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【連載小説】地球を守れ-Save The Earth-第42話 脱酸素社会へ加速

 そうして、タンザニアに3カ月ほど滞在したのち、STEは次なる場所へ移動した。次はケニアである。サバンナ環境保護を目的とした、研究調査やデータ収集、植樹が主な活動である。そこに2カ月ほどいて、次はボツワナで同様のボランティアを、更にマダガスカルへ移動し、熱帯雨林保護の活動をした。
 期待通り、ボランティア活動に参加する人が世界中で増え、アフリカにも続々とやってきた。もちろん、殺到するほどではない。STEは、コンサートはしばらく行わないが、それでもメディアには毎日登場した。
 アフリカでのびのびと活動する彼らに、日本やアジアの人気歌手たちも影響を受け始める。都市にいなくても、歌手活動は出来るのだと知らしめた。もちろん、既に知名度があっての事ではあるが。

 日本では、閣僚会議が行われていた。
国土交通大臣:「えー、今年は観光客が激減しております。昨年まではSTEのコンサートの度に、波のように海外からのファンが我が国を訪れていましたが、今年は彼らの日本でのコンサートが一切なく、また、ずっとアフリカにいるため、長期休みの間にアフリカを訪れる人が世界中で増えており、日本に来ていたはずの、欧米からの観光客がアフリカに流れている模様です。」
総理大臣:「なんだと?それは本当か?」
国土交通大臣:「はい。」
総理大臣:「それは困ったな。STEはいつまでアフリカにいるのだ?」
総理はそう言って、文部科学大臣を見た。
文部科学大臣:「分かりません。ただ、1つ情報を得ている事は、今年の夏にもまた、核禁条約批准国を回るツアーをやるそうです。」
総理大臣:「あれか・・・。つまり、そのツアーには我が国が含まれないというわけだな?」
文部科学大臣:「はい、おそらく。」
経済産業大臣:「いっそ、核禁条約に批准してしまったらどうでしょう?」
防衛大臣:「いやいや、簡単に言わないでくださいよ。そんな事をしたら、アメリカに何をされるか分かりませんよ。」
外務大臣:「結局、今より金を出せと言われる事になるだけでしょうがね。」
総理大臣:「インバウンド効果と、どっちが得かね?」
防衛大臣:「そういう問題ではありませんよ。同盟を解除すると言われるかもしれません。」
総理大臣:「うーん、それは困るな。STEは銃の事で、アメリカには敵視されているしな。」
経済産業大臣:「アメリカは、STEを好きか嫌いかで真二つに割れています。今の政権には敵視されていますが、政権が交代するような事があれば、真逆になるでしょうな。」
総理大臣:「そうだなあ。STEはやる事が極端だからなあ。だが、どのみち使える事には変わりない。何か、彼らに日本でコンサートをやってもらえるような策はないだろうか。」
環境大臣:「核禁条約の批准は無理でも、他に環境に良い事をして、STEと交渉してはいかがでしょうか?例えば、国立の建物の電源は、全て再生エネルギーを使うとか、省エネを実行している企業には減税措置を取るとか、我々閣僚の車を、全てEV車に替えるとか・・・。」
総理大臣:「なるほど、それはありかもしれんな。では、その方向でSTE側と交渉してみよう。」
ということで、政府とSTE側とで交渉が行われた。数日後、
文部科学大臣:「総理、STE側からの返答ですが、やはり核禁ツアーには、日本を含む事は出来ないということでした。ですが、こちらが示した条件を我々が全てクリアしたならば、STEを日本に戻すという事で合意を得ました。」
総理大臣:「そうか。彼らが日本に戻ってくれば、インバウンド効果が期待できる。よし、じゃんじゃん環境に良い事をやっていこうじゃないか。」
というわけで、日本政府は脱炭素社会に向け、行動を加速していったのである。

 植木:「みんな、長い間のボランティア活動、お疲れさん。いよいよ平和祈念コンサートまであと1週間に迫った。アフリカでの生活もこれで終わりだ。忘れ物がないように、ちゃんと準備しておいてくれよ。」
マダガスカル島での2カ月ほどの生活にも、終わりを告げる時が来た。
篤:「ずいぶん遠くまで来たもんだな。マダガスカルに住む時が来るなんて、思いもしなかったよ。」
光輝:「そうだね。ここは、動物も植物もすっごく独特だし、来れて良かったなー。」
光輝がそう言うと、流星がふふふっと笑った。光輝はその流星を見てハッとした。かつてならどうという事もなかった事だが、篤から「流星が光輝にぞっこんだ」と聞いてしまって以来、どうも流星を意識してしまう光輝。気が付くと自分を見ている気がするし、こういう時も、優しくリアクションしてくれる。今まで全く気付かなかったことが自分でも不思議だった。
 また、わざとではないが、光輝が誰かにべったりくっついていると、流星が落ち着かなくなる。時にはべったりくっついている相手に用事を言いつけたりするのだ。確かに、分かり安い。だが、分かったところでどうしたらいいのか、光輝は時々この問題に悩まされていた。
流星:「さあ、それじゃあ最後の番組撮りますか。」
涼:「オーケー!外でやろうか?」
流星:「そうだな、これぞマダガスカルって感じの場所でやろう!」
メンバーは、動画配信をするため、みんなで外に出た。
流星:「せーの!」
メンバー:「おはようございます!Save The Earthです!」
涼:「ヒューヒュー!」
流星:「今日はここ、マダガスカル島からの最後の配信をお届けします。」
篤:「僕たちは、この島で熱帯雨林の保護活動をしていました。ここでの活動はいかがでしたか?はい、碧央くん。」
碧央:「え、俺?はい。えーと、すごく変わった動物や植物を見る事が出来て、とても楽しかったです。」
涼:「そうだよねー。あの有名なバオバブの木とか、キツネザルとかね。」
大樹:「僕たちは、もうすぐコンサートですね。」
瑠偉:「はい。去年と同様、平和祈念ワールドツアーを行います。既にチケットを買ってくれたフェローの皆さん、ありがとうございます。」
光輝:「僕たちは、今コンサートに向けてたくさん練習しています。楽しみにしていてください!」
流星:「コンサートに来られないフェローのみなさんの為に、世界同時配信も行います。こちらもチケットが必要です。チケットの収益は、核兵器撲滅運動の活動資金となります。どうぞ、よろしくお願いします。」
篤:「全てのコンサートで、同時配信するの?」
流星:「そうだよ。」
光輝:「え、そうしたらどのコンサートのオンラインチケットを買えばいいか、フェローのみんなが迷うんじゃない?」
瑠偉:「それはさ、自分がいる場所に近いところのチケットを買うのがいいんじゃない?遠いと時差があって、変な時間になっちゃうでしょ。」
大樹:「逆に、夜に見たい人は時差的にちょうどいい場所のチケットを買えばいいよ。」
涼:「なるほど、頭いい!」
流星:「オンラインチケットは、開始直前まで買えます。それでは、みなさんまた!」
メンバー:「バイバーイ!」

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うつくしすぎる世界の動物