏に何か隠されているのでは?と考えるが、扇はひらひらと踊りながら表も裏も見せているので、何も無いことが分かる。

そのうち、扇で隠さず、振り向いた瞬間にパンとお面が変わった。分かったぞ!服の中にお面を引っ張り込んでいるんじゃないか?だから着替えを見せられないのでは?

そう思ってしばらく見ていた。お面はどんどん変わる。王さんは客席に下りてきて、観客とグータッチしながら移動し、その客席の真ん中でもお面を変えた。今度は腕で隠していた。そう、扇は置いて来てしまっていた。

衣装の中に引っ張り込んでいる、という私の仮説は、最後に覆された。最後、とうとうお面が無くなって素顔が出てきた。あー、これで終わりだと思ったのに、なんともう一度変えたのだ。つまり、もう一度お面を付けたのだ。どうやってー?!いやー、分からない。とにかく感動した。

王さんは今日の主催者だという事で挨拶をして、それから今までの出演者全員が舞台に上がった。その時に、もう一度ちょっとしたパフォーマンスをしてくれたのだが、これもびっくり。

王さん、今度は口ひげを付けたのだ。もちろん、手を使わずにというか、見えないうちにというか。そして、またさっと口ひげを消した

うぉー、すごい。変面、すごい。変顔ではないぞ、変面だ。

いやー、面白かった。王さんは今度銀座博品館劇場で「変面一人芝居」を日本語でやるそうだ。割とオススメだ。

あまり期待していなかったのに、とても面白くて感動した。特に中国の文化に驚いてしまった。ロビーでは、お土産物がちょっとだけ売っているという話だったが、

変面人形、もうこれしかありませんよ!早い者勝ちでーす!」

と、人気だよという感じで売っていた変面人形。うーん、これで変面の技が分かるわけじゃないしな。今掛かっていた曲が流れるのだという事だった。単なるオルゴールかな。2800円だった。買わなかった。

今日の演目は10月9日からオンライン配信されるそうだ。宣伝をしても私には何のメリットもないが、この記事を読んで観てみたいと思った方の為に、チラシの写真を添付しておこう。もし配信を観て、私に共感してくれた方は、コメント欄で是非報告して欲しい。

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