昨日、都立高校に通う次男の三者面談だった。面談は午後から。午前中は部活があるという事で、こっそり見学してしまおうかと思っていた。そうしたら、直前になって練習試合が入った。試合を見られるならなお結構！絶対に見たい！
「見に来るな」と言われるのには理由がある
と、思ったけれど、体育館に保護者が入っていけば目立つ。それに、コロナ禍だから保護者の観覧は不可、と言うことで怒られやしないかと心配になった。言われないにしても、「何で来るんだよ」と冷ややかに見られても嫌だし、恥ずかしいし・・・
しかし、次男は是非見に来て欲しい様子。不思議な子だ。親には見に来て欲しくないのがスタンダードだと思うけれど、うちの子はいつだって「来たければ来てもいいよ」というスタンスだ。もちろん、親の言動次第だとは思うが。
つまり、親はつい子供のダメなところに目が行きがちで、見に行くと小言ばっかり言ってしまう。しかし、私は良かったところを覚えておいて、後であれが良かった、あの時がかっこよかった、と言うようにしている。そして、どうしても言っておきたいダメなところがあれば、最後にちょっと添えて「こうした方がもっといいかもね」くらいに言う。それも小学生くらいの時の話で、中学生以上になったら親が教える事なんてないし、他の子と比べてダメだったからと言って、それを本人には絶対に言わない。
よって、見に来てもらうと後で褒めてもらえるから、来て欲しいのではないかと思う。それに、これを読み進めて行けば分かると思うが、かなり・・・自分では表現出来ない。この後の文章を読んで感じてもらいたい。
キャプテンの親は
それで、次男は前日に部員に相談したようで、保護者が来た事があり、先生と長く話していたという証言を得たようだ。更に、椅子を用意してくれるみたいで、歓迎されている感じになってきた。これは行くしかない。次男から、体育館に入ったらすぐ階段を上って、ギャラリーに出たら左側に歩いて行って、ステージ側のコートまで来るように、と具体的に教えてもらった。これで行ける気がしてきた。
さて当日。次男は朝から部活に出かけた。私は急ぎ目に洗濯や掃除などをした。そして、掃除をしながらも、目立つよなーとか、くよくよと考えていた。
「でも、うちの子は今キャプテンなんだし、大丈夫。キャプテンの親は1人でも行くから」
と、自分を鼓舞した瞬間、
「あ・・・キャプテンの親は、大抵差し入れを持って行くぞ！」
と思い立つ。そうだ、差し入れを持って行かなくては。出かける時間を少し早め、店に寄ってから行こう。ちなみに、部活は12時半までだそうで、遅くとも11時半には学校に行った方がいいと次男から言われていた。
それにしても、差し入れには頭を悩ます。今は夏だから、溶けてしまうものはダメだ。ドリンクゼリーなんかがいいけれど、部員数が分からないから難しい。一応次男にＬＩＮＥしてみたけれど、当然既読にならない。試合中だからね。
確か、1年生がたくさん入ったと言っていた。2，3年生しかいない時には、ちょうど2チーム出来るくらいだとか言っていたような。1チーム6人だから12人か。今3年生が引退して、1年生が多めに入ったとすると20人くらいだろうか。マネージャーも何人かいるみたいだから30個くらいあれば足りるか。
予定通り家を出て、駅前の店へ。運動の後にはエネルギーを摂るべきなので、スニッカーズなんかがいいかな、と考えていた。店に入ってスニッカーズの小さいのがたくさん入っている袋を探す。あったけれど、袋が小さくて、これを3袋買ってもなんだか見栄えがよくない。そして周辺を見渡す。
あ、これ。高カロリーのブラウニー。長男がよく受験期に塾の前に食べたと言っていた。一度食べたらとても美味しかったから、これにしよう。棚に3袋しかない。いや、3袋でいいだろう。何々？9個入り？ということは、3袋で27個か。うーん、30個くらいは欲しかったけど、まあ足りるだろう。
と言うことで、ブラウニーを3袋買って電車に乗り、無事11時半に学校に着いた。
何からの快復？
体育館に入る。今日は三者面談期間なので、たまーに他の保護者を見かけるが、体育館にはいない。
「ピー！」
笛の音が聞こえた。やってるやってる。しかし、手前の女子の声が大きく聞こえる。階段を上る。そして、ギャラリーへ。
まだ書いてなかったが、次男がやっているスポーツはバレーボールである。手前では女子バレー部が練習中だった。奥のステージ側へ向かう。試合が丁度終わった所だった。次男はすぐに分かった。りんごヘアーにしているから。りんごヘアーと言うのは、前髪を結んでりんごのヘタみたいになっている髪型である。
椅子が置いてあった。ありがたい。けれども、まずは汗を拭きたい。そして、お茶を飲む。暑い暑い。最近体育館にクーラーが設置されて本当に良かったのだが、歩いてきたので汗が流れ出る。ちょうど1年生同士の試合が始まったみたいなので、とにかく落ち着こうと言うことで、タオルで顔をぱたぱたやっていると、いきなり隣にぬっと背の高い黒い人影が現れた！
「どうも、顧問の○○です」
先生だった。
「あ、どうも。お世話になっております。○○です」
私も名乗る。いや、名乗ると同時に
「○○さんですか？」
と聞かれていた。生徒に聞いてきたようだ。そして、先生はいろいろ話してくださった。
「息子さん、やっと快復してきたみたいで、今日もスパイクが強く打ててますよ。おとといの練習試合の時にも、けっこう強く打ててましたし」
「あ、そうですか・・・」
な、何からの快復だ？うちの次男、だいたいどこか病んでいるからな。手の痺れかな？けれども、まだ治っていないのに、快復してきたとは言わないよな。その前は何だっけ？親指？いや、腰？
「まだお腹の方は時々傷むんでしょうか？」
ああ！お腹か！そうだ、細菌性胃腸炎になってしばらく学校も部活も休んでいて、痩せてしまって筋肉が落ちてしまったのだ。そこからだいぶ快復したというわけか。もう昔の事のように思われる。
「もう治っていると思うんですけどねえ。まだ完治していないのか、時々疲れたりすると痛くなるみたいです」
やっと、言葉を発する事が出来た。
先生が去ろうとしたので、差し入れを先生に渡した。渡せるかどうか心配だったので助かった。やれやれ。
高校生になって初めて
次男が出てきた。考えてみれば、高校生になってから初めて見るのだ。バレーボールをする姿を。中学生の時には親の当番があったので、練習試合があると体育館にずっといて、先生方の接待を担っていたものだ。公式戦も必ず見に行ったし。だが、高校生になってからはコロナのせいで公式戦の観戦はNG。私が学校に行く機会も滅多にないし、練習さえ見たことはなかった。動画では見せてもらっていたけれど。
試合が始まると、すぐに私は身もだえた。うちの次男が前衛にいると、かなりの確率でセッターがトスを上げてくれる。そして、うちの次男が、あの子が、スパイクを打つ！
「キャー！」
と言って地たんだ踏んで喜び・・・たいくらいだった。実際には声を出していないし、地たんだも踏んでいない。いや、中学生の時にはほとんどスパイクは打てなかったのだ。ブロックやクイックはやっていたけれど、スパイカーは他にいたから。それを、今は一番のスパイカーなのだ。背番号１，エースなのだ。
映像で見るのとは違う迫力を感じる。上から見ているから、ネットからどのくらいの高さまで飛んでいるのかは見えないけれど、高いところから打っているのが分かる。レシーブされてしまう時もあるが、決まる時がまた、体がくの字になるくらいの弾力性。思いっきり打つ時は腕の動きも速い。ありゃ筋肉が付くわけだ。というか、筋肉のあるあの子が、その能力を十分発揮している。やっと、筋肉が付きやすい性質を活かしている。
いやー、これ、高校まででバレーを辞めてしまったら勿体ないんじゃないのか？と、そこまで考える親バカぶり。背も高くないし、怪我は多いし、プロでやっていけるわけはないのだけれど。
それにしても、幸せだった。これが私の幸せだなぁ、と感じた。自分の子が出る試合を見るってやつ。私の趣味だな、これは。今は滅多に出来ないのだが。ああ、あと何回次男のバレーの試合を見ることが出来るだろうか。
6人制バレーボールは、ご存じの通りローテーションがある。後衛に回るとスパイクは打てない。バックアタックはしていいのだが、それは今日一回も出なかった。まあ、あれは素人にとっては成功率の低いものだ。強豪校になると分からないけれどね。決して強い学校ではないので。
後ろに回ると、レシーブはするが、やっぱりまたスパイクを打つところが見たい。勝って欲しいのだけれど、ローテーションを回すには、点を取られてから取り返す、という作業を3回ほどやって欲しい。不謹慎ながら、次はこっちが失敗しろ～と念を送るバカ親。そういう時に限ってこちらがどんどん点を取る。ああ、後衛のまま試合が終わってしまうのか。
と思っていると、そうでもなかったり。わりと満足するくらいスパイクを打つ我が子を見ることが出来た。試合が終わっても、また少しやったりして、12時半ギリギリまでゲームをしていた。試合がやりたいんだね。先生方もやらせてあげたいんだね。
ミカサ(MIKASA) バレーボール 練習球 5号 一般・大学・高校 イエロー/ブルー 推奨内圧0.3~0.325(kgf/㎠) V325W
差し入れ足りたか？
終わったようなので、私は体育館の外に出た。日陰で本を読みながら立って待っていた。そうしたら、また顧問の先生が通った。そして、挨拶をしてくれたので
「高校生になってから初めて見たので、すごく上手になっていてびっくりしました」
と言うと、
「また是非見にいらしてください」
と言ってくれた。
「機会があれば、是非」
と言っておいた。機会がたくさんありますように。
着替えをする次男を待つ間、何人かの生徒さんたちから挨拶をしてもらった。そして、次男が現れると、思いの外背が高くて驚いた。まあ、言っても男性の標準身長しかないけれど、家でゴロゴロしているのを見ているのとは違って、やっぱり大きくなったなあと。
ああ、それから気になる事が。最後に学校ごとに集合した様子を上から見ていたら、なんだかものすごく人数が多くて驚いた。ざっと数えたら30人くらいはいるような。や、やばいじゃないか、差し入れが足りないのでは？それで、次男が戻ってきた時に真っ先に聞いたのが、
「差し入れ足りた？」
だったのは言うまでもない。すると、
「先生とコーチも含めてぴったり。俺の分は無しで」
だそうだ。お前の分無しか。ちょっと気の毒。
「マネージャーさん達の分もあった？」
「うん」
ふう。一安心。しかし、お休みの子もいたそうなのに、ギリギリなんて。一つが小さいのに一個ずつしかなかったのか。やっぱりちゃんと人数を聞いておけばよかったな。それもしても、ドリンクゼリーだったら独りで全員分なんて持てないところだった。重くて。
次男と2人で外へ出た。駅前のマックに行った。けっこう着替えなどに時間がかかり、あまり時間がない。ちょうどいいくらいか。ファーストフードでなかったら間に合わないくらいの時間だった。
私は初めて「スパイシービーフバーガー」を食べてみた。辛くて味は良い。ハンバーガーよりもパサパサ感がなくて良い。けれども、
「ハンバーグが薄っ！」
驚くほど、薄いパテ。まあ、私は摂取エネルギーを抑えたかったからいいのだけれどね。次男は逆に肉厚バーガー系のものを食べて、肉が旨いと喜んでいたから良かった。ただ、飲みたいと言っていたチョコフラッペはバリスタ専門店にしかないと言われて、飲み物なし。というか、私の飲み物をシェアしてしまった。ポテトもシェアしたし、なんだか物足りないお昼になってしまった。もっと何か買ってくれば？と言ったら、実はさっき飲んだCCレモンのせいでお腹が痛くなってしまったので、もういいと。これは胃腸炎の後遺症ではなく、元々冷たい飲み物を一気に飲むとお腹が痛くなる子なのだ。また、飲むのが人より速いから。
三者面談
さて、2時から三者面談なので、10分前くらいに学校に戻った。戻りながら、面談に備えて志望大学についてあれやこれやと話していたら道中あっという間だった。あれやこれやとは、国公立を目指すのか、私立大に絞るのかという話。
面談は30分だった。担任の先生は、全生徒に発破を掛けようと、鼓舞しようとしてくれているのだろう。しかし、話を聞いていると受験はもうすぐ、今からたくさん勉強しないと！という事で、こちらまで気が滅入ってくる。また、数学は毎日これこれやって、英語は毎日これこれやって、物理や化学は週一回はこれこれやって・・・先生、そんなにやってたら寝る時間ないっすよ。
「お母さんから何か、息子さんに言っておきたい事はありますか？」
と聞かれて、
「言いたいことはたくさんありますが、毎日言っています」
と前置きしつつ、
「早く寝て欲しいです。そうしないと、朝起きられないので」
という話をすると、先生が何時に寝てるんだと次男に聞き、
「12時半から1時半くらいの間です」
と言った。実際は3時頃まで起きていたという長男の証言もあるし、1時半くらいまでに寝ているのは夏休みの、次の日が朝早い日だけだよなと思ったのだが、それでも先生は、
「遅いね！12時には寝なきゃだめだよ。」
いやいや先生、さっき言ってた勉強をちゃんとやったら、とても12時には寝られませんよ。
そして、最後の脅かし文句が、
「この学校で普通にやってたら、○○○○になっちゃうよ」
○○○○は、よく世の中で言われる大学のレベルだ。この高校の普通の人がそのレベルの大学に行くのだそうだ。それを、最後にもう一回言っていたから、本当にそれが最終的な脅かしなのだろう。が、しかし・・・
「現役で○○○○に入れたら万々歳だよね」
面談が終わった後、思わず言ってしまった。ほんと、現役で行ければどこでもいいよ。ただし、家から通える範囲にある大学にしてな。
筋肉は何で出来ている？
帰りに、
「差し入れの俺の分なかったからさ、何か代わりに買って」
と言われた。ただし、ブラウニーではない物だそうだ。聞いてみると、結局アイスがいいと。最寄り駅に着いて、私が来るときに差し入れを買った店に入り、クーリッシュを買った。
そういえば、学校を出る時に自販機でライチ味の炭酸ゼリー飲料を買って飲んでいたっけ。お前はどんだけ甘い飲み物を飲むのだ。次男の筋肉はソフトドリンクで出来ていると言っても過言ではない。それでいて、部活中に飲むのは水筒に入れているただの氷水だったりするのだが。
まあ確かに、ダイエットに一番良くないのがソフトドリンクだと教わった事があるが、逆に言うとエネルギーの吸収率が良いわけで、たくさん運動した後には摂るべきかもしれない。虫歯にさえならなければだが。
家に帰ってきて、私がパソコン作業をしていると、いつの間にかソファーで眠っている次男。あーあ、面談でも昼寝が良くないなんて言われたけれど、やっぱりここで寝てしまって、夜なかなか眠れなくて、明日の朝は昼まで寝ているんだろうなあ。と、思ったのだが、実際翌日は昼まで寝ていた次男であった。