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初めての歌舞伎。

昨日、歌舞伎を観に行った。自分が歌舞伎を観に行く日が来ようとは。これもコロナ禍と関係があるのだった。

なぜ観に行くことになったかと言うと

義母がある金融機関で、歌舞伎のチケットを当てた。コロナ禍になってから、よく当たるらしい。

「また当たっちゃったんだけど、行く人がいないのよ。みんな断られちゃって。今、こういう所に行くのを職場で禁止されてる人もいるし」

友達の多い義母だが、皆さんコロナが怖くて行かないとか、職場で禁止されてるとかで、一緒に行く人がいないらしい。チケットは2枚。というわけで、私にお鉢が回ってきたというわけだ。

「行く?」

と聞かれて、

「はい」

と即答した。本当はちょっとドキドキしていたのだが、それでもこんなチャンスは滅多にないし、ブログのネタになるし。行かないという選択肢はない。

しかし、歌舞伎と言えば「高級」なイメージがある。かつて、銀座で友達と会い、歌舞伎座近くの喫茶店に入った時の事。そこには他では見たことのないような、お着物を着た若い女性たちが、年配者と混じってお茶していたのだ。ただ、ちょっと着物を着てみたという感じではない。多分日本髪のせいかもしれないが、着物姿が板に付いていて、住む世界が私とは違う感じ。

普段から着物をよく着る人は、実は身近にもいる。義理の妹もそう。夫の祖母も生前はそうだった。それで、その義祖母と義母で、何度か歌舞伎に行った事があるというのは聞いた事がある。義祖母は踊りの先生をしていて、現役時代は羽振りも良く、歌舞伎を観に行くのもうなずける。

チケットも高いし、幕間に食べる幕の内弁当は高級食。そして、歌舞伎は言葉が分からないだろうと。そんな事から、敷居の高さを感じていたのだった。

コロナ禍なので、劇場内での飲食は禁止。おそらく普段よりも演目も短時間。行く人が少ない為に、よくチケットが当たるという事も考えられる。とにかく、コロナが為に、私が歌舞伎を観に行くという現象が起きたし、いつもの高級な、敷居の高い物ではなく、かなり敷居を下げたものになっているのだった。

何を着ていくか

それにしても、お着物の人もいるくらいなのに、一体何を着て観に行けばいいのか。悩んだ。が、とにかくちょっとキレイめにするしかないだろう。

よく言う、会社に行く格好というのがあるが、それよりもちょい上のレベルにした。入学式よりは下、みたいな。

それで、服よりも意外に大事なのが、アクセサリーと靴だったりする。真珠が付いているネックレスと、ハイヒールで行く事にした。ちなみに、最近どこでも手の消毒をさせられるので、指輪はしない。結婚指輪さえしなくなった。消毒するのが嫌というより、指輪と指の隙間に菌が入り込んで取れないような感じがして。

さて、当日家を出て、義母と会った瞬間ちょっと後悔。義母の服装は普段通りのものだった。わりとラフなブラウスで、靴もいつもの黒い靴。そういうので良かったのか・・・

歌舞伎座に到着

歌舞伎座の前を通った事は何度もあるのに、何だか嬉しくて写真を撮りまくる。しかし、せっかちな義母と一緒では、ちゃんと立ち止まって撮っている場合ではない。流れ激写で撮りまくる。

劇場に入ると、まず目に入るのが幕。ほらー、歌舞伎揚げの箱のー!当たり前だけれど、この幕が歌舞伎のトレードマークである。

そして、席に着いて後ろやら上やらの写真を撮っていて、あれ?この間行った演舞場とすっごく似ているけど?どういう事?まさか同じ場所・・・?狐につままれたような感覚に陥る。ロビーの様子もすごく似ていたが、トイレの場所が違う。うん、違う違う。良かった。しかし、和風の劇場というのは作りがほぼ同じなのか。

さあ、歌舞伎の始まり始まり~

幕がスライドする。出てきた光景にびっくり。私の脳内では、

バカ殿の世界・・・」

という台詞が浮かんだ。男性数人が顔を真っ白に塗り、日本髪におそろいの着物を着て、お女中さん達とでも言っていいのか、お城だかお屋敷だかの廊下に並んで座っていた。しかし、よーく見ると美しいお顔の方もおられる。

私は、なぜだか分からないのだけれど、女装した男性を見るのがものすごく好きだ。そういえば昔から「女形」を見るのは好きだった。男装の女性を見るのも、そういえばすごく好き。そうか、中性的なのが好みというわけか?いや、ちょっと違うな。中性的な人は好きだけれど、それと女装男装が好きなのとは違う気がする。どう考えても理由が分からない。が、とにかく好き。

台詞の言い回しが美しい。声がいい。これはミュージカルだなと感じる。ああ、宝塚の男性版か。こっちのが先だけど。狂言は学校で観に行かされた事があったが、歌舞伎はなかった。そういやつい最近、次男が学校で歌舞伎を観に行ったのだった。その時は、字幕があったとか。学習イベントみたいな感じだったらしい。

今日は字幕がないばかりか、あらすじとか、事前に知識を入れておくような記述がパンフレットにも何もなかった。普通、舞台とか映画とか、何でもチラシにストーリーがざっくり書いてあるものだと思うのだが、歌舞伎は一切ない。

オーケストラピットと言える、楽器の演奏は、最初は隠れていたけれど、途中でくるっと小さい舞台が回って、二人が出てきた。歌、いや謡(うたい)?の人と三味線の人。マスクのような物をしていて口元が見えないが、たぶん三味線の人が時々かけ声も担当している。そのオーケストラピットは、時々くるっと回って人員が交代になるのだった。

芸術だ!そして眠くなる・・・

いやー、芸術だ。まず謡が素晴らしい。台詞も節が付いていて美しい。所作も美しい。

そして、意外に台詞も分かる。時代劇くらいなもので、ちゃんと日本語だから分かるじゃん、と思っていたが、時々分からない言葉、聞き取れない言葉があったりする。そして、全体として意味が分からない

これって、英語と同じだ!

そう、英語も単語は一つ一つ聞き取れていても、時々分からない単語があって、結局全体的な意味が分からないという事が多い。私の場合はそればかり。

まあ、それでも、芸術を観ていると思えば問題なし。だから、ブロードウェイミュージカルとか観たって人に、言葉分かったのか?なんて疑問に思う必要はないのだ。分からなくても、絵画や舞踊を観ていると思えば。っておいおい、それでいいのか?ストーリーは重要じゃないのか?曲がりなりにも物書きがそんな事言って・・・

素晴らしい物を見せてもらっているのに、いや、だからこそ、眠くなってしまう。心地よくて、目が閉じそうになる。頑張れ、私の目!脳!

そこへ、小さい子が出てきた。小学生だと思われる。この子、演技がとても上手。所作も可愛い。が、台詞が棒読み

「ととさまー」

って、普通の「ととさまー」の音の半音下で全ての台詞を言う。それが普通の演技ではなく、歌舞伎っぽいという事なのか?歌舞伎っぽい台詞の一歩手前ってやつなのか?

彼が出てきたおかげで、すっかり目が覚めた。いや、ハラハラしちゃって。

クライマックス!表情で魅せられた

だんだん筋も分かってきた。クライマックスに近づくにつれ、盛り上がって来たのも分かる。首実検のシーンがあった。つまり、生首が影武者ではなく本人かどうか、確認させるという場面。

桶に生首が入っているという設定だった。首は出てくるのか、いや、中を覗く程度か、などと思っていたら、

ジャーン!生首出てきた

人形の頭だが、ちゃんと血が着いている。少し人間の頭にしては小さい感じだが。

ああ!子供が走ってきて、いきなり腹切りをした!

「ああ」

と、相変わらず半音下の棒読みだが、その表情がなんと素晴らしい。痛そうに顔をしかめる様子が、子供の演技とは思えない。流石だ。

更に、主人公の松本幸四郎さんだ。生首の顔を見た瞬間、目を見開き、そして、ああ、この表情をなんと表現したらいいのか。笑ったという程に表情を変えてはいないのだ。けれども、目が、喜んでいるのだ。この時は謡も三味線も止み、シーンとした中で。

ああ、生首は弟ではなかったんだな、と分かった。つまり、切腹した子供の父親ではなかったのだ。けれども、幸四郎さんはその首を、弟に間違いないと言う。相手は、兄がそう言うし、息子が切腹したのだから本物だろうと信じて帰って行ったのだ。

子供は助かるのかと思ったら、そのまま死んでしまった。死ぬ前に一目母に会いたいと言っていた子供は、最後に母に会えて死ぬのだ。その、死んだ瞬間の演技も素晴らしい!

いやー、いいものを見せてもらった。ありがたや、ありがたや。

そういえば、演舞場にはなかった「桟敷席(さじきせき)」というものがあった。舞台の横にあるのだが、ちょっと洋風のように見える。ここに、義母はかつて義祖母と座った事があるそうだ。桟敷席こそお高いのだろうに。流石だ。実は身近に上流階級の人がいたとは。没落した貴族に嫁いだ気分?

アクションはスローモーション

2時間で一つの演目が終わり、休憩の後、短い演目があった。これはずっと曲が流れていて、踊りというか、アクション、アクロバット披露というか。

この時思った。歌舞伎では、アクションシーンになるとスローモーションになるのだ。これが、コントのようだなと思ってちょっとおかしかった。もちろん、コントが歌舞伎を真似したのだろう。いや、真似したわけでもないのか?

それにしても、演技だけで強そうに見えたり、余裕に見えたり、やられてる感を出したり。これがすごかった。手を握られただけなのに、イテテテっという演技をすると、相手がすごく強いのが伝わるではないか。たいして当たっていないのに、自分で宙返りしてバタッと倒れれば、すごく強く殴られたように感じる。

まさに「表現」という物を観た気がした。

足袋ソックス

歌舞伎座を後にして、ちょっとおみやげを見たりした。

一つ気になったのが、足袋ソックスだ。1~3歳用の小さいのがあって、すごく可愛かった。それで、うちの子の足が入るようなサイズはないだろうなと思ったら、あったのだ!25~28センチのサイズが。しかも、草履を履いているようなデザインで、面白い。特に裏が面白い。草履の裏の模様で。だが、どうも表の柄で気に入る物がなかった。そもそも、いくつ買うか?夫にも買わないとだめか?いや、夫と次男は足の横幅がありすぎて、入らないのでは?そんなこんなで、結局買わなかった。せっかちな義母と一緒では、あまり悩んでいる時間もないし。

まあ、こんな近くで、歌舞伎を観なくても買える場所にある物を、今買うこともないだろう。どうしても欲しくなったらまた買いに来よう。って思って、買いに行った試しがないが。

鮭カツ

さてさて、今日の夕飯はいつもより1時間早いことになっていた。それは、長男のサークル活動の為だ。オンラインサークルの定例会が7時からあるので、6時ごろ夕飯という事になっていた。

私が間に合わないかもしれないので、長男が今日の夕飯を準備してくれる事になっていた。鮭カツを作りたいと言って、買い物にも行くという話だった。

もうすぐ家に着くという頃に、長男からLINEが入った。

パン粉ってある?」

と。

ない

と返す。私は自分でパン粉を付けるようなフライはやらない。ハンバーグなどに入れる場合は、食パンをちぎって入れる。パン粉は余ってしまうため、家に置かないのだ。

「食パン使えば?」

そう送ると、

「せっかくのサーモンだし、フォーマルにやりたい」

と返ってきた。そうね、高い材料買ったのに、何だか違うぞって物が出来たら嫌だね。

「もうすぐ着くから、パン粉買ってきてあげる」

と返し、私は家に着くとすぐにエコバックと財布を持ち、すぐ近くのスーパーでパン粉を買ってきたのだった。

いやー、それにしても疲れた。良い格好をしているだけでも疲れるのだ。ハイヒールで地下鉄の階段を上るのも疲れるし。

そういえば、地下鉄に乗ったのはオリンピックボランティアの活動以来だった。途中で活動の時に乗り換えた駅を通り過ぎ、感慨深いものがあった。

服装だが、客席には確かに日本髪にお着物の若い女性が何人かいたけれど、普段着の男性や、普段着にちょっと毛の生えたくらいのおばちゃんも多く、まあ、私の格好が浮いているというほどではないが、もう少し楽なものでも良かったなという印象だった。歌舞伎も敷居をどんどん下げているのか。

歌舞伎座を出た時、イヤフォンガイドを回収しているのを見た。そんなものもあったのか。要らないけれど。

肩が凝り、何もやる気がしなかった。夕飯を作ってもらって本当に良かった。5時半頃に帰ってきたので、時間的には夕飯を作れたが、実際作るつもりだったら、一体どうなっていたことやら。放棄して「夕飯、各自!」と一斉LINEしていたかもしれない。

長男よ、ありがとう。サーモンカツ、美味しかったぞ。今日は写真も忘れずに撮った。私だったらキャベツがこの2倍だったと思うが。このほかにスープも作ってくれた。

お風呂に入れば疲れも取れるかと思ったが、肩こりが酷すぎて辛かった。次男が部屋に引っ込む時に慌てて呼び止め、肩を揉んでもらった。次男は肩もみを頼むと、いつも喜んでやってくれる。はあ、助かった。次男よありがとう。

歌舞伎の101演目 解剖図鑑(イラストで知る見るわかる歌舞伎名場面)